「生命保険信託」は、プルデンシャル生命と三井住友信託銀行が共同で作り上げた仕組みです。
生命保険金の〝受け取り方〟の1つの方法といえます。最近は徐々に扱う保険会社&信託銀行も増えてきました。
商品の内容を説明する前に、「信託」について触れます。
「信託」とは、「自分または親族などのために、財産の管理を専門家に任せる仕組み」です。
日本では、文字通り「信託銀行」の分野となっていますが、今までは「投資信託」や「金銭信託」など、依頼者本人のために財産を管理して利益をもたらす商品が中心でした。
そのために、運用商品の1つとして考えられていました。
しかし、本来は〝財産の管理を専門家に任せる〟ということが「信託」の主旨であり、運用の成果を得るのは、依頼者本人とは限りません。
「依頼者の委託に基づいて、依頼者の死後、その子供のために、専門家が財産を管理しながら、少しずつ子供に渡していく」ということができます。
相続と異なるのは、財産を金融機関が管理しており、当の子供も自由に使うことができないという点にあります。
子供が利益を得る場合であっても、委託者の依頼に基づいて、渡していくことになります。
「信託」という仕組みを使うと、依頼者は、自分の死後も自分の希望する通りの方法で財産を子供に譲ることができるようになります。
生命保険の中心は死亡保険です。
人が死亡した際に保険金が出るもので、「終身保険」「定期保険」「収入保障保険」など、いろいろな商品は、この死亡保険の1つです。
たいていのものは、保険に加入した人が死亡すると、「保険金受取人」に指定されていた遺族に対して、まとまった金額である保険金が出ます。
ただ、急に〝数千万円〟もの保険金が出ても、遺族も困ることがあります。
その場合は、遺族が希望すれば、「年金払い」という方法で、毎年少しずつ受け取ることができます。
「収入保障保険」(保険会社によっては「家族保障保険」と言っています。)は、あらかじめ、毎年あるいは毎月、少しずつ受け取ることを前提に商品が設計されています。これなどは、ご主人が亡くなった後も、毎月、生活費が振り込まれることになり、生活設計が立てやすいという利点があります。
ただ、保険に加入した人がなくなれば、保険金はあくまで「保険金受取人」のものです。
あらかじめ「年金払い」を指定していたとしても、「収入保障保険」に加入したとしても、受取人が希望すれば、保険会社は一括で保険金の全額を支払うことになります。
それを止めることは保険会社にはできません。
その結果、一挙に数千万円ものお金を手にした遺族が無計画な使い方をしてしまったという事例は枚挙にいとまがありません。
遺された子供のために有効に使わなければと、資産運用に取り組み、かなりの金額を減らしてしまうことも珍しくありません。
遺族である子供に代わって財産を管理する親族が信用できない場合もあります。
生命保険では、加入する人は「保険金受取人」を指定することはできますが、自分の死後のお金の使い道を指定することまではできないのです。
保険をかけた人の死後も、その人の意思を尊重した使い方をするように、信託銀行に管理してもらうのが、「生命保険信託」です。
「生命保険信託」は、死亡保険に付加する形で契約します。
人が死亡したら保険金が出る保険商品なら、なんでも付けることができます。(もちろん、現状ではプルデンシャル生命の商品だけです。)
すでに加入している保険に付けることもできます。
この契約をすると、「保険金受取人」は信託銀行となり、保険金はすべて信託銀行の口座に入ります。
信託銀行では金銭信託で運用しながら、〝契約者の指示〟に基づいて指定された遺族に払います。
「毎月10万円ずつ」との指定があれば、その通りに支払っていき、受取人が変更をすることはできません。
信託銀行に振り込まれた保険金は、亡くなった契約者の信託財産であり、遺族であっても自由に扱うことはできません。(法律的には、「財産権」は信託銀行にあり、遺族は「受益権」というものを持つことになります。)
契約者は、信託銀行に対して、あらかじめ財産の渡し方の指示をしておくわけですが、いろいろな指定をしておくことができます。
例えば、「教育上、必要な場合はその分を臨時に受け取ることができる」と指定しておきます。
遺族が大学に合格した際に、信託銀行に申請をすると、教育資金がまとまって支払われます。
信託銀行は、亡くなった契約者の指示に基づいて申請を審査して対応します。
遊興費など、適正でない申請であれば、支払いを拒否します。
信託銀行が契約者に代わって財産を管理することで、亡くなった契約者の意思を継いでいくのです。
次回は、この仕組みが、特に効果を発揮する事例をご紹介いたしましょう。

