為替相場、激変!

為替相場が急変しています。11月13日には1ドル=151.92円まで円安ドル高が進んでいましたが、そこから急反転です。特に12月14日は大きく変動し、4か月ぶりとなる1ドル=140円台まで円が上昇(ドルは下落)しました。もともと、今後は円高ドル安に進むのではないかとの見方が広がっていたところに、7日に国会で日本銀行の植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と答弁したことがきっかけとなりました。

「チャレンジングになる」だけでは意味は分からないのですが、金利の引き上げを実施することを念頭に置いての発言のようです。日本の金利は、日銀が低金利政策を続けているおかげで、ずっと低い(長期金利はほぼ0%、短期金利はマイナス金利)状態が続いていました。これは景気の回復を促す政策です。ただ、このところ物価の上昇が続いており、こちらの方も何とかしなければならない状況です。物価の上昇を抑えるためには、金利を引き上げるのが効果的です。植田総裁としては、物価対策に舵を切る(金利を上げる)タイミングを計っているところで、その地ならしとして、あえて国会であのような発言をしたとの見方が広がっています。

一方、アメリカは金利が高い状態が続いており、まだまだアメリカと日本の金利差は大きい状態です。ただ、インフレが落ち着いてきており、今後は景気の過熱が収まり、いずれは金利が下がるのではないかとの見方も出ています。為替相場は、アメリカと日本の金利差の影響を受けて動いています。アメリカと日本の金利差が拡大すると円安ドル高へ、金利差が縮まると円高ドル安方向へ動く傾向があります。金利差がどうなるかを見込んで、為替相場が大きく揺れていると言いう状況です。もともと、1ドル=150円台と、かなり円安ドル高になっていましたので、その反動もあってかなり動いたのだと思います。また、年末年始は比較的、円安ドル高に動く傾向もあり、一時的な動きだとも考えられます。

為替相場を動かす要因は、主に以下のものが挙げられます。

  • 投機:投機的な売買が相場の動きを加速させます。短期的な動きに影響します。
  • 金利差:日米金利差が拡大すると円安ドル高へ、縮小すると円高ドル安に動きます。中期的な動きに影響します。
  • 国際収支:経常収支が黒字の国の通貨が上昇します。日本は近年赤字続いています。中長期的な動きに影響します。
  • 物価の状況:インフレ(通貨の価値が下落)の国の通貨は下落し、デフレ(通貨の価値は上昇)の国の通貨は上昇します。長期的な動きに影響します。

国際収支の面から、中長期的にも円安ドル高になりやすい状態になっていたということが言えるでしょう。その中で、この3年ぐらいは主に金利差の影響で動いており、さらにこの数カ月は投機の影響で動きが加速しています。では、長期的な動きに影響する物価の状況はどうでしょうか。アメリカがインフレで、日本はデフレが続いていた(最近はインフレ気味になってきましたが、)ことを考えると、円高ドル安に動いてもおかしくありません。ある調査機関によると、購買力平価の計算では、1ドル=90~110円ぐらいが適切だというのです。そう考えると、今の1ドル=150円は円安ドル高に行き過ぎていて、いずれ修正されるものと思われます。しかし、そう決めつけられない部分もあります。1970年代からずっと円の価値は上昇(グラフでは右下がり)していましたが、そろそろ方向転換しそうな感じもします。今の為替相場は、それを先取りしているとも考えられます。

2023.12.15記

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