以前の記事で、相場見通しとしてこのように書きました。
秋以降は日本の株式相場に期待していますが、その前の夏の間はもう少し下がるのではないかと見ています。
「今年は8月の終わりから秋のように涼しくなったので、予想どおりになった」と言いたいところですが、これほど早く急激な上昇は予想外ですし、上昇の原因も違いますから、想定外だったと言った方がよいでしょう。
言い訳になってしまいますが、政治家の発言や決断による変動については予想はできません。当人の気持ち次第でまったく変わってしまいますので、予想をしても意味がないと思っています。
総理交代で支持率が上昇し、衆院選で自民党の安定多数が見込まれる⇒政局の安定が経済政策の安定につながり、景気拡大
という発想が株価上昇のきっかけです。しかし、これほど急激な上昇はこれだけでは説明がつきません。ここまで急激に上昇したのは、「買戻し」が原因です。信用取引や先物取引では、始めに売却(売り建て)をしておいて、下がった後に買い戻すと利益が得られます。ここ数カ月の軟調相場で、売り建てをしていた投資家が多かったようです。特に海外の機関投資家などは先物取引を大量に行っていて、それが日本の株式相場を左右するほどです。
「下がったところで利益を得よう」と待っていたところ、株価が上がるニュースが出たために、あわてて買い戻しをした投資家が多くいたようです。売り建てをしていた投資家のほとんどは、大きな損失となったことでしょう。直近の先物取引は9月10日が清算日となっていましたので、「また下がるのを待つ」ということができません。見通しが外れたら、損を承知で買い戻すしかないわけです。
日経平均株価で3万円を超えましたが、上記のような理由で買われていましたので、今後日本が景気拡大となることを期待して買っている人はほとんどいません。買い戻しによる急上昇が終わった後に、本当に今後の見通しで相場は動くようになります。
では、今後の見通しをどう考えればよいでしょうか。
私は日米ともに、好調な相場が続くと見ています。ただし、日本とアメリカで理由は異なります。
アメリカは、今までお伝えしているように景気が好調です。今年のGDP成長率は7.0%とかなり高い予想です。すでに「アフターコロナ」という雰囲気で消費も回復しています。景気が良すぎて、FRB(連邦準備理事会)がいつ金融引き締めに転じるかが注目されていました。今まで金融緩和に取り組んでいたFRBが金融引き締めに方針を転換すると、株価が下がると心配されているのです。
ただ、このところはデルタ株の影響でアメリカでも新型コロナの感染者数が増えています。外出を控える動きもあり、景気の拡大に水を差しかねない状況になっています。これが株価にとってはプラスに働くでしょう。FRBが金融引き締めに方針を転換するのを先延ばしにするとみられるからです。つまり、景気絶好調ではかえって心配ですが、景気がほどほどに良い状況が続きそうだというわけです。
一方、日本はまだまだ景気が回復していません。しかし、ワクチンの接種は順調に進んでおり、このペースで行けば11月頃に自粛の緩和をすることも検討されています。感染者数の動向にもよりますが、落ち着いた状況が続けば、人の動きが活発になり、景気が回復していくことが期待されます。それでなくても、アメリカ・中国の景気回復で輸出を中心に生産が回復してきています。アメリカの株式相場の上昇も、日本株に好影響を与えるでしょう。この2週間でかなり上昇しましたが、それでも企業業績と比べて日本の株式はまだまだ割安な水準となっています。海外投資家が、出遅れている日本株に注目してもおかしくはありません。当面は、アメリカ株も日本株も好循環となって上昇に向かうと見ています。
ただし、新型コロナとの戦いは終わったわけではありません。ワクチンの接種が進んでも、再び感染が広がる可能性はあります。また第6波、第7波が起きることは覚悟しておかなければなりません。今後数年間はコロナの脅威が続くという専門家もいます。その点を踏まえると、投資対象となる業種には注意が必要です。アフターコロナを期待して、運輸業、観光業、小売業、飲食業に投資するのは要注意です。ウィズコロナであれば、情報通信関連、ハイテクを中心にした製造業が候補になるでしょう。
2021.9.11記

