外貨建て保険の税金

為替相場は、1ドル=146円まで円安ドル高に推移しています。昨年の夏には1ドル=151円まで円安が進みましたが、その水準を伺う状況です。アメリカの中央銀行に当たる連邦準備理事会(FRB)が、さらに金利を引き上げるという見通しが強まっており、それを受けてさらに円安が進むという見方もあります。

アメリカドル建ての金融商品を、昨年の夏に購入した人はまだ利益が出ていませんが(現状ではまだマイナス)、それ以外の時期に購入した商品は、為替の面ではプラスになっているケースが多いのではないでしょうか。保険商品の場合、早期の解約には解約控除がかかる商品もあり、一概に利益が生じているとは限りませんが、それでも利益になっているケースは少なくないでしょう。今回は、外貨建て保険を売却した場合の税金の扱いを見ていきます。まずは、その保険商品の日本円での税金の扱いを確認し、それがドル建ての場合にどうなるかを見ていきます。

保険商品は、税金の面ではかなり優遇されています。国民に広く加入してもらい、自助努力でいざというときに備えてほしい、という国の狙いです。

医療保険や定期保険の方な掛け捨ての保険は満期金がありませんが、養老保険は満期金があり、払った保険料が満期金として戻ってきます。個人年金は、つみたてた保険料を老後に年金として受け取ります。また、終身保険は満期がありませんが、途中解約すると灰白返戻金があり、払った保険料の総額よりも増えていることが多いです。そのような保険商品では、

「受け取った満期金や解約返戻金、年金-払った保険料の総額」は、その保険商品の運用によって得られた利益となり、所得税の対象です。ただ、差額がすべて利益として所得税の対象になるのではなく、かなり抑えられています。

受け取った満期金や解約返戻金から払った保険料の総額を引き、保険商品で得られた利益を算出します。その利益から50万円を差し引き、さらにその金額を半分にした金額が所得税の対象になります。その金額は、給与収入や年金収入と合算して、確定申告をします。いわゆる、総合課税となります。利益が50万円を超えなければ、実質非課税です。円建ての保険商品であれば、まずこの範囲に収まるでしょう。

年金で受け取る場合は、少し計算が複雑になります。受け取る年金額から払った保険料を差し引き、保険商品の運用によって得られた利益を算出しますが、1年当たりの「払った保険料」を算出する必要があります。払った保険料の総額を、年金支給開始日の平均余命(平均して、あと何年生きるかを統計上計算したもの)で割って、1年当たりの払った保険料を算出します。そして、「受け取った年金額-払った1年当たりの保険料」が1年当たりの利益となります。この金額を給与収入や年金収入と合算して、総合課税として、確定申告をします。50万円を差し引いたり、金額を半分にしたり、といったことは行いません。(ということは、年金で毎年受け取るよりも、一時金でまとめて受け取った方がお得、ということになります。)年金をもらっている間、毎年この計算を行って、確定申告をすることになります。実際には、「払った1年当たりの保険料」は、保険会社より通知がありますので、それを利用すればそれほど手間ではありません。1年当たりの利益が25万円を超えた場合は20%(同20.315%)が源泉徴収されますが、そこまでいかなければ確定申告が必要になりますので、毎年手間はかかります。税率は、その人の給与収入などによりますので、一概には言えません。

保険商品の中では、例外的に特別な扱いをするものもあります。

  • 一時払い養老保険で、保険期間が5年以内のもの
  • 一時払い養老保険で、5年以内に解約されたもの
  • 一時払い個人年金保険で、年金総額が確定しているものを、5年以内で年金支払い開始前に解約したもの

以上については、「受け取り総額-一時払い保険料」の金額を利益として、その金額の20%(同20.315%)が源泉分離課税の対象になります。満期金や解約返戻金が出る際に源泉徴収され、納税手続きは完了し、申告分離課税や総合課税など、他の方法は選択できません。手続きは楽ですが、税率は他の保険商品よりは高くなり、保険商品としての優遇はありません。5年以内の運用で、保険としての性格が薄いことから、金融商品としての扱いになっているのです。

さて、外貨建ての保険商品の扱いを見てみます。結論から申し上げると、円建てのものとまったく同じ扱いになります。為替による利益も保険商品による利益として扱います。

一時金の場合、利益から50万円を差し引き、その半額を他の所得と合算して確定申告。

年金の場合、その年分の利益を他の所得と合算して確定申告。

金融商品として扱う保険は、利益の20%(同20.315%)が源泉徴収されて完了。

外貨建ての場合、満期金あるいは解約返戻金を外貨のままで受け取り、円にしない場合もあります。その場合は、受け取る日の為替レートで円換算して、円での利益を計算し、その20%(同20.315%)が、外貨で源泉徴収されます。

外貨建ての場合、為替レートの状況によって、利益が大きく膨らむこともあります。為替のタイミングを見ながらも、税金の扱いを考慮しながら解約する必要があります。

2023.9.18記

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