日本の株式相場は、3月から6月にかけて急上昇しましたが、ここ1ヶ月は足踏みしています。日経平均株価で言うと、1日に500円前後も動くこともありますが、どちらかの方向に進むことはなく、上下を繰り返しています。
3月から株式相場が上昇した要因は、海外の機関投資家が日本株を集中的に購入したためです。アメリカ、ヨーロッパの今後の景気見通しが芳しくない中、割安に放置されていた日本株に投資をしたようです。もっとも、この間の上昇で、日本株式の株価収益率(PER)は約15倍、株価純資産倍率(PBR)は1.3~5倍となっており、割高ではないものの、割安でもない水準となっています。株価収益率(PER)は利益と株価を比べたもので、株価純資産倍率(PBR)は会社の資産と株価を比べたものです。株価が割高、あるいは割安になっていないかを判断する基準として使われています。株価収益率(PER)が15倍、株価純資産倍率(PBR)が1.3~5倍というのは、だいたい適切な水準と言えるでしょう。
右の表は、世界銀行が6月6日に公表した世界経済の見通しです。(単位は%)3月にIMF(国際通貨基金)が公表した見通しと比べると、どの地域も2023年、2024年の見通しが下がっています。特にアメリカは、2023年の予想が1.6%だったのが、1.1%と0.5%低下しています。日本も同様に0.5%、EUは0.4%低下しています。世界銀行によると、過去1年半に及ぶ急激な金利の引き上げで、経済成長が減速すると見ています。大きな落ち込みではありませんが、景気はあまり良くない状態になるものと思われます。
6月7日に公表された野村証券の企業業績見通しでは、日本の企業業績は、「緩やかな増益が続く見通し」としています。全産業で売上高の増加は、2023年は0.3%、2024年は2.5%としています。企業の最終的な儲けである税引き後利益では、2023年は5.8%、2024年は7.9%の増益となっています。いずれも、大きな成長ではないものの、悪くもない、という〝ほどほどにいい〟状態と見ています。
これらのことを踏まえると、日本の株式相場は、今の状況はすでに割安ではなくなったものの、上がり過ぎというわけでもなく、適切な水準だと考えられます。アメリカの株式相場は、昨年の初めに比べるとまだ低い水準ではありますが、それでも少し割高だと思います。今後を慎重に見ていく必要があります。
為替相場は、また円安・ドル高方向へと進んでいます。1ドル=144円まで円安・ドル高になりましたが、直近には1ドル=142円に戻しました。
日本の金融政策は、もうしばらくは今の金融緩和を継続していくことになりそうです。アメリカは来月にも再び政策金利の引き上げを実施しそうです。そうなると、日本とアメリカの金利差が大きくなり、円の資金をドルに換えてアメリカで運用しようという機関投資家が増えることが予想されます。ただし、このあたりは長い目で見ると、かなりの円安・ドル高の水準です。昨年は夏に1ドル=150円まで円安・ドル高が進みましたが、長続きせず、すぐに円高・ドル安に戻しました。金利差から見ると、もうしばらく円安・ドル高が進んでもおかしくはありません。しかし、長い目で見ると、円安・ドル高に行き過ぎています。この状況は長くは続かないでしょう。
2023.7.14記


