コロナの自宅療養で入院給付金が出ました

今年(2022年)の7月末に新型コロナに感染しました。といっても、重症化したわけではなく、熱が出たくらいで済みました。10日間、自宅で療養しながら(少しはパソコンで仕事も)、過ごしたぐらいで、幸いなことに大事には至りませんでした。いまどき、新型コロナの体験談などお伝えする価値はありませんが、ささやかな体験談とともに〝保険〟について考えてみます。

今年の7月。新型コロナの感染者数が急増していると、盛んに報道されました。「オミクロン株」ということで、今までよりも感染力が強いということも伝えられていました。「できるだけ人との接触を避けたいな」と思いつつも、仕事での約束が続き、外出が多くなりました。この頃は感染者数が増えていたものの、重症化するケースは少なくなり、〝自粛〟ムードにはなりませんでした。「マスクさえしていれば対策はできている」という雰囲気で、人と会う仕事が増えてしまいました。「怖いな」と思いつつも、どうすることもできずに、私も外出を続けていました。

7月末、妙にだるく、熱っぽく感じ、咳も出ました。風邪の症状です。しかし、この暑い時期に風邪などひくわけはなく、新型コロナに感染したに違いないと思いました。試しに抗原検査キットで検査をしたところ、「陽性」の反応が出ました。発熱外来は大混雑とニュースで伝えられていましたので、行きませんでした。

神奈川県の新型コロナの管理システムに、感染した旨を入力しました。陽性のサインが出ている抗原検査キットを写真に写して送信します。システムに登録されると、毎日体調や体温を聞くLINEが届きました。

体温は38℃ぐらいになりましたので、体調が悪く、起きていられませんでした。しかし解熱剤を飲むと、熱が下がり、体調も回復してきました。そうなると食事も取れるようになり、元気も出てきました。具合が悪かったのは、始めの2~3日ぐらいです。

10日間の隔離期間を終え、通常の生活に戻りました。その間、体温とパルスオキシメーターの数値を入力して送信していましたが、それだけで、結局病院にもかかりませんでした。8月に入り、外出する仕事が入っていませんでしたので、仕事上の支障もほとんどありませんでした。

7月から8月にかけては感染者数が増え、連日コロナ関連のニュースばかりでした。医療機関が対応しきれなくなっていることも報道されていました。特に、診療所やクリニックで、コロナ感染が疑われる外来が激増し、対応しきれなくなっていることが取り上げられていました。検査の結果が陽性と判定されると、患者の詳細を報告しなければならず、それがかなりの負担になっていると問題視されていました。

一方、患者の方も、コロナに感染したとわかっていても、職場や保険会社に「診断書」を提出するために、発熱外来を受診するという人が少なくありませんでした。以前と比べると重症化のリスクは小さくなっていただけに、10日間自宅で安静にしていれば問題ないとわかっていても、受診せざるを得ないというのです。

医療機関による報告が、現場の負担になっているという声を受け、政府はすべての感染者を届け出る「全数届出」の義務を廃止することになりました。始めは自治体の判断でできるようにしましたが、批判を受け、9月26日からはすべての都道府県で廃止するように政府が指示を出しました。

それを奇貨として取り扱いの変更を行ったのが保険会社です。「全数把握」の廃止で、「新型コロナに感染したことが確認できない」として、実際に入院した場合以外は、入院給付金の支払いをしないこととしました。

新型コロナが現れた2020年は、感染者数は少なかったものの、命にかかわる重篤な病気でした。新型コロナに感染した人は、直ちに入院治療が行われました。入院をするのですから、当然のことながら、医療保険では入院給付金が支払われます。ところがその後、感染者数が増加し、入院したくてもできない事態となりました。やむなくホテル療養や自宅療養が行われるようになりました。本来であれば入院するはずのところ、医療体制の不備で入院ができないわけです。保険会社各社は、〝入院ができない場合〟でも入院給付金を支払う取り扱いをしました。やむを得ない事情ですので、柔軟な対応をしたわけです。

ところが、ところが、その後、新型コロナの感染者数は、予想を超えて激増していきます。一方、感染しても重症化するケースは少なくなり、特に持病がない限り、一週間も安静にしていれば、回復していくことが一般的になりました。先に触れたように、医療機関を受診するのは「入院給付金の請求のために、新型コロナの療養証明書を取得するため」という人も少なくありませんでした。

やむを得ない状況だったとはいえ、新型コロナは無条件に入院給付金を支払うとしてしまったことを、保険会社は後悔したのではないでしょうか。予想を超えて入院給付金の請求は急増しました。保険会社の業務がひっ迫することもさることながら、このまま請求が続くと保険会社の経営にも影響を与えます。そもそも、新型コロナの治療は、すべてが無料となっていますので、医療費はかかりません。

新型コロナで自宅療養をした人には、入院給付金を支払わなくても、それほど支障はなさそうです。しかし、世間の関心を集めている新型コロナです。「自宅療養については入院給付金の支払いを取りやめます」と発表すれば、大きく報道されることは間違いありません。どの保険会社も言い出せずに、他社の出方を待っていたのではないでしょうか。

そこへ、政府が全国統一で全数把握を取りやめると決めました。医療機関はいちいち患者の名前や住所までを報告しなくてもよくなったのです。そのタイミングに合わせて、保険会社各社は一斉に、自宅療養やホテル療養についても入院給付金を支払う取り扱いをやめることにしました。顧客にとって不利益な変更ですが、各社が足並みをそろえて実施することができました。ほっと胸をなでおろしている保険会社は多いことでしょう。

本来、保険は保険会社と加入者の契約ですので、一方的に不利益となる変更はできません。しかし今回の場合は、「実際に入院をしていなくても入院給付金を支払う」という、約束を超えた取扱いでしたので、保険会社の方が一方的な変更をしたわけです。保険会社からすると、「本来の状態に戻した」ということなのでしょう。もちろん、これ以降でも実際に入院をした場合には、入金給付金は支払われます。

生命保険各社は、9月26日以降に感染したコロナについては、自宅療養については入院給付金を支払わないこととしました。私が感染したのは7月末でしたので、支払いの対象になります。医療機関は受診していませんが、神奈川県の管理システムに登録していましたので、療養証明書を請求しました。医療機関が作成する証明書のほか、政府が運営する管理システム「My HER-SYS」(マイハーシス)に登録した場合に発行される療養証明書が、新型コロナの療養の証明となります。神奈川県や兵庫県などで独自に運営しているシステムも、多くの保険会社で対象にしています。私の場合、療養証明書を請求してから郵送で送られてくるまでに2ヶ月近くかかりました。それを添付して、今度は加入している生命保険会社に入院給付金の請求をしました。こちらも1ヵ月ほどと、通常よりは時間がかかりましたが、無事に10日分の入院給付金が振り込まれました。

新型コロナの感染者数の増加ペースがここまで大きくなるとは、1年前2年前には予想もつきませんでした。今回の保険会社の対応には問題もありますが、やむを得ない面もあります。感染状況はすでに第8波に入ったとも言われています。今までのペースを見ると、1日の感染者数は最大で100万人規模にまで膨らむのでしょうか?

生命保険会社は、それぞれの会社で保険料と保険金の支払いを勘案して保険商品を作成しています。新商品などでは、保険金支払いが予想外にかさむこともあります。その場合、保険商品の販売は好調でも、「販売停止」とすることがあります。売れれば売れるほどに保険金支払いが増えて損失が膨らむからです。実際、新型コロナに備えた保険商品が相次いで発売されましたが、そのほとんどは販売停止となりました。注目は集めていましたが、これほどまでに感染者数が増えると、売れるほどに損失になるからです。

一方、損害保険会社の保険商品は、その多くが損害保険料率算出機構という業界の組織が算出した保険料率に、自社の経費をプラスする形で保険料を決めています。損害保険料率算出機構は、すべての損害保険会社の支払い状況を基に計算していますので、予想外の状況になる心配はそれほどありません。

2022.11.24記

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