イラク侵攻の影響

先月は、高市首相が消費税減税の方針を示したことと、自民党の大勝で、〝高市ラリー〟が続くのではないかと、安易に考えてしまいました。確かに、それからしばらくは上昇が続いていましたが、やはり上昇しすぎていたようです。日経平均株価がもっとも高くなった2月26日には59,332円と、6万円手前まで上昇しましたが、PERは20倍を超えており、企業の利益から見て、割高な状態になっていました。いつ下がってもおかしくない水準まで上がっていたようです。

PERは、株価が企業の利益の何倍になっているかを示している数値で、株価の目安によく使われます。この数値が高いと、株価が割高だということを表します。特に根拠がある数値ではありませんので、〝適正な水準〟というのはないのですが、少し前までは17~18倍ぐらいが適正水準とされていました。3月9日に日経平均が3,000円近く下がって約19倍になりました。これでもまだ高いのかもしれません。

日経新聞に掲載されているPERから逆算すると、日経平均株価を1つの企業として見た場合の1株当たり利益は2,785.45円と推測されます。その17倍とすると47,000円程度、18倍とすると50,000円程度となります。下の日経平均株価とNYダウの比較のグラフを見ても、それまで同じように動いていたのが、日経平均株価だけが昨年秋頃から急上昇しているのがわかります。ちょうど、高市氏が首相になった時期からです。高市首相への期待が先行して、日本株の実力(企業の利益)以上に上昇してしまったのかもしれません。

そう考えると、アメリカのイラン攻撃によるショックは、きっかけに過ぎないのかもしれません。アメリカの株式相場よりも日本の方が、下がり方が大きいのも納得がいきます。「想定外の事態で株価が下がった」のではなく、想定通りに下がっているのかもしれません。

もっとも、アメリカとイランの紛争が長期化し、原油価格の上昇が続くと、上がり過ぎた部分の〝調整〟だけでなく、景気後退による本格的な下落にならないとも限りません。

原油価格は3年9ヵ月ぶりに1バレル100ドルを超えました。本当に急騰です。3年9ヵ月前といえば、ロシアがウクライナに侵攻した時です。侵攻直後の3月に急騰し、6月まで高値が続きました。この時は、7月以降は下落していき、半年後ぐらいには侵攻前の水準にまで落ち着きました。株価の方は、侵攻後はしばらく下落しましたが、原油価格が落ち着いたころから、日米ともに上昇し始め、その後の長い上昇の起点になっています。

一般に、国際紛争が株価に与える影響はまちまちで、一概に上がるとか、下がるとかは言えません。紛争が長引くのかどうかにも左右されます。ただ、「早くに終結しそうだ」とか、「膠着状態に陥る」など、思惑で乱高下する傾向があります。思惑や予想が間違いであることが多く、その後に反動が起きることが少なくありません。今回も長期化するのかどうかは、予想をしても、あまりあてになりません。誰にもわからないというのが正直なところです。よって、株価の行方も予想ができない状況です。心配なのは、原油価格の高値が続き、世界全体の景気が落ち込んでしまうことです。それもトランプ大統領次第のようです。

2026.3.10記

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