今回は、介護保険によるサービスの中の「居宅介護支援」についてご紹介いたします。その前にまず、介護保険について確認します。
介護保険制度は、介護が必要な状態になったら(「要介護」といいます)、介護のサービスを受けられる、公的な保険制度です。介護のサービスを提供しているのは様々な民間企業ですが、介護保険制度という枠組みの中で提供されています。そのため、利用者が支払う費用は、本来の費用の1~3割で、残りは介護保険からお金が出ています。(ご本人の収入によって、利用料の負担が1割から3割まで分かれています。)
介護保険制度という、公的な仕組みのおかげで、安い利用料でいろいろなサービスを利用できるようになっています。もちろん利用の限度はありますが、その範囲の中で介護サービスを利用することで、要介護のお年寄りを抱える家族の負担が軽くなります。「要介護」よりは軽い「要支援」とされた人も一定の範囲内でサービスを利用できます。要介護、要支援などの「介護を必要とする状態」は全部で7段階にランク分けされており、そのランクによって利用できるサービスや利用できる限度が異なります。市区町村の介護課に申し込むと、介護認定の審査があり、要介護・要支援のランクが決まります。申し込みは、地域の相談窓口である「地域包括支援センター」でも受け付けています。
特別養護老人ホーム(通称〝特養〟)や有料老人ホームを利用している人は、それらの施設に入居しているということが、介護のサービスを受けていることになります。そのため、サービスの選択の余地はなく、毎月料金は決まった料金を支払います。利用料のうちの一部が「介護費用」とされており、その部分の7~9割が、介護保険から支払われています。つまり、介護保険からの〝補てん〟のおかげで、毎月の利用料が安くなっていると言えます。
一方、自宅で暮らしている人は、介護のためのいろいろなサービスから希望のものを選んで、利用枠の範囲内で利用するという形になります。利用者の負担は、先ほど述べましたように、本来の料金の1~3割となります。自宅で暮らす人が利用するサービスは「居宅介護サービス」といいますが、いろいろなものがあります。少しご紹介しますと
- 訪問介護:ヘルパーさんが自宅に来てくれ、食事を作ったり、食事・排泄・入力などの介助をしてくれます。
- 通所介護:〝デイサービス〟と言われるもので、お年寄りが1日を過ごす施設です。朝、車で迎えに来てくれ、日中は昼食や入浴、レクレーションなどのサービスを受け、夕方に自宅まで送り届けてくれます。
- 訪問入浴介護:看護師やヘルパーが3人がかりで浴槽を自宅に持ち込み、入浴をしてくれます。寝たきりの人でも自宅でお風呂に入ることができます。
その他にも、理学療法士が自宅に来てリハビリをしてくれるサービス、看護師が来て療養指導をしてくれるサービスなど、いろいろなものがあります。施設に短期間泊まるサービスもあります。
いろいろなサービスがありますが、利用料金はそれぞれ異なります。サービスの種類だけでなく、利用時間、利用する人の要介護のランク、さらにはこれらの人を派遣する、居宅介護サービス事業者の規模などによっても細かく料金が設定されています。毎月の利用枠の範囲内でサービスを選んで、利用頻度や利用する事業者を選ぶわけですが、簡単なことではありません。介護保険専用の点数で計算していきますが、利用枠を超えたら10割負担となります。普段1割負担の人にとっては、料金が一挙に10倍になるわけですから、むやみに利用できません。
そこで、介護や介護保険に詳しい専門家が、利用者の希望を聞きながら、毎月の利用計画を立て、利用の手続きをしてくれます。これが「居宅介護サービス計画」です。ケアプランと言った方がわかりがよいでしょう。計画を作成してくれる専門家はケアマネージャーといい、担当になってくれた同じ人が毎月計画を立ててくれます。計画を立てるだけでなく、いろいろな相談にも乗ってもらえます。いずれも介護や看護などの経験が十分なベテランばかりですので、介護のコツから家族のことまで、いろいろとアドバイスしてくれます。これらも彼らの仕事で、これらをまとめて「居宅介護支援」といいます。ケアマネージャーの正式名称は「居宅介護支援員」となるわけです。
困った時にまず相談するのが、ケアマネージャーです。どのような介護サービスを、どの程度利用すればよいか、こちらの希望を聞きながら計画を立ててくれます。そして、いくつかの居宅介護サービス事業者から適切なところを選んで利用の申し込みもしてくれます。人によっては何かと気にかけて様子を見に来てくれることもあります。遠距離介護など、家族がすぐに駆け付けられない場合は、ケアマネージャーが頼りと言ってもよいでしょう。
このように、常にいろいろな面で頼りになる心強い存在のケアマネージャーですが、市区町村の職員ではありません。多くが、民間の事業者である「居宅介護支援事業者」に所属しています。
2023.8.30記

