革新的な保険商品を発売して話題になる、東京海上日動あんしん生命保険が、引受緩和型の保険をリニューアルして新発売としました。引受緩和型保険は、各保険会社とも力を入れていて、新商品が相次いでいます。そんなか、どのような点を〝リニューアル〟したのでしょうか?
保険会社の主戦場は、50~70代
東京海上日動あんしん生命保険は、その名のとおり、損害保険会社の東京海上日動火災保険の子会社である生命保険会社です。かつては、低解約返戻型終身保険の先駆けである「長割り終身」は、貯蓄の代わりになる死亡保険という新分野を開拓しました。医療保険の「メディカルKit R」は、保険給付を受けなければ、支払った保険料全額に相当する金額が後から戻ってくる、として注目を集めました。
今回は、同社の緩和型医療保険「メディカルKitラブ」の保障内容を拡充して、「メディカルKitエール」として新発売としました。以前からある商品の拡充ですので、新たな発想の新商品というわけではありませんが、保障内容を思い切って拡充しています。
保障内容を拡充するということは、販売する保険会社にとっては、利益幅が薄くなるわけですが、利益を減らしても充実させるのは、この分野がこれからの保険の〝主戦場〟と見られているからです。この分野で一定の橋頭保を確保することで、その他の分野も含めてシェアを獲得する狙いだと思われます。
さて、この主戦場とする分野は、50~70代、つまり中高年というわけです。この分野は、かつては保険商品の主戦場ではありませんでした。生命保険は、子供が幼いうちに一家の働き手であるご主人が亡くなった場合に備えるため、とされていました。そうなると30~40代が中心です。しかし、少子化や世帯収入の減少、共働きの増加に伴い、従来のような万が一に備える死亡保険の需要が減少してしまいました。それに代わって関心が高まっているのが、50代以降が、自分のために加入する保険です。
50代以降になると、子育てはおおむね終わるメドがついていますので、大型の保障は必要ありません。ところが、いろいろな病気が見つかる年代ですので、医療費のことが心配になります。50代以降の保険商品の中心は、医療保険、そして老後に備える個人年金や介護保険になります。
ただ、50代だと、すでに病気を抱えていることも多く、かつての医療保険だと、加入時の審査で引っ掛かり、「加入できない」ということが多くなります。そこでニーズが増えているのが、ある程度は健康に問題があっても加入できる「引受緩和型の医療保険」です。
保険に加入できる条件を緩くすると、保険金の支払いが多くなりますので、それは保険料に反映され、保険料が高い保険商品になってしまいます。ある程度はやむを得ないのですが、できるだけ保険料が高くなるのを抑えながら、ある程度加入しやすくするのが保険会社の腕の見せ所です。保険加入にあたって、まったく条件をつけない(病気中でも加入できる)「無選択型医療保険」というものもありますが、これだとかなり保険料が高くなるので、少し条件を緩和して、保険料の上昇を抑えている「引受緩和型」に人気があります。テレビのコマーシャルでも「持病があっても入れる」「保険料も手ごろ」とアピールしているものをよく見かけます。
今回のリニューアルの特徴
さて今回、東京海上日動あんしん生命が、引受緩和型医療保険をリニューアルして、新商品を出しましたが、どんなところを拡充したのでしょうか。
まずは、今までよりもさらに加入の条件を緩和しました。加入にあたっては、「過去1年以内に入院、手術をした」など3つの質問があり、それがすべて「いいえ」であれば、加入できるようになっています。質問に対する回答だけで判断し、保険会社の査定はありません。(虚偽の回答を記入したとわかったら、保険金が支払われません。)
一部の特約についてはさらに条件が厳しくなりますが、それ以外については、以前の同様の商品「メディカルKitラブ」よりも緩和されています。
そして、10種類もの特約があり、保険料の追加でオプションを付けることができます。そのうち「特定疾病保険料払込免除特約」は、ガンや急性心筋梗塞、脳卒中などの重篤な病気になると、その後は保険料の支払いが免除されるというものです。今回のリニューアルで、一定の条件のもと、急性心筋梗塞、脳卒中以外の心疾患、脳血管疾患を対象に加えました。
さらに、保険加入者は医療相談や専門病院紹介のサービスや健康アドバイスが受けられるようになっています。
それでいて保険料は、50~70代については、業界最安値の水準としています。保険料を抑えながら、加入をしやすく、保障を充実するのは、保険会社にとっては利益の圧縮になりますが、それでも同社はこのリニューアルによって、50~70代にアピールしていく方針のようです。
2020.8.2記

