<後期高齢者医療制度>
75歳からは、健康保険や国民健康保険から、後期高齢者医療保険制度へ変わります。その保険料も自治体によって異なりますが、現在は全国平均で月額6,472円となっています。こちらは2年ごとに変更されていますが、やはり上昇傾向にあります。実際には各自治体が決めた計算方法で、所得によって決まります。
ただし、上限額は年額66万円(月額55,000円)と、国で定められています。厚生労働省は、この上限額の引き上げを検討しています。こちらは、介護保険料とは異なり、低所得の人の分を引き下げるというわけではありません。もっとも、上限額ですので、対象となるのは年金収入が888万円以上の人になります。
さらに、保険料の計算方法を変更も予定されています。保険料は、すべての人が均等に負担する均等割りと、所得の金額によって異なる所得割の合計となっていますが、このうち所得割を増やすことも検討されています。こちらについては、年金額が153万円を超える人が対象になりますので、多くの人が保険料引き上げになる可能性があります。2024年は保険料の見直し年でもあり、高所得者はダブルでの上昇となる可能性があります。
後期高齢者医療保険制度では、医療を受けた際の自己負担は1割でしたが、今年の10月から、高所得者については2割負担となりました。医療を受ける際の負担も、それに備える保険料も引き上げられることになりそうです。
<国民健康保険料>
勤務先の健康保険に加入していない自営業者などは、自治体の国民健康保険に加入しています。その保険料は、自治体によって異なりますし、さらに所得によって金額が計算されます。ただし、上限額は国によって定められており、現在は年額102万円です。今年、3万円引き上げられました。厚生労働省は、来年度に2万円を引き上げる方針を固めました。2年連続の引き上げとなります。年収で1,140万円以上の人が値上げの対象と考えられます。
<年金制度>
年金については、2025年の改正に向けて議論を始めたところです。内容についてはまだ具体的になっていません。今のところ、3つの点について検討していく予定です。
- マクロ経済スライドの早期停止:現役世代の所得や平均寿命の延びを考慮して年金額を抑える仕組みが作られているのですが、現実にはうまく機能しておらず、止めてしまうという意見が出ています。その場合どうすかは、まだこれから議論します。
- 国民年金の加入期間の拡大:現在は、国民年金は20歳から60歳までの40年間加入します。それを、65歳までの45年間に延ばそうという案が出ています。それだけ長く保険料を払うことになりますが、老後に受け取る年金額も増えることになります。お勤めであれば厚生年金に加入していますので、再雇用で65歳まで働く人は負担が増えません。扶養の妻の年金額が増えることになります。
- 厚生年金の適用拡大:今年の10月から、従業員101人以上の企業は週20時間以上勤務するパートも厚生年金と健康保険に加入することになりました。2024年10月からは従業員51人以上の企業が対象です。これをさらに拡大することを検討しています。
全体的に、高所得者の負担を増やしていく変更が多くなっています。特に高齢者で所得が多い人がターゲットになっています。確かに、高齢者の中には、余裕のある人もいますので、その人たちにもう少し負担してもらうというのもわからないわけではありません。しかし、利用時の自己負担の上昇と保険料の上昇と、両面での負担増が続いています。医療、介護、年金と、同じ厚生労働省でも部署は違いますので、それぞれが別々に改正を決めているためです。また、増税は国民の反発が強いものの、保険料の値上げならそれほど反発がない、という面もありそうです。
2022.11.3記

