発行が少し前の4月なのですが、日本銀行が公表した「経済・物価情勢の展望」の内容をご紹介いたします。
「経済・物価情勢の展望」は、日本銀行が年2回公表している、日本経済の現状分析です。
直近のものは、2019年4月に公表されたものです。
日本銀行の現状の分析と考え方、今後の目指すべき方向性と手段が記載されています。
今後の金融政策の動きを予想するうえでも、大変参考になる資料です。
資料自体はそれほど分量が多いわけではありませんが、回りくどい表現もあり、わかりにくい文章です。
ここではわかりやすく整理してご紹介いたします。
【日本銀行「経済・物価情勢の展望(2019年4月)」より】
●経済の現状
経済は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。
●物価の現状
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半に留まっている。(本当はもっと上昇して欲しい。)
(なかなか物価が上がらないのは、)物価のマクロ的な需給ギャップへの感応度が高まりにくく(企業が賃上げと商品の値上げに慎重な姿勢を崩さない)、
適合的な期待形成(現実の物価が上昇すると、予想物価上昇率も上昇するということ)の力が強い予想物価上昇率も上がりにくい状況が続いているからだ。
●経済の見通し
輸出、設備投資、個人消費、公共投資とも、当面は減速するものの、その後は緩やかに拡大していくと予想している。
●物価の見通し
消費者物価の上昇率は2%に向けて、徐々に高くなると予想してる。
- 理由①:マクロ的な需給ギャップが大幅なプラスで推移している。
- 理由②:中長期的な予想物価上昇率は2%になっていく。
- 理由②の理由1.現実の物価が上昇すると、予想物価上昇率も上昇するから。
- 理由②の理由2.フォワードルッキングな期待形成(日銀が2%の実現に強くコミット(約束)して金融緩和を継続している。)がある。
●経済のリスク要因
①海外経済の動向 ②消費税の引上げ ③企業や家計の中長期的な成長期待
④財政の中長期的な持続可能性
●物価のリスク要因
①マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度
②中長期的な予想物価上昇率
③為替相場の変動や国際商品市況の動向
※①と②の変化には時間がかかるかもしれない。
●金融政策運営
- 日銀の中心的な見通し:「物価安定の目標」(消費者物価の上昇率2%)は可能
(ア) マクロ的な需給ギャップが大幅なプラスなので、企業のスタンスは変化するはず。
(イ) 中長期的な予想物価上昇率は、実際の物価上昇につれて高まる。 - リスクの点検:金融面の不均衡(過度な強気(バブル)を示す動き)はない。
- 金融政策運営の方針
(ア) 「物価安定の目標」(消費者物価の上昇率2%)の達成までは、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。(「イールドカーブ・コントロール」)
(イ) マネタリーベース(現金通貨+日銀当座預金)は、消費者物価の上昇率が安定的に2%を超えるまで拡大を継続する。(「オーバーシュート型コミットメント」)
※( )内は、筆者の注釈。
2019.8.18

