季節性保険

「季節性保険」についてご紹介いたします。おそらく、初めて聞く言葉ではないでしょうか。「季節性」というとおり、季節限定で販売される保険商品です。「夏だけ」「冬だけ」に限定して販売されます。死亡保険にしても、火災保険にしても、普通は一年中販売されていますし、一年を通じて加入するものです。それに対して、これは一定期間だけ加入する、期間限定の保険です。

今回ご紹介するのは、アイアル少額短期保険が販売する「熱中症お見舞い保険」と「インフルエンザお見舞い保険」です。「熱中症お見舞い保険」は夏限定ですので、今は販売していません。この時期は「インフルエンザお見舞い保険」の季節です。いずれも、期間限定で、保険料は数百円から1,000円程度ですので、大きな保障が得られるわけではありません。いわば、ニッチな市場を狙ったお手軽保険です。

このようなユニークな保険商品は、大手の生命保険会社や損害保険会社はあまり扱っていません。少額短期保険会社で多く扱っています。少額短期保険は、「ミニ保険」とも「少短」とも言われていますが、生命保険会社や損害保険会社よりも規模が小さい少額短期保険会社が扱っている保険商品です。かつて無認可共済で破たんが相次いだ際に設けられた、規模を限定した保険の制度です。通常の保険会社に比べて、設立しやすく、保険商品の認可も取りやすいのですが、保障期間は最長でも2年間、保険金額は死亡保険で300万円まで、損害保険でも1,000万円までと制限されています。通常の生命保険や損害保険の手厚い保障にはかないませんので、ニッチ市場を狙ってユニークな商品を手掛けている会社が多いのが特徴です。

比較的多いのが、「葬儀保険」「自転車保険」「ペット保険」「家財保険」などです。葬儀保険は、死亡した場合に保険金が出るのですが、保険金の上限が300万円ですから、通常の「死亡保険」とは狙いが違い、葬儀費用などを賄うことを目的としています。ユニークなところでは、「旅行キャンセル費用保険」「結婚式総合保険」「レスキュー保険」「モバイル保険」などがあります。「旅行キャンセル費用保険」はもちろん、「結婚式総合保険」もキャンセル費用に備えます。「モバイル保険」はスマホの故障費用の備えです。

話を「熱中症お見舞い保険」と「インフルエンザお見舞い保険」に戻します。これらの保険を発売したのは、アイアル少額短期保険です。同社は、2009年に設立された少額短期保険会社で、今は住友生命の傘下に入っています。住友生命では扱えないニッチ市場を狙った少額短期保険を売り出しています。

「家財保険」や「葬儀保険」などの通年の商品も扱っていますが、PayPayと組んで、季節限定の保険を販売しました。よって、この2商品はPayPayでしか加入できないようになっています。オンラインだけで、保険加入から保険金支払いの手続きまでのすべてを完結するようにしたために、期間限定のニッチ商品を売り出すことができたわけです。

昨年(2022年)の4月に販売を開始した「熱中症お見舞い保険」は、ここ数年の猛暑と熱中症の増加を見込んで開発された商品です。保障内容は、熱中症で点滴治療を受けた場合に出る「治療保険金」が5,000~1万円、入院した場合に出る入院保険金が3万円です。それに対して保険料は月額200~300円です。100円で1日だけ加入することもできます。保険期間は10月末までで任意で選びます。小さな保障ですが、保険料は数百円という手軽さです。昨年も全国各地で猛暑となり、保険の加入者は約6万人となったそうです。屋外でのイベントに備えて加入する人もいましたが、遠方の親を対象に加入する人も多かったそうです。

さて、今販売しているのが「インフルエンザお見舞い保険」です。実は、すでに昨シーズンに販売できる体制は整っていたのですが、インフルエンザの流行が起きなかったために見送ったそうです。今シーズンは感染拡大の兆候が見られたため、1月11日に発売を始めました。このあたりの機動性の良さは、少額短期保険であることと、オンラインだけで販売するためだと言えるでしょう。商品内容をご紹介します。

<インフルエンザお見舞い保険>

  • 正式名称:ミニ医療保険(インフルエンザ保障条項)
  • 販売期間:1月11日~3月22日
  • 保障期間:1月21日~4月30日の期間内で、1ヶ月単位で指定
    • 申込みの10日後から指定が可能
  • 被保険者(保険の対象となる人)の年齢:10歳~99歳
  • 保険金が出る条件
    • 治療保険金:インフルエンザA型またはB型に罹患し、病院等で抗インフルエンザ薬(タミフル等)を処方されたとき
    • 入院保険金:インフルエンザA型またはB型に罹患し、その治療を目的とする1泊2日以上の入院を開始したとき
  • 申込み方法:PayPayアプリからのみ。
  • 保険金の請求:PayPayアプリからのみ。医療機関の領収書・診療明細書、薬局の領収書・調査委明細書を、アップロードすれば手続き完了。最短で請求当日に振り込まれる。
  • 保険料

保障期間は1ヵ月単位で、「熱中症お見舞い保険」のように、1日単位での加入はできません。保障期間が、申し込みの10日後からとなっているのは、「風邪気味だから加入しよう」という人の加入を防ぐためです。

加入の制限は、年齢だけです。10歳未満は罹患率が高く、保険の対象から外したそうです。一番心配な人が加入できないわけです。一方、高齢者でも、持病がある人でも加入に条件や制限はなく、保険料も若い人と同じです。

お手軽プランから安心プランまで、料金は3段階に分かれていますが、入院給付金は同じで、インフルエンザにかかった際に出る治療保険金が3,000~7,000円と異なるだけです。

高齢者や持病がある人でもなければ、インフルエンザで入院まで必要になることはそうはないでしょう。逆に言えば、高齢者や持病がある人にはお勧めです。月300円前後で入院した場合の出費に備えることができます。

アイアル少額短期保険の方に伺うと、発売3日で1万件の申し込みがあったそうです。今年は、新型コロナとインフルエンザの同時流行がマスコミで盛んに警告されており、関心は高いようです。特に、受験生を持つ親の関心が高く、子どもを対象に加入したり、家族で加入する人が少なくないそうです。

話は変わりますが、リスク・マネジメントの考え方では、リスクを抑える手段として2つの方法があるとされています。1つは事前の予防で、病気を例にすると、「健康に気を付ける」「予防接種を受ける」などがあります。もう1つは保険による損失額の手当てで、「医療保険への加入」が挙げられます。どちらに比重をかけるかは、リスクの種類やその人の考え方で違ってきます。

受験生であれば、医療費の手当てよりもインフルエンザにならないことの方が重要です。保険に加入して備えてもあまり意味はなく、お金をかけるのであれば予防接種を受けることの方が重要です。試験当日に体調不良となってしまっては、7,000円をもらったところでありがたくもないからです。とはいえ、この保険に加入する人は、しっかりと予防もしている人が多いのではないでしょうか。そもそも予防もしない人は、備えもしないからです。

2023.2.7記

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