国民年金保険料のダブルスタンダード①

厚生労働省が、来年度から国民年金の保険料徴収の強化に乗り出すことが報じられました。
報道によると、保険料の滞納者全員に督促状を送り、高所得者には財産差し押さえを行うということです。
そのための法改正や職員増強も行うそうです。
今回から3回にわたって、国民年金の保険料について考えてみたいと思います。
年金制度のダブルスタンダード(二重基準)の矛盾が多く存在しています。

国民年金は、20歳以上のすべての人が加入しています。
公務員や教員などは共済組合に、それ以外のお勤めの人は厚生年金に加入していますが、これは国民年金の加入も兼ねていることになっています(国民年金第2号被保険者)。
保険料は毎月の給料から引かれていますから、払わないということはできません。
お勤めの人に扶養されている配偶者は、保険料を払っていませんが、国民年金に加入しており、保険料を払ったのと同じ扱いになっています(国民年金第3号被保険者)。
一方、自営業など、お勤めではない人は、20歳から60歳になるまでの間、毎月自分で保険料を支払うことになっています(国民年金第1号被保険者)。
毎年4月に、1年分の振込み用紙が送られてきて、それを使って毎月、支払います。(1年分をまとめて支払うことや、銀行口座からの自動引き落としもできます。)

自営業などの国民年金第1号被保険者は、自らが手続きをして、保険料を支払うのですから、中には払わない人もいます。
そのために、〝未納〟という問題が発生します。国民年金の未納問題は、国民年金第1号被保険者のみで生じる問題です。

国民年金に加入して、国民年金の保険料を支払うのは、〝国民の義務〟ですが、そもそも、〝義務〟とはなんでしょうか。
言葉の意味で言えば、「しなければならないこと」です。
しかし、そのことをしなかったことによって、なんらおとがめがなければ、単なるお題目にしかすぎません。
例えば、日本国民の三大義務は「勤労・納税・教育」となっています。
納税については、課税義務がある人は必ず徴収されます。
納税をしなければ、処罰されます。
一方、勤労については、お金があって、生活に不自由さえしなければ、働く必要はありません。実際、そのような人はいますし、働かないからといって処罰されることはありません。
つまり、勤労という義務はお題目にしかすぎません。

国民年金の保険料の支払いは、〝国民の義務〟とされていますが、払わないからといって、処罰されることはありませんでした。
つまり、払っても払わなくてもよかったのです。
義務という言葉は単なるお題目だったわけです。
税金は払わない人がいると、国の財政が揺らぎます。国はあらゆる手段を使って、徴税を行います。
しかし、国民年金については、保険料を払わない人がいても、国は困りません。
その人には、老後に年金を支給しないからです。老後に年金がもらえずに困るのは本人です。
そのため、〝国民の義務〟と言いながら、保険料を払わない人を、国も放置していました。
ここに、まずダブルスタンダードがあります。
年金事務所(以前の社会保険事務所)や市区町村の窓口でも、「必ず払ってください」と言われることもあれば、「できれば払ってください」と言う人もいます。

次に、保険料を支払う期限の問題です。
先ほども述べましたように、国民年金の保険料は毎月支払うようになっています。
そのため、振込用紙も「平成○○年〇月分」というように、1ヶ月分ずつになっています。(1年あるいは半年をまとめて払う用紙もあります。)
そして、「納付期限」は翌月末日となっています。
8月分であれば9月30日まで、9月分であれば10月31日までに支払う必要があります。(曜日の関係でずれることもあります。)

ただ、誰もが毎月きちんと支払いができるとは限りません。
すぐにお金が用意できないこともありますので、「納付期限」を過ぎても支払いができるようになっています。
振込用紙は、「納付期限」から2年間使えるようになっており、「納付期限」までの1ヶ月を含めた、2年1ヶ月後が振込用紙の「使用期限」となっています。
例えば、平成25年8月分の振込用紙は、平成27年9月30日が「使用期限」であり、それまでの間であれば支払うことができます。
延滞金も付かず、「納付期限」の間に払ったのと同じ扱いで、老後の年金額のポイントとなります。
実際に、2年1ヶ月前の分の保険料を毎月払い続けている人もいます。
年金事務所や市区町村の窓口でも、「翌月までに払ってください」と言われることも、「2年1ヶ月以内に払ってください」と言われることもあります。
これが2つ目のダブルスタンダードです。

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