年末年始は、1年間の景気や株価の見通しが多く出ます。強気の予想、弱気の予想とまちまちで、予想の難しさを物語っています。特に今は、新型コロナの状況次第で、景気がかなり変わりますので、専門家の予想もあまりあてにならないのかもしれません。しかし、それを承知で、今年1年の予想を考えてみたいと思います。まずは、経済の見通しです。
OECDによる、経済成長率の見通し
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日本 |
アメリカ |
ユーロ圏 |
中国 |
世界全体 |
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2021年 |
1.8% |
5.6% |
5.2% |
8.1% |
5.6% |
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2022年 |
3.4% |
3.7% |
4.3% |
5.1% |
4.5% |
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2023年 |
1.1% |
2.4% |
2.5% |
5.1% |
3.2% |
上の表は、昨年12月に公表された、OECD(経済協力開発機構)による経済成長率の見通しです。(2021年もまだデータが出ていませんので、〝予想〟です。)3ヶ月後との公表のたびに見通しが変わりますので(時によっては大きく変わることもあります)、アテにならないともいえるのですが、国際機関が公表していますので、世界的に注目されており、多くの専門家がこれを参考にしています。
2021年について言えば、アメリカは言われていたほどには良くはありませんでした。7%ぐらいになることが見込まれていたからです。それでも、ユーロ圏(ヨーロッパ)とともに、かなり景気が良かったと言えます。それに比べて日本はかなり低い数値です。8月に感染者数がかなり増えたとはいえ、新型コロナの感染は欧米に比べるとかなり抑えられています。にもかかわらず、景気は低迷したままでした。
今年は、アメリカ、ユーロ圏ともに昨年に比べて数値が下がります。しかし、それでも4%前後は悪くない数値です。今年ほどではないものの、「景気が良い状況が続く」と言ってよいでしょう。注目したいのは日本です。今年は3.4%の見通しとなっています。日本にとっては、かなり高い数値です。OECDの予想通りなら、今年の日本は「けっこう景気が良くなる」状態になります。昨年抑えられていた需要が今年になって拡大し、日本経済は順調に回復すると、OECDは見ているようです。まだオミクロン株の感染拡大は考慮されていないでしょうから、その点は割り引いて考えなければなりませんが、少なくとも昨年よりは景気が良くなるものと思います。
株価について見ますと、アメリカのNYダウは、昨年1年間で約27%の上昇となりました。経済の見通しから考えると、昨年ほどの上昇は見込めないにしても、今年もある程度の上昇が期待できるのではないでしょうか。最近インフレの傾向が強くなってきており、FRB(連邦準備理事会)が金利を引き上げ、それによって株式市場から資金が引き上げられることが懸念材料になっています。確かにその懸念がないわけではありませんが、近年のFRBは慎重な姿勢を取っています。景気が過熱して、物価の上昇が大きくならない限り、それほど心配はないでしょう。オミクロン株の広がりなど、新型コロナの感染拡大は、かえって景気を抑える働きをしますので、株価にはプラスと考えられます。今年は中間選挙の年で、バイデン大統領率いる民主党の苦戦が予想されています。与党の民主党が選挙で負けると政府と議会が〝ねじれ〟状態となり、政策が進まなくなります。ただ、その方が株式相場にとってはプラスに働くとの見方となっています。バイデン大統領が公約としていた増税ができなくなるからです。
日本は、昨年はTOPIX(東証株価指数)が10%の上昇となりました。もっとも、昨年の4月からは上がったり下がったりを繰り返すばかりで、ほとんど横ばいです。今年、OECDの見通し通りに経済が成長すれば、株価の上昇が期待できます。もともと、現在の日本の株価は、アメリカと比べてもかなり割安な状態が続いています。「今年は良くなる」という見通しが立てば、アメリカ以上に株価が上昇してもおかしくありません。オミクロン株の状況が心配されますので、しばらくは横ばいあるいは下落があるかもしれませんが、それが落ち着いてからは、昨年以上の上昇が期待できるのではないかと考えます。ただし、OECDの見通しほどには成長しない可能性もあります。新型コロナの感染拡大いかんにかかわらず、景気の低迷が続く可能性がないわけではありません。もしそうだとすれば、コロナの問題ではなく、日本の構造的な問題なのだと思います。
為替相場は、基本的には円安ドル高の傾向が続くものと見ています。日本では低金利が続くのに対して、アメリカは金利が上昇傾向にあります。すると、日本で預金するよりもアメリカで預金した方がメリットがあるため、円が売られてドルが買われるからです。ただ、アメリカでインフレ傾向だということは、ドルの価値が下がっているということでもあります。いつか、急激に円高ドル安に動く時があるかと思いますが、それがいつになるかはわかりません。じりじりと円安ドル高が続き、ある時急激に円高ドル安が起きる、のではないでしょうか。
2022.1.10記

