ポイントは利上げのペース

好景気に沸くアメリカで、物価高に対する不満が高まっています。アメリカでは一昨年の2020年には経済活動の停止で景気がかなり落ち込みましたが、すべての国民を対象にした給付金を立て続けに実施し、早急に回復してきました。さらにバイデン政権での大型公共投資が加わり、昨年の経済成長率は5.6%とかなり高い状況でした。しかし、その副作用か、インフレが急速に進んでおり、昨年11月の物価上昇率は前年と比べて6.8%の上昇と38年ぶりの水準となりました。

アメリカの中央銀行に相当するFRB(連邦準備理事会)は、それまでは「物価上昇は一時的なもの」とタカをくくっていましたが、あわててインフレ抑制に方針を転換しました。3月にも第1回目の利上げを行うと見られていますが、早いペースで金融引き締めを続けるようだと、株価の下落につながる恐れがあります。

オミクロン株の広がりで、1日の新規感染者が100万人を超える日もある状況ですが、そう簡単にインフレが収まりそうもありません。原油価格の急騰が続いているからです。そして、原油価格が上昇している原因が、ウクライナ情勢を巡る緊張です。

ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟を巡って、ロシアによるウクライナ侵攻が心配されています。

ロシアによるウクライナ侵攻

⇒NATO軍による反撃

⇒ロシアからの天然ガスの供給停止

⇒EUでのエネルギー不足

⇒世界的な原油価格の上昇

⇒物価上昇(インフレ)の加速

という流れが予想されます。

地図をご覧いただくとおわかりのように、ウクライナは、ロシアに突きでたような形をしています。ここがNATOに加盟して、アメリカ軍が駐留することはロシアにとって認めがたいことなのでしょう。すでにウクライナだったクリミア半島を併合しているのですから、侵攻することには、それほど抵抗はないのかもしれません。経済と違って政治の問題は、政府首脳の判断で大きく変わります。予想ができないだけに、悪い状況も考慮に入れておいた方がよいでしょう。

 

一方、株式の下落までは心配ないという要因も挙げておきましょう。

1つは、アメリカの金利水準です。アメリカのFRBが3月から利上げを始め、今年中に0.25%ずつ4回利上げをしたとしても、1%の引上げです。現在のアメリカの長期金利は1.5~2%程度ですので、1%上がったとしても2.5~3%程度です。今年のアメリカの経済成長率は3.7~4%程度と見られており、まだ経済成長率の方が高い状況が続きそうです。

金利が上昇しても、経済成長率の方が高ければ、以前として株式は魅力ですので、そう簡単に株式が売られるわけではありません。今までも金利が上昇しているさなかに株式が上昇していたことはありました。FRBが慎重に引上げを行っていくようであれば、それほど心配する必要はありません

実際、好景気が続くのであれば、企業業績が向上し、株価は上昇していくはずです。現在、アメリカの株式は、企業業績に比べると、少し上がり過ぎ(バブル気味)の状況ですが、企業業績が向上すれば、それも解消されます。しばらくは不安定な状況が続いたとしても、そう遠くないうちに再び上昇していくとの見方は少なくありません。

さらに、日本株について言えば、企業業績に比べて現在の株価は割安な状況になっています。さらに今年はある程度の景気回復が見込めますので、もっと株価が上がってもおかしくはない状況です。日本の株式市場の約7割が海外投資家による売買となっています。それだけに海外、特にアメリカの株式市場の影響を受けますが、こと日本の状況を見る限りでは状況は悪くありません。

 

ポイントは、アメリカの物価上昇(インフレ)の程度と、FRBがどのくらいのペースで金利を引き上げてくるかです。慎重に引き上げるのであれば、一時的に下がってもそれほど心配ありませんが、ハイペースで引き上げるようであれば、株価の下落、そしてやがては景気の後退に至る可能性があります。日本の株式市場は、アメリカよりも状況は良いのですが、それでもアメリカで株価下落となると、日本の株式市場も低迷することが考えられます。

今後さらに下落することを視野に入れておく必要があると考えます。

2022.2.10記

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