放射線は、ガン病巣を死滅させますが、他の臓器までダメージを与えてしまうという問題があります。
そこで、一般的な放射線治療では、前から、横から、斜めから、とあちこちから放射線を照射し、病巣のあたりでクロスするようにします。
そうすることで他の臓器のダメージを少なくしながら、ガン病巣では威力を発揮するように工夫します。
一方、陽子線と重粒子線は、狙ったところにピンポイントで効果を発揮するという特徴があります。
それだけに、副作用が少なく、ガン病巣を死滅させる効果が高くなっています。
ただ、大型で高価な設備が必要になります。陽子線治療では、175トンにもなる大型の装置が必要になります。
重粒子線治療だと、大型の体育館いっぱいぐらいの装置になります。
今回見学したのが、「陽子線治療」を行う施設です。
国内で陽子線治療を行っているのは、現在14か所、重粒子線治療を行っているのは6か所です。
メディポリス国際陽子線治療センターがある指宿市は、鹿児島県の西側、薩摩半島の南端にあります。
開聞岳や指宿温泉があり、砂蒸し温泉でも有名です。
指宿市の市街地を望む高台の上に、メディポリス国際陽子線治療センターがあります。
なぜ、そんなところに先進的な医療施設があるのかというと、年金福祉事業団のリゾート施設「グリーンピア指宿」が閉鎖され、その建物をそのまま利用して「メディカルツーリズム」施設として設立されたからです。
病院であるメディポリス国際陽子線治療センターの隣に、「指宿ベイヒルズHOTEL&SPA」が併設されています。
病院に入院設備はほとんどなく、患者は基本、このホテルに泊まって治療を受けます。
「指宿ベイヒルズHOTEL&SPA」は、リゾート型ホテルですので、観光に来たグループや家族連れと、ガン患者が同じレストランで食事をとっているという奇妙な光景があります。
もっとも、ガン治療といっても、1日20~30分程度の陽子線の照射を受けるだけですので、あとは温泉につかったりしてのんびりと過ごすことになります。
1回の治療で20回程度の照射が必要ですので、1か月近くをこのホテルで過ごすことになります。
(ホテル代は高いので、市内に泊まって通院することもできます。)
海外から受診に来ている人もおり、今後成長が期待される「メディカルツーリズム」の典型といってよいでしょう。



