金融相場から業績相場へ

2月26日に日経平均株価が1日で1,200円も下落し、投資家を心配させました。4営業日後の3月4日も600円以上も下がり、株式相場の方向が転換したのではないかとの見方も出ました。景気が悪い中で株価だけが上昇していましたので、「バブル崩壊では」という声もありました。しかし、大きな方向転換を示すまでには至りませんでした。

下落のきっかけは、アメリカで長期金利が上昇したことです。今まで金利が低いために、金余り資金が株式市場に流入して株価が上昇していたため、この流れが止まることが心配されたのです。しかし、NY株式市場の下落も一時的なものに留まり、再び最高値を更新しています。

ちょうど今は、株式相場が「金融相場」から「業績相場」へと転換している時期と考えられます。「金融相場」は、中央銀行による大規模な金融緩和によって市場に資金があふれ、それが株式相場に流入することで起きる株価の上昇です。景気が悪い中での株価上昇となります。それに対して「業績相場」は、景気の回復とともに企業業績が良くなり、株式が買われる株価の上昇です。株式相場本来の姿と言ってもよいでしょう。

アメリカでも日本でも、今までは大規模な金融緩和によってあふれた資金の流入で株価が上昇していました。いよいよコロナ後を見すえて、業績の回復に合わせた株価の上昇に入る時期です。ただ、その間では、一時的な下落もあります。しばらくは乱高下があるかもしれませんが、下がったところは買い増しを考えてもよいでしょう。あわてて売却する必要はないでしょう。

今はまだ新型コロナ対策で経済活動が抑えられており、景気が悪い状況です。しかし、アメリカを中心にコロナ後の景気回復への期待が高まっています。アメリカでは、ワクチン接種が完了した人は3,300万人以上に上り、すでに10人に1人が接種を完了しています。それによって新規感染者数が大幅に減少しています。その上、バイデン政権は大型の公共投資を実施することを表明しています。そのためIMF(国際通貨基金)では、2021年のアメリカの経済成長率を5.1%と見込んでいます。コロナ以前と比べても高い水準です。(日本は3.1%、中国は8.1%、世界全体では5.5%の見込み)

景気の回復が力強いのは、「業績相場」にとってプラスとなるのですが、懸念材料もあります。景気の回復が早いと、中央銀行が金融引き締めに動き出すのも早くなるからです。中央銀行は大規模な資金放出を続けてきましたので、タイミングを見ながらその回収を図りたいと考えています。先月にご紹介しましたように、そのタイミングは

  • 景気回復で雇用が改善した時
  • 市中の金利が上昇した時

が目安になります。

最近、アメリカでは長期金利が上昇しています。これが続くようだと、アメリカの中央銀行の政策転換が早まることになります。すると、「業績相場」はそれほど長く続かない可能性も十分にあります。できれば、あまり早く景気が回復しない方が、株式相場の上昇が息長く続くと考えられます。景気が回復することは良いことですが、今の株式相場にとっては懸念材料になります。

一方、日本では金融政策の方向転換は当分の間はなさそうです。黒田日銀総裁は、現在の低金利緩和を続けていくことを明言しています。日本でも長期金利は多少上昇していますが、アメリカほどには景気回復が見込めず、このまま金利が上昇を続けることは考えにくいと思います。

基本的には上昇相場が続くと思いますが、しばらくの間は「金融相場」から「業績相場」への転換で一時的に下落することもありそうです。景気の回復とともに「業績相場」としての上昇が始まると考えられますが、景気回復のペースが早いようだと、株式相場は要注意となります。

2021.3.22記

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