主婦の遺族基礎年金③

ところが、土壇場になって〝物言い〟がつきました。
「第3号被保険者が死亡した場合を、年金支給の対象から外すべきではない」との意見です。
次のようなケースがあるからです。

 

ここに共働き夫婦がいました。
妻も正社員ですが、収入は夫の方が多く、一家の大黒柱は夫です。(よくあるパターンです。)
あるとき、夫がリストラにあい、失業してしまいました。
とりあえず、次の仕事が見つかるまでの間は妻の扶養になります。(第3号被保険者)
この時に、夫が死亡した。

「第3号被保険者が死亡した場合に、遺族基礎年金を支給しない」と規定していると、上記のケースでは、年金が支給されなくなってしまいます。
妻は正社員であるとはいても、一家の大黒柱と言えるような状況ではありません。
たまたま一時的に夫が扶養となったがために、遺族基礎年金をもらう権利を失ってしまうわけです。

〝物言い〟を付けたのが、年金制度の専門家である「全国社会保険労務士会」だったからでしょうか?
結局、厚生労働省は、第3号被保険者を除外する規定をあきらめました。
すでに法律の施行が局前に迫っていたため、「施行令」は変更なしとなりました。

今年の4月以降に、①子供がいる ②夫は年収850万円以下 ③妻は専業主婦またはパート主婦 のケースで、妻が亡くなった場合に、夫に遺族基礎年金は出るのでしょうか。

まず、法律の趣旨からすると、明らかに問題です。
妻が亡くなり、家族は大変ですが、経済的には困るわけではありませんので、年金を支給する必要はありません。
ただ、制度の運用をルールに照らすと、支給されることになります。

この点、厚生労働省も、実際の運営を行っている日本年金機構も見解を公表してはいません。
こんなことは、マスコミで取り上げられたら、また袋叩きに会います。
私も日本年金機構に問い合わせをしてみましたが、要領を得ない回答で、まだはっきりとした方針を出せていないようです。
今後、申請があった場合に対応を決めるのかもしれませんが、私が受けた印象では「申請をさせない」という手を考えているように思えました。
年金の支給は、申請があって始めてなされます。
申請がなければ、支給はありません。
「あなたは遺族基礎年金がなくても困らないでしょう」と追い返してしまうのです。

生活保護の支給が増えると、自治体は負担になりますので、なるべく支給を増やしたくありません。
しかし、申請があって、条件に該当すれば支給しないわけにはいきません。
そこで、市役所の窓口で申請をさせないようにすることを「水際作戦」と言います。
今後、年金事務所でも、遺族基礎年金の「水際作戦」が実施されるかもしれません。

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