2019年11月の相場見通し

このところ株式相場は上昇しています。日経平均株価は28日に22,896円まで上昇しています。10ヵ月ぶりの水準です。9月にアメリカの連邦準備理事会で利下げをしたこと、アメリカと中国の貿易交渉で部分的に合意したことが要因になっています。
さらに上昇が続くのか? 以前からご紹介している今後のポイントを見てみましょう。

①日本の消費税引き上げ、②米中貿易摩擦の行方、③イギリスのEU離脱、の3点です。

まずは部分合意が報じられた米中貿易摩擦の行方です。この合意を受けて追加関税の実施は見送られています。しかし、まだ口約束のレベルで、文書の作成もこれからです。詳細についてもめる可能性もあり、まだ予断を許しません。中国製品への関税は、中国ばかりでなく、アメリカでも景気にマイナスに作用しており、トランプ大統領としても、少し焦っているようです。進展はあったものの、解決したとは言えず、△というところでしょうか。

イギリスのEU離脱交渉でも動きがありました。22日のイギリス議会で、「離脱協定案を実施する法案」は可決されましたが、10月中に離脱する日程案が否決されました。イギリスはEUに対して来年1月までの延期を申請しています。まだ確定ではありませんが、10月末での「合意なき離脱」はひとまず避けられたようです。もっとも、延期されただけでまだ解決したわけではありませんので、これも△でしょうか。

日本の消費税引き上げは、予定通りに10月に実施されました。キャッシュレスポイントやプレミアム付商品券などの緩和策もあわせて実施されています。消費税引き上げの景気への影響はまだわかりません。10月以降の消費動向などデータが出てくるのは、もう少し先です。景気の変化がはっきりとわかるのは来年に入ってからとなるでしょう。

ただ、日本の景気状況は消費税の引上げを待たずして落ち込み始めています。普通なら、消費税引き上げ前であれば駆け込み需要で売れ行きが良くなります。今回はそれがありませんでしたので、引き上げ後の大きな落ち込みはなさそうですが、消費税とは関係なく、早くも景気が落ち込み始めています。

いくつかの統計データを組み合わせて景気の状況を表した「景気動向指数」を見ますと、景気の先行きを示す「先行指数」ははっきりと下がってきています。株式相場は、景気動向指数の先行指数と似た動きになる傾向があります。今後、消費税引き上げの影響でさらに下がるようだと、株式相場も下落することが考えられます。

アメリカの景気もあまり芳しくはありません。日本の日銀に相当するFRB(連邦準備理事会)は9月に今年2回目の利下げをしました。トランプ大統領の就任後の減税で景気が良くなり、一時期は金利の引き上げに動いていましたが、今は完全に景気の落ち込みを防ぐ政策にシフトしています。それほど悪化しているわけではありませんが、大きな景気対策を打たないと緩やかな低迷が続く可能性があります。ただ、来年は大統領選挙の年です。トランプ大統領は、中国に揺さぶりをかけただけではダメだとわかると、減税など、大型の景気対策を打ち出すかもしれません。

日本の株式相場を見ても、株式相場全体の動きを反映するTOPIX(東証株価指数)よりも、225銘柄の株価から計算される日経平均株価の方が上昇しています。これは、ファーストリテイリング(ユニクロの親会社)など、一部の銘柄が大きく上昇しているためです。ユニクロの売り上げが良くなっているわけではありません。日経平均株価の計算システムの関係で、この株の影響が大きくなっており、平均株価を吊り上げるためにファーストリテイリングの株を買うヘッジファンドなどがいるからです。つまり、一部の投機筋のおかげで平均株価が吊り上げされていると考えられます。

このところ株価が上昇してきていますが、景気はむしろ悪化に向かっていますので、株価につられないように注意が必要です。

2019.10.28記

質問はこちらから