生命保険会社が新商品を発売すると、マスコミやファイナンシャル・プランナー向けに商品説明会を開催することが多く、私もしばしば招かれます。コロナ禍でしばらくの間は開催がありませんでしたが、このところ相次いで再開されるようになりました。まだネットでの開催が多いのですが、リアルで再開したところもあります。そんな中から、最近の新商品や商品改訂をご紹介いたします。あくまで私が説明会に参加した保険会社だけですが。。。
<新商品>
●オリックス生命:ドル建て終身保険「キャンドル・ワイド」
ここ数年、生命保険会社がもっとも力を入れているのが「外貨建て保険」です。保険商品は、加入者が払った保険料を運用して保険金や満期金に充当しますが、最近の低金利で運用の成果がほとんど生じません。日本よりも金利の高い国の通貨であれば運用成果が得られるということで、さかんに外貨建ての保険を販売しています。特に、死亡や病気の際の保障よりも貯蓄を重視した保険商品でその傾向があります。貯蓄性が高い終身保険で米ドル建ての「キャンドル」を販売していたオリックス生命が、その保障をさらに広げた「キャンドル・ワイド」を発売しました。
2年前に発売した「キャンドル」に対して「キャンドル・ワイド」は、不慮の事故で身体障害となった場合に保険料が免除になる点が異なります。三大疾病や介護状態になった場合にも保険料免除とすることもできます。三大疾病や介護状態になった場合に保険金が出る「充実保障プラン」もあります。
「キャンドル」「キャンドル・ワイド」ともに共通する特徴として「低解約返戻型」となっている点が挙げられます。保険料を払っている間は解約した場合に戻る金額が少ないのですが、保険料支払い期間が終了すると急にその金額が大きくなる仕組みとなっています。より貯蓄重視であると言えますが、為替変動リスクがあるにも関わらず、かなりの期間は解約が不利になるわけで、リスクは小さくありません。ネット通販も多い同社ですが、この商品に関しては為替リスクもあることから対面販売専用としています。保険代理店などで取り扱われることになりますが、この商品のリスクを認識できる販売員は少ないでしょう。
<新しい特約>
●住友生命:認知症保険「認知症プラス」
生命保険では、新しい分野の保険商品が人気を呼ぶと、各社が追随する傾向があります。かつては「介護保険」の発売が相次ぎましたが、それが一巡した今は「認知症保険」の発売が続いています。介護保険は、認知症も含めて介護状態になったら保険金が出るのに対して、認知症保険は認知症だけを給付の対象としていますので、ちょうど、「医療保険」と「がん保険」の関係と言えるでしょうか。
住友生命は、他のメインとなる保険に付け加える特約として認知症保険を発売しました。この特約は、認知症(器質性認知症)と診断されたら200万円の一時金が出ます。また、軽度認知障害(MCI)と診断された場合には20万円の一時金が出ます。軽度認知障害(MCI)とは、もの忘れがあるものの日常生活への影響はほとんどない、認知症の一歩手前の状態です。この段階で適切な治療を行えば、正常な状態に回復するとされています。
<商品改訂による新商品>
●FWD富士生命:がん保険「FWDがんベスト・ゴールド」
保険商品を発売してから何年かが経過すると、保障内容を改訂して新しい名称で新商品として発売することが良くあります。新商品というよりは商品内容の改訂といった方がよいでしょう。FWD富士生命のこの商品も同様で、ヒット商品である「がんベスト・ゴールド」に「新」が付き、「α」が付き、さらに社名を付けての今回の改定となりました。がんと診断されたら、300万円が一時金で出るという大きな特徴は初代の「がんベスト・ゴールド」から変わっていません。今回改訂された主な点は以下のとおりです。
- 「上皮内がん」も支給の対象とした。(以前は、特約を付けた場合だけでした。)
- 年1回を限度に、何回でも支給される。(以前は、2年に1回でした。)
- 診断確定から1年経過後の通院治療でも支給の対象となった。
- 「自由診療抗がん剤治療特約」「がん収入サポート特約」(15万円まで毎月給付)あり。
- 治療情報提供サービスを開始。(全国のがん治療の治験情報を提供)
●メディケア生命:医療保険「新メディフィットA」
こちらは「メディフィットA」の商品改訂です。メディケア生命は住友生命の子会社で、保険代理店、金融機関、ネット通販専用の保険会社です。販売している保険商品は、内容がシンプルで保険料が安いのが特徴です。「メディフィットA」も保険料が安いことが魅力でしたが、今回の改訂でさらに保険料を引き下げました。年齢、性別によって10~30%程度。
例.50歳男性[60日型(三大疾病は無制限)、手術給付金は最大50倍]:3,180円⇒2,735円
50歳女性[60日型(三大疾病は無制限)、手術給付金は最大50倍]:2,657円⇒2,110円
さらに保障の条件の選択肢を増やしました。1入院の限度日数は60日、120日に加えて、30日を新設しました。三大疾病の場合は日数無制限となっていましたが、そうしないこともできるようにしました。(その分保険料は安くなる。)手術給付金なしも選べるようにしました。全体に保険料を引き下げましたが、保障を削ってさらに安くできるようにしたわけです。ネット通販を中心に保険料競争が激化しているのに対応したものと思われます。もっとも、加入者の選択を見ると、ある程度は厚い保障を求めている傾向があります。
2020.11.10記

