傷害保険

「傷害保険」と聞いても、あまりピンとこない人も少なくないでしょう。損害保険会社が扱っている、ケガによる入院や通院に備える保険商品です。傷害保険の中でも、「交通事故傷害保険」や「海外旅行傷害保険」は比較的知られていますが、日常生活でのケガに備える「普通傷害保険」もあります。今回は、この「普通傷害保険」について見てみます。(以下、特に断りがなければ「傷害保険」と記載します。)

「入院に備える」といえば、主に生命保険会社で扱っている「医療保険」があります。こちらは病気、ケガの両方の入院に対して保険金(給付金)が出ます。それに対し、傷害保険はケガによる入院だけが対象です。その分、保険料は医療保険よりも安くなっています。特にケガによる入院は、病気によるものよりも発生する確率が低いため、かなり安くなります。そして、通院については医療保険では対象としていないものが多いのですが、傷害保険では対象になっています。ただ、最近は通院も対象にする医療保険が増えています。

傷害保険が対象とする〝ケガ〟とは、保険約款では「急激・偶然・外来」によるものとされています。突然の事故などによって生じたケガということです。よって、外科的治療を行うものでも、ギックリ腰や椎間板ヘルニアなどは対象となりません。また、地震・噴火・津波によるケガも対象外とされています。基本的に、事故によるケガが保険給付の対象になると考えておくとよいでしょう。

日常の私生活上のケガはもちろん、交通事故や仕事上でのケガも対象となります。そのため、職業によっては加入が制限されることもあります。

保険料の一部を積み立てておき、老後に年金として受け取る「年金払い積立傷害保険」という商品もありますが、ほとんどは1年単位の掛け捨てとなっています。1年単位ではありますが、特に解約をしなければ、自動継続されていきます。

学校や地域のクラブなどで加入することが多いのですが、個人でも加入できます。保険会社があまり積極的に宣伝をしていないので、印象に残らないのですが、たいていの損害保険会社で扱っています。損保商品ですので、代理店を通じて加入することが多いのですが、最近はインターネットでも加入できます。

傷害保険の主な保険金には、以下のようなものがあります。損害保険会社の保険商品は、〝損害額〟を補てんする場合が多いのですが、傷害保険は医療保険と同じように、支払われる保険金額が事前に決まっています。このあたりは生命保険会社の商品に近い感覚です。

  • 傷害死亡保険金:亡くなった場合に保険金が出ますが、ケガによる場合だけが対象          です。
  • 傷害入院保険金:入院1日につき○,000円が支払われるというものです。病気による入院が対象ではないこと以外は医療保険と同じです。
  • 傷害手術保険金:手術の内容によって、入院保険金の5倍、10倍など、これも医療保険と同じです。
  • 傷害通院保険金:通院1日につき○,000円が支払われるというものです。医療保険では、この部分がなかったり、退院後の通院に限られる場合が多いのですが、傷害保険ではそのような制約はありません。
  • 後遺障害保険金:医療保険にはない補償です。障害が残る状況となった場合に支払われます。死亡保険金と同額ということも多く、大きな金額がまとまって支払われます。

保険商品によって、オプションとして次のような補償があります。

  • 個人賠償責任保険(日常生活賠償保険):他人の物を壊してしまった場合の賠償金を賄います。ショッピング中に、陳列されている商品を壊してしまった場合などに有効です。
  • 受託物賠償責任保険:人から預かっていたものに損害が生じた際に補てんされます。
  • 携行品損害保険:外出中に自分のカメラなどを落としてしまった場合に有効です。
  • 救護者費用保険:駆けつけてくれた親族の交通費などを補てんします。
  • 弁護士費用特約:弁護士への相談料や示談交渉の費用などを賄います。

オプションの内容を見ると、傷害保険がケガだけでなく、「事故」に備える保険であることがわかります。オプションに加入した場合の追加の保険料はいずれも月額数百円程度です。オプションの保険に加入するために、傷害保険に加入する人もいます。個人損害賠償保険などは、補償の範囲が広く魅力的です。ただし、これらの補償は、火災保険や自動車保険にも付帯していることが多いです。また、クレジットカードのサービスになっている場合もあります。まずはそちらを確認した上で、オプションを付けるか検討をしましょう。

繰り返しになりますが、医療保険に比べて補償の対象が狭いものの、保険料が安いのが魅力です。保険商品によって異なりますが、月額1,000円から、補償が充実したものでも4,000円ぐらいまでです。au損保は、月額410円です。

加入は、69歳または70歳までが多く、保険料は年齢にかかわらず一律です。医療保険は加入の年齢によって保険料が異なりますが、対象がケガに限られますので、年齢による違いがないということのようです。

また、医療保険は健康状態によって保険への加入が断られたり、制限が付けられることがありますが、それもありません。ただし、職業によっては保険料が高くなることがあります。損保ジャパンの傷害保険「THE カラダの保険」では、プロボクサー、プロレスラー、力士、競輪、カーレーサー、猛獣取扱者などは加入できません。もっとも、プロスポーツなど限られた職種だけで、危険を伴う建設業や土木作業員などは制限の対象にはなっていません。

海外でのケガは補償の対象外になっています。海外旅行に行く場合は「海外旅行傷害保険」に、留学の場合は「留学保険」に加入する必要がります。

加入に際しては、社会保険などの公的な保険も含めて、他の補償と重複していないか、確認をして、必要性を検討したいものです。

  • 医療保険に加入していないか。すでに医療保険に加入しているのであれば、必要性は低いでしょう。
  • 子どもはケガのリスクが高いのですが、医療費もそれほどかかりません。(国民)健康保険では6歳の年度末までは2割負担ですが、自治体の補助で自己負担が無料となっている場合が少なくありません。
  • 高齢者もケガは心配です。高齢者(70歳以上)向けの傷害保険もありますが、保険料が高くなります。費用との兼ね合いで検討しましょう。

では、傷害保険への加入が向いているのはどのようなタイプの人でしょうか。

  1. 医療保険に加入していない人。万が一の事故に、最低限の負担で備えたい場合は傷害保険への加入が選択肢となります。
  2. ケガが特に心配な人。仕事柄、ケガのリスクが高い人、スポーツをしている人、自転車通勤をしている人などは、傷害保険への加入を検討したいものです。
  3. 個人賠償責任保険(日常生活賠償保険)に加入したい人。火災保険や自動車保険、クレジットカードに付帯していることが多いのですが、これらがない人は、このために検討してもよいでしょう。

2026.1.28記

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