新型コロナ感染を受けての支払い猶予・減免

【支払いの猶予】

所得税の支払い猶予

確定申告の期限が1ヶ月延長され、4月16日までとなりましたが、それだけでなく、国税の支払いが難しい人向けに、支払い猶予制度が設けられました。猶予されると、猶予期間中は原則として担保が必要なく、差し押さえも実行されません。延滞税については、軽減されるということですので、多少課される可能性はあります。

  • 猶予期間:原則1年間(さらに1年間猶予される場合もあります。)
  • 要件
    • 納税をすると、事業の継続や生活の維持が困難になる。
    • 消費税など、他の国税の滞納がないこと。(消費税の場合は、所得税など)
  • 手続き:納付期限から6ヶ月以内に、税務署に「納税(換価)の猶予申請書」を提出。
  • コメント:新型コロナウィルス感染症の影響で税の支払いが難しい場合(国税徴収法第151条の2)と、個別の事情で税の支払いが難しい場合(国税通則法第46条)の2つの制度がありますが、どちらも内容は同じです。

住民税・固定資産税の支払い猶予

住民税や固定資産税など、地方税でも同様の措置が取られています。国から自治体に対して措置の実施が求められていますので、どの自治体でも同様に実施されます。

  • 猶予期間:原則1年間(さらに1年間猶予される場合もあります。)
  • 要件:納税をすると、事業の継続や生活の維持が困難になる。
  • 手続き:納付期限から6ヶ月以内に、市区町村の税務課に申請。
  • コメント:所得税も同様ですが、要件が明確ではありませんので、いきなり申請書を提出するのではなく、まずは「納税すると生活が立ちいかなくなる」と相談をすることになります。その上で、申請書の提出となるようです。

国民年金保険料

新型コロナの感染拡大を受けての猶予制度は特に設けられていません。従来からある免除制度を活用することになります。国民年金保険料は収入にかかわらず一定金額(2020年度は月額16,540円)ですので、所得によって免除制度が設けられています。通常は前年度の所得によって適用されますが、失業と事業廃止の場合は前年の所得にかかわらず申請ができます。適用要件:本人、配偶者、世帯主の前年または前々年の所得が一定額以下の場合に、全額または一部の支払いが免除されます。本人が失業しても、配偶者や世帯主(親など)に所得がある場合は適用されません。世帯主を所得の審査対象からはずす「納付猶予」もあります。

適用期間:年度ごとの申請になります。失業と事業廃止の場合は、翌年度までが適用になり、それ以降は前年または前々年の所得に基づいて適用されます。

手続き:免除申請書と下記の必要書類を、市区町村の国民年金の窓口に提出します。年金事務所でも受け付けますし、郵送でも構いません。申請用紙は、日本年金機構のサイトでダウンロードできます。

必要書類:失業の場合は「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険被保険者離職票」が必要になります。事業廃止の場合は下記のいずれかです。

a.厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し
b.履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書
c.税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し(税務署等の受付印のあるものに限る。)
d.保健所への廃止届出書の控(受付印のあるものに限る。)
e.その他、公的機関が交付する証明書等であって失業の事実が確認できる書類

適用された期間の扱い:失業と事業廃止の場合は、配偶者と世帯主に所得がなければ、全額免除が適用されます。保険料の支払いは必要ありませが、老後の年金額は若干少なくなります。この期間は半分の扱いで年金額が計算されます。2年間は後から遡って保険料を支払うことができます。障害となった場合の障害年金、死亡した場合の遺族年金については、保険料を払っているのと同じ扱いになります。

コメント:新型コロナの影響で、失業または事業を止めた場合はこの制度が使えます。しかし、減収の場合は適用されません。また、適用されて保険料の支払いが免除された場合でも、老後の年金額が少なくなり、将来への不安を残すことになります。

国民健康保険料(税)

国民健康保険料(税)は、自治体で決めていますので、それぞれ異なります。ただ、新型コロナの感染による保険料の減免については、国が基準を示して自治体に財政支援をすることになりました。よって、おおむね全国同じ基準で、保険料の減額や免除が適用されます。

①世帯主が新型コロナ感染症で死亡した場合

②同じく重篤な病気となった場合

③収入が減少し、下記のすべてに該当する場合

  ア.事業収入が前年比30%以上減少した

  イ.合計所得金額が1,000万円以下

  ウ.事業収入以外の所得が400万円以下減額割合:収入の減少に応じて、
    20%~全額

コメント:詳細は今後、各自治体より公表されます。基準は明確に示されることになりそうですが、減収となった証明をどうするかがポイントになりそうです。

電気・ガス料金

電気料金・ガス料金の支払いを柔軟に対応するように、経済産業省から電力会社、ガス会社に対して要請が出されています。それを受けて、各社は料金の支払期限の延長措置などを取っています。ここでは、東京電力エナジーパートナーの対応をご紹介します。

  • 対応策:3月19日以降、3、4、5月分の電気・ガス料金の支払期日を1ヶ月延長
  • 対象:都道府県の社会福祉協議会より「緊急小口資金」「総合支援資金」の貸し付けを受けている人から申し出があった場合

電話料金

電話料金についても、各社対応しています。ここではNTT東日本、NTTドコモなどのNTTグループの対応をご紹介いたします。

  • 対応策:2020年2月末日以降の料金の支払いを、5月末まで延長
  • 対象:申し出があった人、法人のすべて

【中小事業者に対する税制上の措置】

個人の税金の支払い猶予についてはすでにご紹介しましたが、中小企業については特別な措置が設けられています。経済産業省の主導で定めた緊急経済対策の一環です。

固定資産税・都市計画税の減免

  • 内容:2021年度の固定資産税と都市計画税を、売上の減少幅に応じて、免除または減額とします。
    • 2020年2~10月の任意の3ヶ月の売上の減少幅が30%以上⇒半分に減額
    • 2020年2~10月の任意の3ヶ月の売上の減少幅が50%以上⇒免除

税の支払いの猶予

  • 内容:法人税や消費税、固定資産税など、すべての税金の支払いを、1年間猶予
  • 対象:2020年2月以降、前年同月比20%以上の収入減少となった企業

2020.4.21記

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