アメリカの株が上がるわけ

2月後半から3月中旬にかけて暴落した株式相場ですが、その後は比較的早くに回復し、暴落前の水準まであと少しというところで足踏みしています。6~7月は、日経平均株価では22,000円台で推移しています。これは、暴落前の95%の水準です。このところ、新型コロナの感染者数が再び増加しており、〝第2波〟が来たとの見方も出てきて、少し慎重になっているようです。

アメリカも同じようなもので、アメリカの代表的な株式指標の「ダウ平均」は、暴落前の90%前後のところで足踏みしています。アメリカのダウ平均の方が戻りは鈍いのですが、新型コロナの感染者数の状況を考えると、うなずけます。

新型コロナの感染者数の累計は、日本が3万人なのに対して、アメリカは約4,000万人です。それを考えると、アメリカの方が経済への影響は大きいはずで、回復がかなり早いと言えます。

ところが、それを上回るのがアメリカの株式指標の「ナスダック指数」です。ナスダックは、アメリカの新興企業の株式市場で、そこの株価を基に算出しています。こちらはすでに、暴落前の水準を超えて上昇しています。

新興市場とはいっても、マイクロソフト、アマゾンなどもナスダックに含まれており、それらの銘柄の比率が高く、ナスダック指数にも大きく影響しています。一方、ダウ平均は30銘柄の株価から算出されており、コカ・コーラやエクソン・モービルなどの旧来型の大手企業が多く占めています。(アップルのように、両方に含まれている銘柄もあります。)

アメリカでは日本以上に新型コロナの影響が深刻で、経済への影響も長引きそうです。にもかかわらず、株価は暴落前の水準に近づいて、あるいは超えています。その原因の1つは、中央銀行(FRB:連邦準備理事会)による大幅な金融緩和です。

リーマン・ショックの2009年に通貨を増やし始め、その後何度か通貨を増加させました。その後、一昨年ぐらいから少しずつ減らしていたところでしたが、今年になって急激に増やしました。その増やし方は今までの比ではありません。

中央銀行が大量に通貨を供給し、金利は下がったものの、今後の見通しが不透明でうかつに投資はできません。そこで、資金が株式市場に流れ込んだというわけです。日本のバブルの始まりの頃とよく似ています。当時の日本も、円高不況で先行き不安の中、円高を抑えるべく、日本銀行が大量の通貨を供給したのでした。

では、バブルはいずれ崩壊するので手を出さない方がよいのか、といえば、そうとも限りません。かつての日本のバブルも4年は続きました。現在のアメリカでの大量の通貨の供給が投資の拡大へとつながり、景気回復をもたらすという見方もあります。さらに、分野によっては実需(実際に業績が拡大する)を伴い、企業業績が拡大していくという見方もあります。

新型コロナによって、私たちの生活様式はいやおうなく変化しています。テレワークが珍しくなくなり、買い物もネットショッピングが一般的になっています。国や職種によって程度の差こそありますが、世界中で変化が起きていることは間違いないでしょう。

すると、恩恵を受けるのは、IT関連企業です。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)にマイクロソフト、インテルを中心とした企業は、コロナ以降ますます株価が上昇しています。これらを中心としたナスダック市場は、実需を伴いながら株価が上昇していくことが考えられます。

日本企業でもその恩恵を受ける企業はありますが、それほど多くはありません。それは今後の株価にも影響してくるでしょう。バブルが崩壊する可能性も頭に置いておきながら、アメリカ市場への投資を考えていきたいものです。

2020.7.30記

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