健康増進型保険とは

「医療保険には加入したら、入院しないと損だよね。普段から健康維持に気を使っているのなら、保険に入るのはもったいないのでは?」

と言う声をよく聞きます。健康に気を使っていても、それでも病気やケガになることはあり、その際の急な出費に備えるために医療保険に加入しておくことは大切です。しかし、健康維持に気を使っている人と不摂生な人が、同じ保険料だと不公平な感じがします。健康的な生活をしている人は入院の可能性が低いはず。その人の保険料が、何度も入院を繰り返している人の入院給付金に充当されているのかもしれません。

生命保険でも同じこと。亡くなった場合に出る保険金は、すべての加入者が払う保険料によって賄われています。不健康な生活を送って、早くに亡くなった人の方が、保険の収支の面では〝お得〟だった、となることは十分に考えられます。

保険に加入してすぐに入院給付金や死亡保険金を受け取る人ばかりでは、保険会社の収支が悪くなってしまいます。そこで生命保険では、以前から健康状態が悪い人の保険加入は断っていました。持病がある人向けに、保険料を割高にした保険商品を別に設けることもしています。

一方、近年は病気の可能性が低いとされる人の保険料を割り引くことも行っています。非喫煙者は健康優良体の保険料です。そのような人だけが加入できる保険商品も開発されています。保険に加入する際に、喫煙していないかを確認するために「コチニン検査」という簡易な検査を行うこともあります。(ちなみに「ニコチン検査」ではありません。)優良健康体というのは、太りすぎではない人のことで、体重と身長のバランス(BMI)で決めています。

さらに最近では、「健康増進型保険」というものが登場しています。〝健康増進〟といっても、保険に加入すると、健康が増進されるというわけではありません。健康を増進する習慣を続けていると、保険料が安くなる保険商品です。

実際には、入院した際に入院給付金が出る医療保険や、死亡したら死亡保険金が出る死亡保険、それらを統合した総合型保険だったりするのですが、健康状態や健康維持の活動で保険料が低下するタイプを「健康増進型」といっています。保険会社が定める一定の基準を満たした場合に還付金が支給されるというものが多くなっています。これらの特典が付いた、独自の保険商品として発売しているものもあれば、既存の保険商品に保険料割引または還付金の条項を〝特約〟として付加するものもあります。

最初に扱ったのは東京海上日動あんしん生命で、「新医療総合保険」に健康増進特約を付けて「あるく保険」として2017年8月に発売を始めました。東京海上日動あんしん生命は、今までにない新しいタイプの保険商品を開発することで定評のある会社ですが、この分野でも先陣を切りました。商品自体は、入院時に入金給付金が、手術時に手術給付金が出る一般的な保険です。(放射線治療を受けた際の放射線治療給付金もあります。)この保険に「健康増進特約」を付けると、1日の平均歩数によって2年ごとに還付金を受け取ることができます。6カ月ごとに1日の平均歩数を計測し、その平均が8,000歩/1日を超えた期間によって還付金の金額が変わります。1日の歩数は、東京海上あんしん生命から貸し出された歩数計やスマホにインストールした専用アプリによって計測されます。

その後、徐々に健康増進型保険が、各社から発売されていきました。その内容は、保険会社によってかなり違います。まったく新しい商品で発売する場合もあれば、今までの商品で、健康維持の条件を満たすと、還付金が出たり、保険料が割引になるというケースもあります。まったく新しい商品の場合でも、基本は医療保険であることが多く、保障の内容的には特別なものではありません。

今のところ、7商品が「健康増進型保険」として登場しています。(どこまでを健康増進型の範囲とするかで、商品数も違ってきます。)まだ、保険業界を変えるほどの影響力を示してはいませんが、新興の保険会社だけでなく、大手生保も追随していますので、今後は大きな潮流となる可能性もあります。三井住友海上ひまわり生命は、2025年までに貯蓄型保険以外の全商品を、健康増進型とする、と明言しています。

2021.6.20記

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