この10月から多くの損害保険会社で、火災保険の保険料が値上げされます。値上げ幅は、保険会社によって異なりますが、大手4社平均では11~13%程度と言われています。よって、新規に加入する場合はもちろん、すでに加入している場合でも更新時期が近い場合には、今月中に見直しをした方がお得になります。といってもあと1週間しかありませんので、「今から言われても!」という状況になってしまい、申し訳ありません。せめて、今後のために状況を見ておきましょう。
火災保険の保険料は、保険会社によって異なります。しかしどの保険会社も、業界共同の組織「損害保険料率算出機構」が公表している「参考純率」というものを基に決めています。この参考純率に各社の経費を上乗せして保険料としているわけです。よって、参考純率が変更になると各社が一斉に(1年5ヶ月後ぐらい)、保険料を改正します。
今回は、昨年(2021年)5月に参考純率を変更したことを受けての保険料変更です。参考純率は地域、建物の構造、築年数などによって細かく算出されています。昨年の変更でも、参考純率が引き上げとなったケース、引き下げとなったケース、さまざまですが、全体を平均すると、10.9%の引き上げとなりました。よって、保険会社によって異なりますが、この10月の保険料引き上げはおおむね、この程度と考えられます。
保険料の引き上げ幅の中身を見てみますと、一般に築年数が経過している建物の方が引き上げ幅は大きくなっています。建物の構造ではマンションよりも戸建ての方が、値上げ幅が大きい傾向があります。また、地域では大阪府を中心とした関西圏、そして首都圏、東北地方などで大きく値上げされています。ケースによっては30%以上も値上げとなっている場合もあります。
損害保険料率算出機構の参考純率は、近年の保険金の支払い状況から、収支が安定するように算出されています。最近は、ウクライナ情勢と為替の円安ドル高のおかげで、あらゆるものが値上げされています。しかし、火災保険はこの影響で値上げしているわけではなく、近年の保険金支払いの増加で値上げとなっているのです。火災保険というと、火災に備える保険というイメージがありますが、実際は火災よりも台風や雪などによる自然災害での保険金支払いの方が多くなっています。近年の自然災害の増加で保険金支払いが増えているのです。
その他にも10月に改正される点があります。1つは、契約期間の短縮です。今までは10年契約までできましたが、10月からは5年が上限となります。その分、長期割引が小さくなりますので、これも保険料の値上げにつながります。以前は36年契約も可能でしたので、隔世の感があります。これも、自然災害の増加で参考純率がたびたび変更されるようになったため、保険会社がリスクを抑えるために、業界全体で契約期間の上限を短くしたのです。
もう1つの改正は、自己負担額(免責)の引き上げです。今までは保険金支払いの際の自己負担額(免責)はまったくなかったり、1万円程度でした。それがこの10月から多くの保険会社で5万円とするように改正されます。火災保険で家財も対象にすると、火災による損害だけでなく、破損、盗難、水漏れなどによる損害も補償の対象になります。ありがたいことですが、近年これらによる保険金請求が増えてしまい、それを抑えるために自己負担額(免責)を引き上げました。
なんだか、加入者にとっては、悪い改正ばかりです。今後の行く末が心配になりますので、〝期待〟になってしまいますが、少し良い材料をご紹介します。
先ほど、近年の自然災害の増加で保険金支払いが増えていると申しました。確かに少しずつ増加傾向にはあるのですが、2018年と2019年は特別に保険金支払いが急増しました。それまでの8年間平均と比べて、2018年は4.77倍、2019年は3.65倍となっています。これは、2018年は台風が関西圏を直撃し、2019年には首都圏で被害がありました。人口が多い地域での被災があり、それまでとは比べ物にならないぐらいの保険金請求があったのです。幸い、2020年、2021年にはそれほどの被害はありません。今年はまだわかりませんが、都市部で災害がなければ、保険金請求が急増することはありません。(この点、ニュースの報道や犠牲者数などとは異なります。)
このままの状況が続けば、保険金支払いは減少し、やがて参考純率が引き下げられ、損保各社の保険料も値下されることになります。まだ、参考純率の引き下げは公表されていませんが、期待したいところです。
もう1つは、各保険会社が損害保険料率算出機構の参考純率から離れて保険料を設定する動きがあることです。参考純率では地域を都道府県に分けて算出しています。しかし、当然のことながら、災害のリスクは地域によってまちまちです。AIやビックデータを活用して、リスクを細かく把握し、保険料の設定に役立てようという動きも出ています。これが実現すると、リスクが低い地域の場合は保険料が安くなるでしょう。
地震保険も10月に保険料が改定されます。地震保険は保険会社と政府が共同で運営していますので、どの保険会社でも保険料は同じです。これも構造や地域などによって改定はまちまちですが、すべての平均では0.7%の引き下げとなっています。ただ、地域によってかなり違いがあり、埼玉県は約30%もの値上げになっています。
2022.9.26記

