激増する自然災害

自然災害が増えています。

そのことは、すでに皆さんも感じられているかと思います。地球温暖化の影響でしょうか?

「今までにない~」「○十年ぶりの~」という集中豪雨や台風、そして猛暑が増えています。ちなみに、集中豪雨や台風の威力が強いのも、温暖化の影響で太平洋の海水温が高いためだそうです。

自然災害の増加と激化にともなって、火災保険の保険金の支払いも増加しています。火災保険というと、「火事に備える保険」と思いがちですが、保険金の支払いの半分以上が自然災害となっています。火災保険は、自然災害の被害を補うための保険なのです。

右のブラフをご覧いただくとお分かりのように、2018年と2019年は保険金の支払いが〝激増〟しています。その前年までと桁違いのペースです。これには理由があります。この2年間は都市部での災害があったからです。2018年は関西圏を、2019年は首都圏を台風が直撃しました。そのために保険金の支払いが急増しています。ですから、このペースが今後も続くわけではないと思いますが、それでも自然債が増え、それに伴って火災保険の保険金支払いが増えている傾向にあるのは間違いありません。

ちなみに、火事については特に増加傾向にはありません。そして、火災保険は漏水などによる水濡れ損害も対象になっています。これによる保険金支払いは増えています。

保険は、保険金の支払いを、加入者の保険料で賄っています。ということは、保険金の支払いが増加しているということは、保険料も上昇するということになります。実際、火災保険の保険料は値上げが続いています。

ちなみに生命保険では、保険料を保険会社が各社で独自に決めています。この保険料をいくらにすればよいか、という計算は保険会社の存続をも左右する、経営の根幹です。支払う保険金に対して保険料が高いと、その保険商品はなかなか売れません。逆に保険料が安いと保険商品は売れるのですが、売れれば売れるほど、保険会社は支払う保険金が多くなり、赤字に陥ってしまいます。保険料を適切な水準にするために、各社ものすごい努力をしてデータを集め、計算をします。保険料の計算をする人は「アクチュアリー」という資格が必要です。もちろん、保険金支払いのデータは社外秘です。

それに対して損害保険では、保険料をいくらにすればよいかは、業界で統一の「損害保険料率算定機構」という組織で算出しています。保険料は各社で異なりますが、それは業界で統一して計算した保険料を参考に、各社のコストを加えているからです。各社の戦略で保険料を抑える場合もありますが、基本となっている計算は共通です。保険金支払いのデータも、この機構という組織に提出しています。

保険金の支払い状況を見ながら、数年おきに機構が基本となる保険料率を変更します。それを受けて、各損害保険会社は自社の保険商品の保険料を変更します。会社ごとに保険料は異なりますが、保険料の見直し時期が同じになるのはこのためで、「各社一斉値上げ」ということになっています。

保険金支払いの増加に応じて、保険料変更の間隔もだんだん短くなっています。前回の値上げは2019年10月で、2016年までの保険金支払いデータに基づいた変更です。次回は、2018年までのデータに基づき、2021年1月に値上げされることになっています。各社で、地域によって異なりますが、平均で6~8%程度値上げされるものと見られています。2019年も保険金支払いが多かったことを考えると、その後も値上げされる可能性もあるでしょう。

2021年1月には、地震保険の保険料も値上げされます。地震保険は、火災保険に加入した人だけが追加で付けることができる保険で、民間の保険会社と政府が協同で運営しています。そのため、保険料は各社同じですが、こちらは2021年1月に平均5.1%値上げされます。

火災保険、地震保険とも、保険料は都道府県ごとに違います。今回の値上げでも、大幅に値上げとなる地域もあれば、値下げとなる地域もあります。この違いは、自然災害と地震の被害の頻度を受けて計算されています。機構での計算は、都道府県ごとになっていますが、一部の保険会社では、ハザードマップの情報での危険の度合いに応じて保険料に差をつけることを表明しています。機構で計算した保険料を参考にするだけでなく、独自に計算した保険料を使う動きが始まっています。

2020.9.6記

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