2.基本的な考え方
(1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要
毎月の不足額の平均は5万円であり、不足額の総額は1,300~2,000万円となる。この金額は人によって異なるが、長く生きることに応じて「資産寿命」を延ばすことが必要になる。重要なことは、年金以外にどの程度の金額が必要になるか、考えてみることである。
【長期・積立・分散投資の有効性】
長期・積立・分散投資による効果は、積立が長期であればあるほど、投資先を分散すればするほど、収益がバラつきにくくなるとくちょうがある。
(2)ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々
ライフスタイルが多様化する中で、個々のニーズは様々である。自分自身の状況を「見える化」した上で対応を考えていく必要がある。
(3)公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動
今後も公的年金制度が老後の収入の柱であり続けるが、資産や収入が足りないのであれば、保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要がある。
(4)認知・判断能力の低下は誰にでも起こりうる
認知・判断能力の低下は誰にでも起こりうるもので、さまざまな制約を受けるようになる。これをできる限り回避するための事前の備えや対応が重要になる。
3.考えられる対応
(1)個々人にとっての資産の形成・管理での心構え
- 現役期:早い時期からの資産形成の有効性を認識し、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を行う。
- リタイヤ期前後:退職金がある場合、早期の情報収集と使途の検討をする。中長期的な資産運用の継続とその後の計画的な取崩しを実行する。
- 高齢期:認知・判断能力の低下や喪失に備え、取引関係の簡素化をしておく。金融面の本人意思を明確にしておき、自ら行動できなくなっても他者のサポートにより、これまでと同様の金融サービスを利用しやすくしておく。
(2)金融サービスの在り方
- 顧客本位の業務運営の徹底:顧客にとってふさわしいサービスの提供、手数料の明確化、分かりやすい情報提供
- サービスに見合う適切な対価の説明と請求
- 資産形成・管理やコンサルティング機能の強化
- 商品・サービスの多様化や「見える化」の推進
- 認知・判断能力が低下・喪失した者に対する運用・保全向けの商品・サービス
(3)環境整備
資産形成・資産承継制度の充実
長期に資産形成を支援する制度として「つみたてNISA」と「iDeCo」がある。
報告書より
両制度とも利用者が増加しているものの、その利用は国民の一部に留まっている。今後より一層周知に努め、若年期からの資産形成の重要性を広報していくべきだ。
金融リテラシーの向上
つみたてNISAなどがより幅広く活用されるためにも金融リテラシーの向上に向けた取り組みが重要である。金融庁や金融広報中央委員会などが取り組んできたが、確定拠出型の企業年金での投資教育・継続教育など企業の取り組みも重要である。
アドバイザーの充実
顧客のライフステージに応じ、マネープランの策定などの総合的なアドバイスを提供できるアドバイザーの存在が重要である。アドバイザーとしては、投資助言・代理業、金融商品仲介業、保険代理店やファイナンシャルプランナーなど様々な業者が存在する。
高齢顧客保護のあり方
個々人に応じたきめ細やかな対応が望ましく、例えば、リスクが高い複雑な商品の提供は厳しく抑制する一方で、リスクが低い簡素な商品については説明内容を軽減し、商品のリスクや複雑さに応じてメリハリをつけるなどの対応が望まれる。
また、本人が望む場合には、認知・判断能力の低下・喪失後も資産運用を続けられることが望ましい。
おわりに
今後のライフプラン・マネープランを、遠い未来の話ではなく今現在において必要なこと、「自分ごと」として捉え、考えられるかが重要であり、これは早ければ早いほど望ましい。そして、金融サービス提供者はこうした顧客の状況に対して、どれだけ顧客本位で一緒に考えることができるか。「自分ごと」として顧客に寄り添って考えることができる金融サービス提供者が顧客からの信頼を勝ち得ていくと考えられる。
※下線部は報告書の抜粋



報告書より