ここ数年、「健康増進型」と言われる保険商品の販売が相次いでいます。健康増進型保険とは、加入後に健康増進に努めると、保険料が割引になったり、還付金が受け取れる保険商品です。〝商品〟とはいっても、単独の保険商品の場合もありますが、既存の保険商品に〝特約〟として付加されるケースが多くなっています。この特約を選ぶと、健康増進に努めることで、もともとの保険料が安くなるわけです。
その安くなり方は、2つの分け方で区分できます。1つの分け方は、保険料の割引か、還付金の受取りか、です。もう1つの分け方は、健康診断結果などの健康状態か、健康増進への取り組みか、で割引を判定する分け方です。
いろいろなタイプの商品がある中で、私がお勧めするのは、住友生命の「Vitality(バイタリティ)」です。私は、あまり個別の保険商品のお勧めはしていないのですが、今回はあえてこの商品をお勧めします。「あえて」とあるのは、読み進めていただくとわかります。
住友生命の「Vitality(バイタリティ)」は、単独の保険商品ではなく、既存の保険商品につける〝特約〟サービスです。総合型保険「1UP(ワンアップ)」、医療保険「ドクターGO」につけることができ、「1UP Vitality」、「ドクターGO Vitality」として販売されています。「1UP」は、就労不能保障や死亡保障などを組み合わせる総合型保険で、「ドクターGO」は入院や手術で給付金が出る医療保険です。ここでは特約の「Vitality」に注目しますので、元の保険についてはこれ以上触れません。
健康増進型保険の特約である「Vitality」は、上記の分類では、健康増進への取り組みで割引を判定し、保険料が割引となるタイプです。(特約を付けないで元の保険だけに加入することも可能です。)この特約の最大の特徴は
- 保険料とは別に、健康プログラム料として月額880円がかかる。
- 努力次第で保険料が安くなるが、逆に高くなることもある。
- 割引の判定は、結果ではなく、過程であり、努力次第で確実に割引を受けられる。
ということです。
まず、特約を付けない「1UP」ではなく、「1UP Vitality」に加入すると、「Vitality健康プログラム」の利用料として月額880円が必要になります。「Vitality健康プログラム」は南アフリカのバイタリティ・グループが開発した健康プログラムで、各国の保険会社が導入をしています。日本では住友生命が導入し、同社の保険商品に付加されました。いきなり、別途料金がかかるというところに、同社の自信が感じられます。ただし、スタート時は「Vitality」の特約を付けることで、元の保険「1UP」に比べて、保険路湯が15%引きとなります。保険料は年齢、性別などで異なりますが、この15%引きで、プログラム利用料880円は賄えるのではないでしょうか。
問題はこの後です。「Vitality健康プログラム」はポイント制で、健康増進の取り組みをすると、ポイントが加算されていき、獲得したポイントによってランクが上がっていきます。1年後にランクが上昇していると割引率が大きくなり、最大で30%まで割引されるようになります。
しかし、健康増進の取り組みを全くしないでいると、ランクが下がっていき、最終的には元の料金と比べて10%まで割増となる可能性があります。スタート時の料金が15%引きですので、そこから比べると29%も上昇する、というわけです。もちろん、すぐに上昇するわけではなく、長年何もしなかった場合です。保険料は上がり、そしてたぶん健康状態も悪くなっていることでしょう。
ここまで追いつめられると、人間やらざるを得ません。ただ、頑張れば確実に保険料を安くすることができます。健康増進型保険の割引の判定では、健康診断の結果など健康状態で判定されるものが多くあります。結果での判定だと、「健康維持に頑張ったけど、結果は良くなかった」ということもあります。しかし、「Vitality健康プログラム」は健康維持活動に取り組むとポイントが溜まっていきます。つまり、努力の過程が反映されます。あなたの頑張っている姿を、見逃さずに評価してくれるのです。
ポイントの対象はいろいろあります。健康診断の結果提出で500ポイント、がん検診で1,000ポイント。専用デバイスやスマホアプリを導入すると、1日8,000歩で20ポイント、10,000歩なら40ポイント獲得できます(64歳以下)。運動後の心拍数によって40~60ポイントをゲットできます。指定のフィットネスジムに行くと60ポイント、ウォーキングやランニングなどの同社のイベントに参加すると100~2,000ポイントがもらえます。これらを積み重ねていくと、ランクがアップしていく、というわけです。いろいろありますので、楽しみながらポイントを貯めていきたいです。フィットネスジムに加入するなら、同社の指定のところになりますね。
ポイントを貯めていくとはいっても、1年間でとなると、なかなかモチベーションが続かないものです。そこで、小さな楽しみも用意されています。1週間の運動目標を設定し、それが達成されると、ローソンやスターバックスのチケットがもらえます。ゲットしたVitalityコインはイオンなどで使えます。毎週、これを目当てに頑張っていけば、1年度にはランクが上がって、保険料が割引になるはずです。
「Vitality」はもろ刃の剣です。頑張れば頑張った分だけお得になりますが、怠ければペナルティが待っています。こんな保険は今までなかったでしょう。「Vitality部」という加入者だけのコミュニティサイトもあり、お互いに励まし合っているそうです。保険加入者同士で交流しながら、健康増進に取り組み、保険料を安くする、なんて聞いたことがありません。生命保険のイメージを変えるさきがけになりそうですが、これこそが本来の〝相互扶助〟の精神なのかもしれません。
2021.8.28記

