日経平均株価の適正価格は?

日本の株式相場は、6月中旬から8月中旬にかけて横ばいが続き、少し下がり気味でしたが、8月後半から急ピッチで上昇していました。上のグラフは、TOPIX(東証株価指数)の9月7日(木)までの推移ですが、日経平均株価で言うと、8月後半からの3週間で2,000円程度上昇しました。さすがに上がりすぎたようで、9月8日(金)は384円安の32,606円で終わりました。

日本経済は、力強くとまでは言えないものの、堅調に拡大しています。野村証券の調べでは、大企業(野村証券が選んだ銘柄)の企業業績を見ると、2023年度予想は売上が1.7%のプラスですが、利益は8.9%のプラスとなっています。売上のわりに利益の拡大が大きいのは、前年(2022年)の利益が小さかったからです。利益が小さい時は、少し売上が伸びただけで、利益は大きく拡大します。逆に2024年度予想は、売上が2.3%のプラスですが、利益は5.6%のプラスと、2023年よりも少し小さくなる見込みです。

その利益に対して、株価の状況はどうなのかというと、今度は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の調査で見てみます。証券アナリストなどの見方を平均すると、2023年度の 1株当たり利益は、2022年に比べて10.9%上昇して、2,264円になると見られています。(野村証券の予想と異なるのは、対象が少し違うためです。)1株当たり利益に対して、株価がどれくらいであるのが〝適正〟かを見るのに、PER(株価収益率)といいう数字を使います。この数字自体には特に意味はないのですが、今までの比較をするのに使います。コロナでの急落などの特殊な時期を除くと、この10年ぐらいのPERの平均は、およそ14.2となっています。そこから計算すると、

2,264円×14.2=32,149円

となります。つまり、日経平均株価では32,000円ぐらいが、今の企業業績から見た、 〝適正な株価〟ということになります。9月7日には33,322円まで上昇しましたので、少し上がり過ぎたようです。8日に384円下がったのは、その反動だったようです。それでもまだ少し割高ですので、もう少し下がってもおかしくはないところです。

そうやって、〝適正な株価〟のあたりを上下しながら動いていきますが、2024年度は利益の拡大が少し衰えそうですので、株価の方も上昇ペースが緩やかになると考えられます。といっても、少しずつ緩やかに動いていくわけではなく、急上昇したり、その反動で下がったり、横ばいが続いたり、を繰り返しながら、〝適正な株価〟のあたりを上下しつつ動いていくことでしょう。長い目で見ると、株式相場の動きは、企業業績に合わせて動いていきます。

一方、アメリカの株式相場は、2年近い調整を経て、ようやく前の高値(2022年1月;36,952ドル)が近づいてきました。(NYダウ平均株価)

ただ、9月にまたFRBが金利の引き上げを行いそうで、それによってはまた下がることが考えられます。しかし、アメリカ経済は、インフレを抑えながらも、景気後退に陥ることなく、好景気を維持しています。雇用者賃金の上昇が続いており、〝良い状況〟となっています。物価が上昇してきているのに、なかなか賃金が上がらない日本とは大違いです。

日本銀行は、7月に金融政策のスタンスを少し修正して、長期金利については1%までの上昇を容認することにしました。(無理に金利を押さえつけない、といいうことです。)その結果、長期の金利は少し上昇しています。住宅ローンの金利も長期固定金利は少し上昇しています。それでも短期金利については依然としてマイナス金利を維持していて、低い水準に金利を押さえつけています。そうなると、金利を引き上げるアメリカと金利を押さえつけている日本で、ますます金利に差がつき、為替相場は円安ドル高に推移していきそうです。直近、1ドル=147円まで円安ドル高が進んでいますが、150円台に入るのも時間の問題でしょう。昨年の夏には、1ドル=150円と付けたところで、財務省が介入して円安を抑えましたが、今年も似たような状況になってきました。財務省が介入しても、タイミングによっては効果が一時的に終わってしまうこともあります。そうなると、さらに円安ドル高が進む可能性もあります。

2023.9.12記

質問はこちらから