火災保険のいろいろ

火災保険の商品内容について詳しく見てみましょう。細かな商品内容については、各社によって異なりますが、火災保険は大きく分けると、「住宅火災保険」と「住宅総合保険」に分類できます。補償範囲は以下のようになっています。

  • 住宅火災保険:①火災、②破裂・爆発、③落雷、④風災・ひょう災・雪災
  • 住宅総合保険:上記①~④に加えて、⑤建物外部からの物体の飛来・落下・衝突など、⑥給水設備の事故などによる水漏れ、⑦騒じょう・集団行動・労働争議などによる暴行など、⑧盗難、盗難による破損・汚損、⑨水災、⑩持ち出し、家財の損害(家財を保険の対象として契約した場合)

「住宅火災保険」に比べて「住宅総合保険」の方が、補償の内容が広くなっています。当然、保険料も高くなりますので、費用と不安を天秤にかけて選択することになります。

この2つを取り揃えて、加入時に選択するようにしている保険会社もありますが、どちらか1つ(一般的には補償範囲が広い「住宅総合保険」)だけを販売している保険会社もあります。また、それぞれの補償を切り離して、選択できるようにしているところもあります。品揃えとしては両方を用意しておきながらも、実際には「住宅総合保険」だけしか扱っていないかのように、これを前提に話を進められる場合もありますので、注意が必要です。

いくつか事例を見てみましょう。

  • 東京海上日動火災保険

「トータルアシスト住まいの保険(火災保険)」

商品は1つだけで、この商品の中で必要な補償を選択できるようになっています。お勧めの組合せとして、「スタンダードタイプ」(①火災、④風災、⑨水災、⑧盗難・⑥水濡れ等)と「充実タイプ」(上記+破損等)が用意されています。「トータルアシスト住まいの保険(地震保険)」が「原則自動セット」となっていますが、取り外すことも可能です。

  • 損保ジャパン

個人用総合火災保険「THEすまいの保険」

基本保障(①火災、②破裂・爆発、③落雷、④風災・ひょう災・雪災、⑨水災、⑤外部からの衝突、⑥水濡れ、⑧盗難、破損・汚損などの補償)に、災害時の費用保険までがセットになっています。地震保険も「原則セット」ですが、取り外しもできます。さらに、補償を充実させるオプションもあります。

  • ソニー損保

「新ネット火災保険」

インターネット専用の商品です。補償内容のほとんどが個別に選べるようになっています。火災や風災など、最低限の補償に絞ると、すべてを選択した場合の半分程度の保険料で収まります。申込みはインターネットのみとなっています。

  • 日新火災海上保険

自由設計型火災保険「住自在(すまいの保険)」と「住宅安心保険」の2つを用意しています。「住自在(すまいの保険)」は、住宅ローン利用者専用で、補償内容を絞ることができます。「住宅安心保険」は、補償内容が充実した「住宅総合保険」で、さらにオプションで個人賠償責任保険などを追加することができます。

大手保険会社は充実した補償をセットにしており、保険料が高い地震保険も〝原則セット(取り外し可能)〟としている傾向があります。中堅以下の保険会社では、選択の幅を広げているところもあります。保険会社にとって、主力は自動車保険であり、火災保険はそれほど注力しているわけではありません。それだけに、商品が充実しているとは言えない状況です。

火災保険と言えば、注意したい点があります。

「火災保険を使うと、無料で自宅の修理ができる」とセールスをしている工務店が少なくないのです。

今まで述べてきましたように、火災保険は火災や台風などの自然災害、水漏れなどによる損害を補償します。保険金の申請では、壊れた部分の写真を、修理の見積書などと一緒に提出します。申請書類には、いつ破損したかも記載します。あくまで、火災や水漏れなどの〝事故〟や台風などの自然災害があって、破損した場合が補償の対象です。建物ですから古くなってくればあちこち傷んできますが、経年劣化による破損は対象ではありません。

ところが、一部の工務店では「○年○月○日の台風での被害だと申請すれば、保険金が下りる」と勧誘してくることがあります。「申請書はこちらで作成します」とも言ってきます。。実際、それで審査を通って修理費が保険金で出てしまうこともあります。しかし、虚偽の申請だと発覚すれば、保険金が出ないだけでなく、保険金詐欺として刑事告訴されないとも限りません。その際の虚偽の申請をしているのは、工務店ではなく、申請した契約者本人になります。つい甘い言葉に載せられて、セールスの申し出をOKしたら、自分が詐欺をしていることになってしまうわけです。

雪の重みによる雨どいの破損。先にご紹介したように、修理には数十万円がかかります。雨どいが曲がっている家を見つけては、「火災保険で、無料で修理ができます」とセールスして回っている工務店が少なくありません。今までは「2018年1月22日の首都圏での大雪で破損したと申請すればとおる」と言ってセールスをしていました。火災保険は3年以内であれば保険金請求ができるからです。間もなく時効の3年となりますが、今度は「2022年1月6日の雪でと申請すれば。。。」と勧誘することでしょう。

しかし、1年も2年も経過しての申請は、不自然と言えなくはないでしょう。保険会社も用心していますので、いろいろと確認をしてくる可能性があります。それだけに、先日の雪で破損したのであれば、早めに写真と見積りを取って、保険金請求をしましょう。保険は悪用してはいけませんが、活用はしっかりとしていきたいものです。

2022.1.27記

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