介護保険、公的医療保険、年金制度。。。これらの社会保険制度においての〝改正案〟が、このところ相次いで報道されています。値上げに関するものが多いので、〝改正〟と言ってよいのかは微妙なところですが。。。
<新聞報道から>
- 10月25日:厚生労働省は、2025年の年金制度改正に向けた議論を始めた。
- 10月26日:厚生労働省は、介護保険の保険料を増額する検討に入った。
- 10月27日:厚生労働省は、国民健康保険の保険料の上限を引き上げる方針を固めた。
- 10月28日:厚生労働省は、社会保障審議会に、後期高齢者医療制度の保険料を引き上げる案を示した。
社会保険制度は国の予算もかかわりますので、この時期に動きが出やすいという面はありますが、それにしても連日、値上げの「検討に入った」とか、「方針を固めた」というのが続いており、少々うんざりしてしまいます。
まだ、これから検討を始めるものですので、今後の議論によっては内容が変わることも、改正自体が見送られることもあります。今後の議論次第ではありますが、今の段階で報道されているものを見ていきましょう。
健康保険などの公的医療保険や年金制度、介護保険などの社会保険はいずれも、厚生労働省が管轄しており、法律でその内容を定めています。よって、制度を変更(改正?)をする場合には、法律の改正が必要です。
厚生労働省で制度の改正をしたい⇒社会保障審議会で審議する⇒法律の改正案を決める⇒与党の承認を得て、内閣で閣議決定する⇒国会の衆議院・参議院で審議・可決する⇒一定期間後に、実際に制度が変更される。
こんな流れで改正されます。社会保障審議会というのは、その分野の関係者や大学教授などの研究者に集まってもらい、制度の改正について議論をしてもらう会です。年金部会、医療保険部会など、それぞれの分野ごとに担当が分かれています。ここでの議論を受けて、厚生労働省が改正案をまとめます。その次のそれを与党に諮りますが、ここで大きく変更されたり、見送られることが多々あります。その結果、内閣で閣議決定されると、それが政府の改正案となります。その後に国会で審議しますが、おおむね閣議決定された案がそのまま法案となることが多いです。ただ、他の問題などで国会が荒れて、法案の審議が見送られてしまうこともあり、衆参両院で可決するまで目が離せません。
次は検討されている中身を見てみます。
<介護保険>
介護保険の保険料は40歳から必要になりますが、64歳までは健康保険料に含まれています。65歳から「介護保険料」として、別個に支払うことになります。その保険料は、介護保険制度が始まった2000年は全国平均で月額2,911円でしたが、3年ごとに上昇を続け、2021年からは全国平均で月額6,014円となっています。この金額は、基準の金額で、所得が少ない人は安く、多い人は高くなるように差をつけています。現在、国は9段階に分けて保険料を設定することを標準として示しています。
今回、厚生労働省が検討に入ったのは、この段階をさらに分けて、低所得の人はより安く、高所得の人はより高い保険料になるようにするという点です。基準となる金額が上昇していますので、所得の低い人の保険料は、さらに安くする格差を大きくして、ようやく現状維持かもしれません。所得の多い人は、基準額が上昇するのに加えて、格差の拡大でさらに高くなることが考えられます。
実際には、保険料の基準額は自治体によって異なり、格差も自治体で決めることができますので、国の示す基準通りに変わるわけではありません。しかし、多くの自治体が国の示す標準に応じて決めていますので、年金額が多い人は介護保険料が大きく上昇することが考えられます。厚生労働省は2024年度の実施を予定しています。この年は、介護保険料の基準額も変更される年になりますので、ダブルでの上昇となるかもしれません。
介護保険制度については、サービスを利用する際の自己負担額が原則として、本来の費用の1割となっています。しかし、2015年に所得が多い人は2割負担となり、さらに2018年には3割負担の区分も設けられました。所得が多い人は、利用の際の自己負担額が上昇し、さらに(利用していなくても)定期的に支払う保険料も値上げとなりそうです。
2022.10.31記

