総選挙は、自民党の歴史的圧勝に終わりました。史上初の女性首相である高市総理の人気が自民党の得票につながりました。
当初は、高市総理の支持率は高いものの、自民党の支持率は高くなく、苦戦を予想する向きもありました。高市総理は自らの進退を賭けて解散総選挙に臨みましたが、当初は不安があったのだと思います。その目標は、前回の選挙で自民党が惨敗した状況と同じ、与党で過半数と低いものでした。さらに高市首相は「食料品に限って消費税をゼロにする検討を加速する」という公約を打ち出しました。自民党の中でも同意が得られていない公約です。ただ、これで消費税に関することが争点とはならなくなり、自民党の勝利に寄与した面はあるでしょう。これからの問題は、消費税の引下げが実行できるかどうかになります。
「消費税の引下げ」や「消費税廃止」は、野党だからこそ言える公約です。国の財政を運営する責任がないからです。ところが、与党となると、実際に財政を運営しなければなりませんから、安易なことは言えませんでした。かつて野党だった民主党が政権交代で与党となり、
結局は消費税の引き上げを決めたことが象徴的です。高市総理も「検討することが公約で、検討した結果、やらないことに決めました」とは今さら言えないでしょう。高市首相は重い十字架を背負うことになりました。
与野党が参加する国民会議で検討するとされていますが、具体的な引き上げ案は各党バラバラですので、自民党案で進めることになるでしょう。食料品の消費税をゼロにすると、およそ5兆円の税収減になるということです。自民党が公約で言うには、補助金と租税特別措置の見直しで賄うとしています。高市首相も9日の会見で、赤字国債には頼らないことを明言しています。
補助金関連予算は約20兆円、租税特別措置は約3兆円とされています。どちらも、政府が進める政策に対して、財政支出を行ったり、減税を行うものです。金額的には、両者を合わせると5兆円の捻出はできそうな気がしますが、簡単なことではありません。財政支出にしても、減税措置にしても、多くは期限を決めて実施しています。生活者に関するところでは、住宅ローン減税は令和8年の税制改正で令和12年までと、延長をすることにしたばかりです。(まだ可決はしていません。)これをいきなり打ち切ってしまうのでしょうか? そもそも、高市総理がもっとも強調しているアピールポイントは「責任ある積極財政」です。これは、政府の補助金や税制優遇策で、積極的に財政支出を増やしていくというものです。消費税減税のための財政確保と矛盾することになりかねません。ただ、令和8年度予算に積極的な財政支出を盛り込んだので、令和9年度からは緊縮予算にするということは、もしかしたら可能なのかもしれません。(詳しい内容はわかりません。)9日の高市総理の決意表明を見ると、本当にやってしまいそうな気もします。「ほくほく」発言で問題となった外為特会(外国為替資金特別会計)の資金を充てることもできすです。その分、政府の歳入が減る、為替介入の余裕が減るなどのデメリットがありますが、背に腹は代えられません。
それを期待して、株式市場はこのところ、大幅な上昇が続いています。日経平均株価で言えば、自民党圧勝の予想が出た後の2月3日(火)には2,065円、総選挙後の9日(月)には2,110円も上昇しています。少しペースが速すぎますので、今後は反動での下落もあるかと思いますが、上昇基調が続きそうです。
為替相場は、先月下旬にアメリカで「レートチェック」がされたということで、いったん円高・ドル安に振れましたが、その後は再び円安・ドル高が続いています。日本の財政悪化の懸念から、円売り・ドル買い動きが強まっています。
財政懸念という面では、日本国債が売られることで、金利が急上昇することが心配されています。先日、金利が上昇したことで、マーケットが反乱したともいわれましたが、今のところは落ち着いた動きです。景気回復に伴って、ある程度の金利上昇は自然なことです。しかし、今後は消費税減税のために、国債の増発が行われるということになると、予断を許さない状況になるかもしれません。
アメリカの株式市場の上昇も追い風となっています。アメリカは景気後退が心配されていますが、それでも株価が上昇を続けています。
日米ともに、不安定な状況を抱えながらも上昇局面が続くことになりそうです。
2026.2.10記

