日本の株式相場の動きをTOPIX(東証株価指数)で見ると、今年3月からはおおむね横ばいですが、よく見ると少しずつ下がっているようです。日経平均株価で見ると、緩やかながらも、下がっているのがはっきりとわかります。一方、アメリカの株価指数のNYダウの方はというと、はっきりと上昇基調が続いているのがわかります。
NYダウはとときどき大きく下がることはあっても、すぐに回復して右肩上がりの上昇基調は崩れていません。こういう上がり方は、息長くパターンです。
この日米の差は、コロナワクチンと景気回復の状況による違いが原因です。コロナワクチンで見ると、「ワクチンを1回以上接種した人の人口に占める割合」では、アメリカが58%なのに対し、日本は46%です。ただ、3ヶ月前はアメリカ45%、日本3%程度でしたので、日本は急速に接種を進めています。各国を見てもおよそ60%前後になると進捗が遅れてくるようです。
ワクチンの接種率よりも影響が大きいのが、景気の状況です。IMF(国際通貨基金)の最新予測(7月)では、2021年のGDP成長率は、アメリカは7.0%なのに対し、日本は2.8%となっています。もともとの実力の差を考慮しても、この違いは大きく、それが株価の動きに影響しているようです。
実は、デルタ株の影響か、アメリカでも7月に入ってから新規感染者数が急増しています。人口100万人あたりの7日間の新規感染者数は、日本が657人なのに対して、アメリカは2,074人です。(8月5日時点)にもかかわらず、アメリカではコロナの騒ぎはもう終わったように、好景気になっています。イギリスでは同じ数値が2,690人ですが、ワクチンの接種率(同)が69%に達したということで、コロナの感染防止のための規制を次々と緩和しています。
日本は、医療体制がコロナの増加に対応できないということで、依然として飲食などへの規制が続いています。日本の中では今までないほどに新規感染者数が増えていますので、心配な状況です。ただ、亡くなる人の数はほとんど増えておらず(1日10~20人)、5月のピーク時(216人)と比べてもかなり少なく抑えられています。医療崩壊が心配されていますが、今のところは医療関係者のご努力で何とかしのいでいるようです。
今後、日本でどのくらいまで新規感染者数が増えるのかはわかりません。ただ、ワクチンの接種は急速に進んでいます。政府は、10月から11月には、希望者の接種を終えたいとしています。新型コロナに対する集団免疫を獲得するためには、以前は60~70%の接種が必要だとされていましたが、デルタ株の広がりで、今では80%は必要という指摘もあるようです。政府の予定どおりに接種が進んでも、80%を達成できるのでしょうか。
今の日本の状況が、2カ月前のアメリカと同じではありませんし、日本の接種率が今のアメリカ並みになったとしても、景気が同じ状況になるわけではないでしょう。ただ、ワクチン接種が進み、新規感染者数が減少してくると、予想以上のペースで景気が回復に向けて動き出すのではないかと、私は見ています。
約1年半もの間、自粛生活が続いています。「自粛疲れ」という言葉もありますが、(疲れているとは思いませんが、)外食や旅行ができないことへのストレスは相当溜まっているようです。それが可能だということになると、通常のペースに、今までがまんしていた分が加わり、消費を押し上げるのではないでしょうか。それでなくても、コロナ禍以降は消費が落ち込んでいましたので少しでも回復すると、「対前年比」などのデータではかなり高い数値となります。今のアメリカやイギリスの成長率が高いのもこれによる部分があります。
このような状況になれば、日本の株価も上昇が期待できます。回復が遅れた分だけ、アメリカなどを上回るペースで上昇することも考えられます。秋以降は日本の株式相場に期待していますが、その前の夏の間はもう少し下がるのではないかと見ています。
2021.8.8記

