コロナ禍となって以来、感染を恐れて実家に帰っていなかったものの、久しぶりに規制をしたら、親の様子がおかしい。という人は少なくないでしょう。高齢者は1年で急に足腰が弱ったり、認知機能が衰えたり、ということがあります。特にコロナ禍で、外出や人との交流が制限され、自宅に閉じこもることが多くなってしまったため、身体、精神ともに機能の低下が早く進んでいる場合があります。
ここでは、仕事と両立させるために活用したい、介護ための制度をご紹介いたします。いずれも細かい条件までは触れていませんので、利用の際は勤務先にご確認ください。
- 介護休暇
労働者は、1年間に5日まで、家族の介護のため休暇を取得することができます。これは、有給休暇とは別で、事業主は拒むことはできません。今年から、時間単位で細切れに取得することもできるようになりました。
年に5日ですので、毎日の介護に利用するというものではありません。ケアマネージャーとの打ち合わせに使う、休日と抱き合わせて実家に行くなどに利用するのに適しているでしょうか。
<対象となる家族>
介護の対象となる家族は、配偶者、親や祖父母、配偶者の親、兄弟姉妹、子や孫となっています。同居しているか、他に介護ができる家族がいない、などは条件となりません。対象となる「介護」の状態は、「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」とされています。介護保険の要介護2のレベルは対象になりますが、必ずしも介護保険の介護認定や医師の診断書が必要というわけではありません。
- 介護休業
介護休暇が1日単位で取得するのに対し、まとまった期間を連続して休むのが介護休業です。介護する対象家族1人につき93日取得できます。3回までは分割することはできます。つまり、3ヶ月間続けて休業してもよいし、1か月ずつ3回に分けて取得することもできます。休業を開始したい日の2週間前までに、休業期間を事業主に申し出る必要があります。
対象となる家族と介護の程度は、介護休暇の場合と同じです。
3ヶ月というのもそれほど長い期間ではありません。「介護をするために取得する」というよりは、「介護の体制を整えるために取得する」期間となるでしょう。取得した介護休暇の間に、老人ホームなどの入居施設を捜したり、介護保険サービスを活用して家族が介護していける体制を整えるとよいでしょう。
- 介護休業給付金
介護休業期間は、基本的に無給です。その代わり、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。金額は、その時の賃金の約2/3です。正確には、休業開始前6ヵ月の賃金を180で割った金額を賃金の日額として、その67%に相当する金額が、介護休業の日数分出ます。支給は1ヵ月ごとにされます。
ただし、1か月の支給額の上限は約33万2,000円となります。介護休業中に賃金が支給される場合は、合計額でその時の賃金の80%が上限となります。
支給の対象になるのは、介護休業を開始した日前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ケ月以上ある人です。介護の対象となる家族や介護の程度は、介護休暇・休業に準じます。
- 残業免除や労働時間の短縮
その他にも、介護のために仕事が続けられないという事態に陥らないように、労働時間を制限する制度がいくつか設けられています。主なものを掲載いたします。
- 残業の免除:申し出ると、介護が終了するまで残業が免除されます。
- 残業時間の制限:残業をする場合でも、労働者が申し出ることで1ヵ月24時間までに制限されます。
- 深夜業の制限:労働者が申し出ることで夜10時以降の労働が制限されます。
- 所定労働時間短縮などの措置:介護をする労働者のために、働きやすい制度として、以下のいずれかを用意しておく必要があります。それは、「短時間勤務制度」「時差出勤の制度」「フレックスタイム制度」「介護費用の助成措置」などです。
- 不利益取扱いの禁止:介護休業の申出などを理由として、その労働者を不利に扱うことは禁止されています。
- ハラスメント防止措置:介護休業の取得を理由とした嫌がらせなどを防止する措置を取ることが事業主に義務付けられています。
介護と仕事の両立は大変です。遠距離介護となればなおさらです。中には仕事を辞めてしまう人も少なくありません。しかし、介護はいつか終わりを迎えます。介護をしている間は親の年金が入っていたので、家計はなんとかやりくりできています。
しかし、その時に仕事を辞めてしまっていると、その後の収入の確保が難しくなります。自身の年齢も上がり、就職が難しくなることも考えられます。その後に生活が困難に陥らないようにするためにも、上記のような制度を活用して、なんとか仕事を続けながら介護をの期間を乗り切るようにしたいものです。
2021.9.22記

