先月、「日経優秀製品・サービス賞2020」の授賞式が行われました。この賞は前年に日経新聞などで紹介された製品・サービスのうち、優れたものを表彰するものです。今回は、今までとは形式を少し変えて、合計36点が選ばれて表彰されました。そのうち、すべての分野を対象にした最優秀賞は16点、製品を中心とした日経産業新聞賞が9点、消費財やサービスを対象とした日経MJ賞が8点、金融商品の日経ヴェリタス賞が2点、日経アジア賞が1点となっています。保険分野での受賞商品を見てみましょう。
<最優秀賞>
- 「事故状況再現システム」東京海上日動火災保険
スーパーコンピューター「富岳」やゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」、オンライン会議システム「Zoom」とともに最優秀賞に選ばれたのが、東京海上日動の「事故状況再現システム」です。これは、1つの保険商品ではなく、自動車保険につけるオプションサービスです。自動車事故が発生した際に、ドライブレコーダーの映像やGPSによる地図情報からAIが事故状況を解析し、過去のデータなどから5分程度で過失割合までを判定するシステムです。これによって、事故の迅速な解決と保険金の支払いに活用できます。
対象となる保険は、同社の自動車保険「トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険)」です。この保険にはオプションで、ドライブレコーダーを付けることができます。(月額650~850円)このドライブレコーダーは通信機能が付いていて、強い衝撃を受けると同社の事故受付センターにつながります。オペレーターと話ができ、状況によっては救急車の手配もしてくれます。ここまではすでにあったサービスですが、さらに届いた映像と現場地図を基に、AIが事故状況を解析するサービスを付け加えました。AIの判定を活用しますが、顧客と相談した上での保険金支払いとなります。さらに、解析結果は顧客が関係者への説明に利用することもできるようになっています。
「事故状況再現システム」だけでなく、事故時の映像の記録、オペレーターが応対してくれること、すべてが事故時に心強い味方となります。保険金を払うという保険の機能を超えたサービスだと思います。
<日経MJ賞>
- 「ガン保険スマート」セブンイレブン・三井住友あいおい生命
三井住友あいおい生命は代理店経由で「&LIFEガン保険スマート」という保険を販売しています。それを、セブンイレブンのマルチコピー機で加入できるようにしたのが、「ガン保険スマート」です。コピー機で申し込みの操作をして、初回保険料をレジで支払うと、申込み完了です。健康状態などの質問は3つだけとなっています。
コンビニのコピー機での入力となると、時間がかかってコピーの人を待たせるのが心配になりますが、事前にスマホで情報を登録しておくと、コンビニでの操作は最小限になります。初回の保険料はレジ払いですが、2回目以降は口座引き落としなどを選べます。
保障内容は若干異なりますが、代理店経由のものと比べて、保険料は半額程度と安くなっています。保険営業マンが来たりするわずらわしさがなく、しかも保険料が安いのですから、「がん保険に入ろう」と思っている人には魅力的です。
<日経ヴェリタス賞>
- 「認知症サポート信託」みずほ信託
基本は、一定額を預けておき、その後は定期的に定額を引き出す仕組みです。本人が認知症と診断されたら、代理人が臨時の引き出しをできるようになります。本人が認知症になるまでは、本人の意思で契約内容を変更することができます。同様の信託商品は、代理人の同意が必要になっているものが多く、この点が画期的です。
- 投資信託「マネックス・アクティビスト・ファンド」マネックスグループ
アクティビストとは、会社の経営方針に意見を表明する〝もの言う株主〟です。従来は株主が生券を言うことは少なかったのですが、海外の株主をはじめ、経営方針に口出しをする株主が増えました。この投資信託は、投資先の企業に経営方針への意見を言うようにします。そうすることで企業の魅力が増せば、株価が上昇して運用の成果が向上します。
<日経産業新聞賞>
- 「究極のヤマシン・フィルタマスク」ヤマシンフィルタ
金融・保険とまったく関係ないのですが、1つご紹介します。建設機械の油圧機に使われるフィルターを製造しているメーカーが作った不織布マスクです。油圧機は不純物が混じると故障の原因になるため、超微細のフィルターを使っています。その技術をマスクに利用しました。不織布でありながら、何度か洗って使えます。価格も1枚150円と手頃です。
2021.3.8記

