リスクとリターン③

<ケース2:相場観に自信がある場合>

先物取引は、儲かるときは大きくても損も大きい、大変危険の高い取引です。
「先物取引は、ハイリスク・ハイリターンです」と言う人がいたら、それは間違いです。
正直に白状すると、私もそういっていました。
先物取引は、買いでも売りでも取引に参加でき、3ヶ月程度後の決済日ごとに全てを清算するようになっています。
買いの人、売りの人の全てが損得を清算して、取引を完了します。
損をした人はお金を払い、利益となった人がそのお金を受け取ります。
つまり、取引参加者全員で損得を清算するので、全員の利益・損失はプラスマイナス・ゼロとなります(これをゼロサム・ゲームといいます)。
ということは取引参加者のリターン(平均収益率)は〝ゼロ〟です。
先物取引は確かにリスクは大きいのですが、リターンは小さいどころか、全くありません。
ハイリスク・ローリターン(ゼロ・リターン)です。
では、なぜこのような取引をやる人がいるのか?

上手く相場を当てると大きな利益を得られるからです。
先物取引に限らず、およそ投資をする人はみな、相場の先行きに対して見通しを持っていたり、勉強して予想を立てたりします。
その先行きに自信を持っているから、「利益が得られるだろう」と投資をするのです。
他の人は損するだろうが、私は大丈夫、勝つ自信がある、と考えるからです。
ですから、平均の収益率(リターン)などどうでもいいのです。
競馬もパチンコも宝くじも同じです。
リターンはゼロ、またはマイナスです。
その場合、リスクが大きいほうが大儲けできますので、自信のある人は積極的に参加します。
(宝くじは当たれば大きいが、外れてもゼロなので、正規分布ではありません。)

株式投資や外債投資は、リターンがゼロではありませんが、多くの人は平均収益率以上の利益を期待していますので、リスクが大きいことを歓迎します。
大儲けできる可能性があるからです。
もちろん、大損する可能性もあるのですが、自分に自信があったり、相場の研究をすることで、平均以上の成果を得ようとしているのです。
相場が予想通りに行けば、資産の変動性(リスク)が大きいほうが利益は大きくなりますので、あえてそのような投資商品を選ぶことは間違った選択というわけではありません。
このようにリスクの高い投資をすることを「リスクを取る」と言ったりします。
大きな利益を取ろうと思ったら、リスクを取りに行かなければなりません。

私は以前の証券会社時代に、損失を抱えてしまった顧客に、それまでよりも変動の大きな商品に乗り換えてもらうことがありました。
相場が戻した時に取り戻せるようにするためです。
リスクを取りに行かないと、損を取り戻すことができないからです。
しかし、さらに大きな損失になってしまうことも少なくありませんでした。
ただ、大きな損失をした際に、それをリスクの小さい商品(日本国債など)に乗り換えたのでは、絶対に取り返すことは出来ません。
「失ったお金はあきらめた。変動商品はもうこりごり」という人なら国債に換えた方がよいのですが、「少しでも損を取り戻したい」と考えている人にとって、リスクの小さい商品はデメリットになってしまいます。

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