この3ヶ月ほど、株式相場はおおむね横ばいを続けています。5月、さらには6月、7月にも大きく下落してニュースになりましたが、すぐに戻しており、一時的な変動で終わっています。
右の表をご覧いただくとおわかりのように、コロナワクチンの接種が進んでいる国ほど今年の経済成長率が高い予想になっています。昨年の成長率が悪かったために、高めの数値になってしまうという理由はありますが、先進国であるイギリスやアメリカでこの数値は、空前の好景気といってもよいでしょう。すでにアメリカでは、物不足、人手不足が生じており、物価や金利の上昇が起きています。イギリスでは、コロナの感染防止のための規制の多くが解除されるそうです。
日本もこのところ、ワクチン接種が急ピッチで進められています。1回目の接種をした人の割合は、2ヵ月ほど前はまだ数パーセントでしたが、今では25%まで進んでいます。このペースで進むと、景気回復もそう遠いことではありません。先日、日本銀行が公表したアンケート調査(日銀短観6月調査)では、全産業ベースでは景気が悪いと答えた企業が、良いと答えた企業よりもわずかに多い、▲3でした。まだマイナスですが、3月の▲8からは改善しています。ただし、業種別に見ると、情報サービス業がプラス31なのに対して、宿泊・飲食サービス業は▲81、劇場や映画館などの対個人サービス業は▲51と、まだ悪化が続いています。業種によって状況が極端に違う二極化が続いています。
心配されるのが、変異株の影響です。ワクチン接種が進んでいるイギリスでも、変異種の影響で感染者数が増えています。
イギリスでは、コロナに関する規制が緩和されており、大規模イベントも再開されているそうですが、大丈夫なのでしょうか?
日本でも、オリンピック・パラリンピックの開催で、感染者数が再び急増するのではないかと心配になります。
アメリカでは今のところ再拡大の兆候は見られませんが、ワクチン接種を拒否する人も多いようで、これからは接種率の上昇が難しくなりそうです。アメリカで再び感染爆発という事態になれば、アメリカだけでなく、世界全体で景気回復が遅れてしまいます。その懸念が生じるだけで、株価には大きな影響を与えます。
コロナの再拡大は困りますが、株価については一度、下落した方が、後々のためには良いのではないかと、私は見ています。アメリカの景気回復のピッチが早く、株価の上昇が続いているからです。
アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)は、今でも金融緩和を続けています。インフレの気配が出てきましたので、そろそろ方向転換をするのではないか、という見方も出てきています。そうなると、バブル気味になっている株式市場は大きく下落することが予想されます。最近、急に下がることがあるのは、この心配のためです。ただ、金融緩和を止めても、景気自体は拡大が続いていきますので、株式相場は一度下がっても、やがて再び上昇に向かうでしょう。一度下がることで、かえってあく抜きのような形になって、その後は上昇が続くと思われます。今年の夏ぐらいに1~2割程度の下落があれば、来年いっぱいは上昇が期待できます。
逆に、さしたる調整もなく、このままの上昇が続く方が、かえって心配になります。FRBが実際に引締めに転じた際のショックが大きくなるでしょう。来年のどこかで大きな下落があるかもしれません。それを考えると、今年の暮れからは注意をしていかなければなりません。
日本の株式市場は、オリンピック・パラリンピック後の感染状況にも影響されると思いますが、アメリカの株式市場の影響が大きいでしょう。やはり、一度調整してくれた方が、その後は長く上昇が期待できるのではないかと思います。
早めに下落があれば、そこは購入のチャンスになりますが、上昇が続くようであれば、ある程度の段階で一度、保有株の売却を検討するとよいでしょう。
2021.7.12記

