新型コロナウィルスの感染を防ぐ目的で、全国の学校に対して一斉に休校する要請が政府から出されました。「後手後手」と批判されていた安倍首相の独断だったようですが、「私の責任で~」の発言もあり、子供の休校にともなう親の休暇取得に対して、政府が資金面で補てんをすることになりました。当初は「有給休暇で対応」などという話もありましたので、お子さんを持つ勤労者の方には朗報となりました。
今回はフリーランスの人も対象になっているのが特徴です。フリーランスの人の収入補償を行うのは、初めてのことではないでしょうか。さっそく、3月18日に詳細が公表されました。この対応の早さも今までになかったことです。その内容をまとめ、ご紹介します。
<労働者を雇用する事業主向けの助成金>
- 勤労者が、子供の学校が休校になったために仕事を休まなくてはならない場合の補てんです。正規雇用、非正規雇用の区別はありません。
- 助成金を受け取るのは、仕事を休んだ従業員ではなく、事業者です。その休暇を有給にした場合に助成金が給付されることで、間接的に従業員の収入が下がるのを防ぐ措置です。
- 助成金の金額
- 休暇を取得した従業員に支払った賃金額(上限8,330円)
- 賃金額が8,330円以上でも、事業主は通常の賃金を支払うことが必要です。
- すでに有給休暇の取得や欠勤を取った場合でも、本人確認の上、振替OK。
- 対象となる学校等
- 休校となった小学校(障害のある子どもは中学校、高校も。)
- 一斉休校の対象に放っていないものの、休園となった場合は、幼稚園、保育所、認可外保育施設、家庭的保育事業なども対象。
- 放課後クラブ、保育所などから利用を控えるように言われた場合。
- 新型コロナウィルスの感染者、濃厚接触者、発熱などの風の症状がみられる場合。
- 対象となる保護者
- 親権者(親など)だけでなく、祖父母など子どもを保護する人も対象。
- 子どもの世話を一時的に補助する親族も、勤務先が認めれば対象になる。
- 対象となる休暇
- 学校が休校となった日(土日、春休みは対象外)
- 新型コロナウィルスの感染者、濃厚接触者、発熱などの風の症状がみられる場合は、2/27~3/31の間。
- 半日単位、時間単位の休暇も対象(所定労働時間を短くする短時間勤務は対象外)
- 申請
- 申請は事業主が行います。事業所単位ではなく、法人ごとの申請です。
- 申請期間:3/18~6/30(必着)
- 休暇を取得した従業員に支払った賃金額(上限8,330円)
<委託を受けて個人で仕事をする人(フリーランス)向けの支援金>
- 「業務委託」などの形で、発注者からの業務を請け負っている個人が、子どもの休校で仕事ができない場合の補てんです。
- 「業務委託契約」をしている人だけが対象です。商店の経営者や個人相手のサービス業などは対象外です。
- 支援金の金額
- 仕事ができなかった日1日当たり4,100円(その人の収入にかかわらず一律)
- 業務委託の条件
- 一斉休校となる前に、すでに業務委託契約を締結していること。(口頭もOK)
- 業務の内容、場所、日時について、発注者から指示を受けていること。
- 業務する日や時間、作業量などを前提とした報酬になっていること。
- 業務委託契約で予定されていた日時に業務を行うことができなくなったこと。
- 対象となる学校等:上記の「助成金」と同じ
- 対象となる保護者
- 保護者。(同居でない場合は、申立書と続柄がわかる戸籍謄本などが必要。)
- 対象となる休暇
- 学校が休校となった日(土日、春休みは対象外)
- 新型コロナウィルスの感染またはその恐れがある場合は、学校などが登校しないことを認めた日
- 申請
- 申請は対象となる人が直接行います。申請書と添付書類を「学校等休業助成金・支援金受付センター」に郵送します。(申請書などは、厚生労働省HPから印刷)
- 申請期間:3/18~6/30(必着)
- 申請書に添付する証拠書類(それぞれの項目で、いずれか1つ)
- 保護者であることの証明:住民票(同居でない場合は、申立書と戸籍謄本など)
- 学校が休校となった日の証明
- 学校だより、小学校等のHPやメールの写し
- 新型コロナウィルスの感染またはその恐れがある場合は、学校などが認めたことがわかる書類
- 業務委託契約の証明
- 業務委託契約書または業務内容がわかるメール(発注者、業務内容、場所、予定日時、報酬、仕事を取りやめた日が確認できるものに限る)の写し
- 契約書がない場合は、業務委託契約の申立書(発注者の記名押印が必要)
- 過去2ヶ月間の業務委託契約書または業務内容がわかるメール(発注者、業務内容、場所、予定日時、報酬、仕事を取りやめた日が推定できるものに限る)の写し
- 振込口座の確認:通帳、キャッシュカードの写し
<お問合せ・申請書の送付先>
学校等休業助成金・支援金受付センター(厚生労働省が業務委託した事業者)
- 問い合わせ先:学校等休業助成金・支援金コールセンター
- 0120-60-3999 受付時間:土日を含む9:00~21:00
- 申請書送付先(関東):学校等休業助成金・支援金受付センター
- 〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-2 6階662執務室
学校等休業助成金・支援金受付センター
- 〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-2 6階662執務室
従業員の場合は事業主が手続きをするのでそれほど負担ではありません(学校の休校のお知らせを勤務先に提出する場合があります。)が、フリーランスの場合は自分で提出することになるので、注意が必要です。提出期限に遅れないように、申請書を厚生労働省のホームページから印刷して、証拠書類を準備します。
フリーランスの場合でも、あくまで「子供が休校になったことによって仕事ができない」ことによる収入減を補てんする支援金です。新型コロナウィルスによる自粛での売り上げ減少などはこの支援金の対象ではありません。これらに対する対策も検討されていますが、まったく別の形で公表されます。
<一斉休校について一言>
いきなり発表された一斉休校ですが、2月27日には「臨時休校を行うよう要請する」と強い口調で言ったかと思えば、翌日には「各学校や地域で柔軟に対応していただきたい」とトーンダウンしました。実際はほとんどの学校で、実質29日から休校となり、学校関係者や子どもがいるご家庭では大慌てでの対応となりました。「大英断」なのか、「意味がない」のか、評価は大きく分かれています。安倍政権を評価するのかどうかによっての違いもありますが、医療関係者と教育関係者では正反対になっています。
学校を休みにしたのは、ただ単に「休みにしやすかった」というだけの理由で、それ自体は感染予防の効果はそれほどないと思います。ただ、全国で一斉休校を実施したことで、社会全体が感染防止に真剣に取り組む注意喚起の効果があったのではないかと思います。全国一斉で休校になるなんて、今までありませんでしたから。(卒業式だけはやってほしかったです。)
残念だったのは、ほとんどの地域、学校で首相の要請に従ったことです。「柔軟に対応」という言葉もあったのですから、もう少し実施にバラつきが出るとよかったと思います。地域によって、できれば学校ごとに休校の有無や休校期間に違いがあると、その結果が今後に生かせたからです。休校をした地域、学校としなかった地域、学校で新型コロナの感染に差があったか比較できたからです。(すでに感染者が出ていた地域とそうでない地域がありますので、条件をそろえて比較するには、ある程度のバラつきが必要です。)
条件が同じ別々の地域で、ある施策だけを変えて、その結果を比較する政治的な実験を「ランダム化比較試験」といいます。A市では施策を実施して、B市では実施しない、となると、住民の批判を受けやすいので、情報伝達が早い先進国ではなかなか〝実験〟ができません。今回、市長や学校長の判断で休校の実施に違いが出れば、日本で感染症予防における「ランダム化比較試験」ができたのですが。。。
「ランダム化比較試験」は、昨年のノーベル経済学賞の対象となりましたが、経済学だけでなく医学、特に疫学において優れた分析手法です。
2020.3.19記

