火災保険は雪の被害にも対応します

新年早々の1月6日、首都圏は久しぶりの大雪となりました。東京23区でも積雪10㎝となり、これは2018年1月22日以来でした。ご自宅に雪の被害は発生していませんでしょうか。雪の被害にはほとんどの火災保険が対応しています。保険金が出ますので、確認してみましょう。

〝雪による被害〟というと、「雪の重みで自宅が崩壊した」というものをイメージしますが、それだけではありません。火災保険で補える雪の被害にはこのようなものがあります。

  • 隣家からの落雪で自宅の塀が壊れた
  • 給湯器やエアコンの室外機が大雪のせいで故障した
  • アンテナや雨どい、太陽光パネルなどが雪によって壊れた
  • カーポート(車庫)、物置などが大雪の重みで壊れた(←こちらは補償外の場合があります。)

こんなケースであれば、先日の雪でも十分に可能性がありそうです。意外と気がつかないのが、雨どいの破損です。屋根の雪が解けて雨どいに積もると、雨どいが曲がってしまうのです。そのまま放置していると、雨だれで家屋を痛めてしまう可能性があります。雨どいの修理は足場を組むため、数十万円もかかります。雪で雨どいが曲がってしまっていないか、ぜひ確認してみてください。

火災保険という言葉から「火災による自宅の損失を補償する保険」と考えてしまいがちです。確かに火災による被害に備える保険ではあります。しかし火災保険はそれだけではありません。台風や大雪などの自然災害備える保険でもあります。実際には、保険金の支払い実績で見ると、火災による被害よりも、自然災害による被害の方が多いのが現状です。

支払いの原因を、損害保険料率算出機構が公表しているデータで見てみます。「火災、落雷、破損・爆発」「自然災害」「その他(水漏れ損害など)」の3つに分けて比較します。

2018年はことのほか金額が大きいので、その前3年間(2015-2017年)で見てみると、

火災など:19.8%、自然災害:51.6%、その他:28.6% となります。

火災などによる保険金支払いは、火災保険の約2割に過ぎないのです。約半分は自然災害での被害に対する支払いとなっています。水漏れなどの「その他」も28.6%と火災よりも多い状況です。

2018年が異様に大きな金額となっており、気になります。その後の2019年以降は公表されていません。どうなっているのか気になりますね。これについては後ほど触れます。

では、自然災害での内訳はどうなっているでしょうか。

次は、同じく火災保険の保険金支払いの自然災害での内訳です。「風災・ひょう災」「雪災」「水災」の3つに分類して比較します。

やはり2018年は以上に大きいので、その前の3年間で見てみますと、

風災、ひょう災:63.9%、雪災:26.9%、水災:9.2% となっています。

1つ目の分類が、風の被害とひょうの被害を同じくくりにしていますので、わかりにくいのですが、ひょうの被害はそれほど多いとは考えられませんので、その多くは、台風などによる風の被害と考えてよいでしょう。水災には津波による被害は含まれていません。津波は自信を原因としていますので、火災保険では保険金が出ないのです。地震保険の対象になります。よって、台風や集中豪雨による河川の氾濫などによる被害が多いと考えられます。すると、風災と水害と、台風の被害が大きな割合を占めることになります。実際、保険金の支払いは年によってかなりばらつきがあります。大きな台風がいくつも日本を襲った年は保険金の支払いが増えています。雪による被害はそれほど大きくはありませんが、被害を受けていないか、見逃さないようにしたいものです。

では、気になっている2018年の状況を見てみましょう。この年の保険金支払いは、火災保険全体で8,107億円。そのうち自然災害によるものは7,079億円です。自然災害のうちの「風災・ひょう災による保険金」が6,379億円となっています。その前年はそれぞれ2,266億円、1,111億円、766億円でしたから、急増しています。風災などが8.3倍にも増えて、保険金全体での支払額も増えているわけです。図の棒グラフでも2018年の棒はそれぞれ、波線でカットされています。グラフに入りきれないのです。

この年は、9月に関西圏を襲った台風21号、同じ月に首都圏を襲った台風24号と、台風の当たり年でした。6月には瀬戸内地方で豪雨もありました。自然災害が多かったことに加え、関西圏と首都圏が被害を受けましたので、保険金の請求が多かったということもあるでしょう。

データでは2019年以降が公表されていません。2つのデータは、損害保険料算出機構という損害保険会社が共同で運営する団体が発行している「火災保険・地震保険の概況」2021年版から引用しています。昨年の4月に刊行された資料ですので、データが古いわけではありません。

火災保険の請求は、被害を受けてから3年で〝時効〟となります。つまり、3年以内であれば、保険金の請求ができます。そのため、2021年4月の段階ではまだ、2019年の被害による保険金の支払額が確定していないため、データは2018年までとなっているのです。

ちなみに、2019年も台風による大きな被害がありました。10月に東日本各地で被害が発生した台風19号です。各地で川が氾濫し、新幹線の基地が水没したのを覚えている方も多いでしょう。保険金の支払いも大きな金額になっています。

2018年、2019年は火災保険の保険金支払いが、それまでとは比較にならないぐらいに激増しました。それを受けてここ数年、火災保険の保険料は値上げが続いています。火災保険は、収支が均衡するように、元となる保険料率を損害保険料算出機構が算出しており、それを基に各保険会社が保険料を決めています。保険金の支払いが増えると、その2年後ぐらいにほとんどの保険会社が一斉に値上げをします。

幸いなことに、2020年、2021年は大きな自然災害はありませんでした。熱海で土砂災害がありましたが、台風による被害はほとんどありませんでした。まだ公表はありませんが、保険金の支払いは急減しているはずです。1年後、2年後には保険料の一斉値下げがあるはずですが、はたしてどのくらい値下げをするでしょうか。

2022.1.10記

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