日経優秀製品・サービス賞2021 続き

先月に続いて、「日経優秀製品・サービス賞2021」の紹介の続きです。今回紹介するのは、金融商品と携帯通信料についてですので、このサイトの内容にはふさわしくないかもしれませんが、先月この賞のご紹介をしましたので、その続きとしてご覧ください。

<最優秀賞>

  • 中央銀行デジタル通貨「バコン」カンボジア国立銀行

「ビットコイン」が登場し、デジタル通貨が普及すると期待されましたが、会の変動性の激しさから、通貨としては機能していません。以前は「仮想通貨」と言われていましたが、「暗号資産」とされています。フェイスブック(現メタ)が「リブロ」というデジタル通貨を発行すると発表しましたが、事実上とん挫してしまいました。アメリカの金融当局が発行に反対したためです。

一方、政府主導でデジタル通貨を発行しようと、各国の中央銀行は調査や実証実験を進めています。中国人民銀行は「デジタル人民元」、スウェーデン中央銀行は「eクローネ」の発行計画を公表しています。そのような中、もっとも早く、2020年10月に正式導入に踏み切ったのが、カンボジア中央銀行の「バコン」とバハマ中央銀行の「ダンドダラー」です。その他にも、東カリブ諸国機構やナイジェリア、ジャマイカなど、途上国の方がデジタル通貨の取り組みで先行しています。

カンボジアは、国民の銀行口座の保有率が低く、多くの国民が決済サービスを利用できるようにと、発行を急いだようです。自国通貨リエルと米ドルに連動することで通貨の信頼が得られるようにしています。実際に普及が広がるのか、トラブルが発生しないのか、今後注視していく必要があるでしょう。

<日経ヴェリタス賞>

  • 株式管理サービス「たくす株」マネックス証券

財産を保有している人が認知症になっても適切に管理できるように、別な人がその人の財産を管理する制度を「信託」と言います。日本では信託銀行や信託会社が扱っています。公正証書を作成して親族が管理する家族信託もあります。(投資信託の信託の一種ですが、性格が異なります。)財産を信託すると、その財産の名義は管理者のものとなり、管理者の〝判断〟で運用が可能となります。ただ、管理者は財産の持ち主のために管理をし、利益の持ち主が受け取れます。相続が発生した際には、持ち主があらかじめ指定した人に渡されます。

このサービスは、マネックス証券の子会社「マネックスSP信託」という信託会社を〝管理者〟として財産を託すサービスです。財産の名義は「マネックスSP信託」となりますが、持ち主がマネックスSP信託に、株式の売買の指図をすると、そのとおりに売買を行いますので、実質的に持ち主の判断でできます。株式の配当の権利確定日にだけ、持ち主の証券口座に移しますので、配当は持ち主が受け取れます。

持ち主が認知症になり、代理人(持ち主の親族など)が医師の診断書を提出すると、売買の指示を出すことができるのが代理人に変更となります。マネックスSP信託は持ち主からの注文は受け付けずに、代理人からの指示に従います。代理人は積極的な投資判断も可能で、その点は管理しかできない成年後見制度と異なります。相続が発生すると、あらかじめ指定された受取人の口座に移されます。

信託は、成年後見制度と遺言書の効果を合わせたメリットがありますが、さらに積極的な投資判断が可能という点も魅力的です。このサービスではマネックスSP信託が管理人となっていますが、当初は持ち主、認知症診断後は代理人の指図を受けるという点が画期的です。マネックス証券に口座がある人が利用できます。

<日経産業新聞賞>

  • 携帯料金プラン「ahamo(アハモ)」NTTドコモ

2020年秋に菅政権が誕生すると、日本の携帯電話の料金が高いことが問題視されました。担当官庁である総務省ににらまれてはかなわないと、auやソフトバンクは、新たな料金プランを発表しました。価格を引き下げたとは言っても、たいしたことはなく、価格破壊とは到底言えないような内容でした。そこに大幅に価格を下げるプランを発表したのがNTTドコモでした。

NTTドコモと言えば、携帯のトップシェアであり、価格の引き下げには消極的でした。携帯で価格破壊はトップシェアの企業にはデメリットが大きいからです。しかし、通信設備を借りて運営する格安携帯電話会社が現れ、シェアが低下していくのは目に見えていました。そこで大胆に方針を転換して格安プランを始めたのです。

NTTドコモは多くの販売事業者を抱え、「ドコモショップ」とすることで充実したサービスを維持していましたが、それには多くの人件費がかかっていました。そこでNTTドコモは、今までのプランを値下げするのではなく、「ahamo」というまったく別のブランドを立ち上げ、窓口をネット専用にすることでコストを引き下げました。既存の社内の体制と区別を測り、ユーザーの棲み分けを図りました。格安プランの利用者をドコモショップから排除することで、ドコモの利用者には不利益を被らないようにしたわけです。ただ、どうしても対面でのサービスを受けたい場合には、1回3,300円での有料サポートを受けられるようにして、救済処置は残しました。料金プランも基本料金2,700円の1プランのみとして、わかりにくさをなくしました。

これを契機に携帯電話料金は価格破壊が起きました。現在ではさらに安いプランを提示する会社も多く表れており、日本の携帯電話はサービスの質と料金に応じて選ぶことができるようになりました。NTTドコモの「ahamo」の登場は、その契機となりました。

2022.6.28記

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