中国で始まった新型コロナウィルスは、ヨーロッパで猛威を振るい、アメリカまで感染が広がっています。2003年のSARS、2012年のMARSのように、限定された国、地域での感染にとどまらず、世界的な広がりを見せています。経済への影響も大きく、世界の株式市場は乱高下を繰り返しながらも、大きく下がっています。
今や、中国よりもイタリアを中心としてヨーロッパの方が感染の状況はひどくなっています。さすがにここまでの状況になるとは、ヨーロッパの人も予想していなかったでしょう。世界経済に占める中国のシェアが拡大していることは前回のレポートで触れましたが、ヨーロッパ、さらにはアメリカも生産活動や人の移動が停滞するとなると、その影響は計り知れません。「いよいよリーマンショックの再来か」といわれるようになってきました。そうなると、経済や株式市場への影響は、さらに続くことになります。
「リーマンショックの時は金融システムに目詰まりが起きたのが原因だったのに対して、今回は感染症による経済活動の停滞が原因なので、回復にそれほど時間はかからない」との見方をする専門家もいますが、リーマンショックが起きたときは「金融システムの問題なので、実体経済への影響は少なく、すぐに回復する」などの見方もあっただけに(実際は実体経済に大きな影響を与えました)、あまり信用できません。むしろ、実体経済の落ち込みの方が、回復に時間がかかるのではないでしょうか。新型コロナウィルスがいつ収束するかにもよりますが、経済への影響が実感されるのは、むしろこれからになるでしょう。
リーマンショックが起きたのは2007年で今から12年前、その前のITバブル崩壊があったのは2000年で20年前のことになります。どうも10年に一遍ぐらいの割合で、大きな暴落が起きているようです。最近も、世界的な金融緩和で「金融相場」のようになっていましたので、来るべきものが来たのかもしれません。
そこで、リーマンショックとITバブル崩壊の後、株式相場はどのくらい下がって底打ちしたのか、どれくらいの時間で回復したのかを見てみましょう。もし、今回も同じような「バブルの調整」であったとしたら、参考になるはずです。
相場の下落が始まる直前の高値を100として、その後8年間の推移を比較してみました。これを見ると、今回の暴落はまだ序の口だということがわかります。ITバブル崩壊の時は3年後に6割の下落、リーマンショックの時は1年8ヶ月後に同じく6割の下落となっています。その後は、ある程度は回復したものの、しばらく低迷が続き、本格的に上昇するようになったのは、どちらも5年後のことです。
アメリカの株式市場は右図のようになっています。ITバブル崩壊は下落こそ4割弱でしたが、2年9ヶ月かかりました。(NYダウはIT企業が少なく、影響が小さかったという要因があります。)リーマンショックの時は1年4ヶ月後に5割の下落となりました。下落率はIGバブル崩壊よりも大きかったのですが、回復に転じるのが早く、その後上昇が続いていきました。昨年の9月まで、10年半も続きました。
「落ちてくるナイフはつかむな」といいう格言があります。相場が大きく下がっている間はまだ慌てて買いを入れない方が良いという意味です。最安値で買うのは諦めても、下げ止まったことを確認してからの方が良いというわけです。もちろん、積立投資は別です。下落が続いている間も購入を継続していくと、後に大きな成果となります。
2020.3.20記

