いつまで続くトランプ・ラリー

アメリカの大統領選挙は、ドランプ氏の勝利となりました。それを受け、アメリカも日本も株式相場は大幅な上昇となりました。(ハリス氏が勝利しても上昇したと思いますが。。。)

参考までに、トランプ氏が当選した前々回の大統領選の時の状況を見てみましょう。

 

大方の予想に反してトランプ氏が勝利し、どうなるのか、不安視もされましたが、翌年(大統領就任年)はかなり上昇しました。

 

2016年

2017年

NYダウ上昇率

13%

28%

日経平均株価

0%

19%

 

 

大統領選挙の結果が出た2016年11月から上昇し始め、就任1年目の2017年は3割近い上昇となりました。今回も、あの時と同じような上昇「トランプ・ラリー」が始まると、市場関係者は沸き立っています。ところが、エコノミストの意見を見ると、趣が異なっています。ちなみに、エコノミストとは、経済を分析する専門家で、金融機関に所属する人が多いのですが、いわゆる市場関係者に比べると、冷静な分析をします。

元日銀審議委員である、野村総合研究所の木内登英氏は、トランプ氏の政策が実行されれば、アメリカ経済にはマイナスの影響を与えると考えており、為替は円高ドル安へ、株価は下落する可能性があると見ています。では、トランプ氏の政策を見てみましょう。

<トランプ氏の選挙公約>

  • 減税:前回の大統領時に実施した減税の延長が柱です。他に、残業代に対する減税、年金に対する減税も打ち出しています。
  • 関税の引上げ:対中関税を60%に引き上げる。それ以外の国に対しても一律で10%の関税をかけるとしています。
  • 移民政策:不法移民の強制送還を明言しています。さらに、ビザの発給制限で、合法な移民も抑制を行います。

 

第一生命経済研究所では(こちらもエコノミスト)、公約を実施した場合の影響を以下のように見ています。

  • 減税:GDP成長率は、5~1.0%のプラス。ただし、柱の減税延長は、すでに実施していることの延長ですので、効果は限られます。
  • 関税の引上げ:GDP成長率は、4%のマイナス。実施した場合は、アメリカでインフレが再燃する可能性があります。
  • 移民政策:GDP成長率は、4~0.8%のマイナス。労働力不足で、インフレの再燃が懸念されます。

いずれも、インフレの懸念がある政策です。2020年にバイデン大統領となり、アメリカは激しいインフレが起きました。一時期、対前年比で9%もの上昇となりました。トランプ大統領はそれを批判して「私ならすぐにインフレを抑える」と言って支持を集めました。ところが公約の中身を見ると、インフレになりそうな政策ばかりです。ようやく落ち着いてきた物価上昇率が再び過熱し、やがては景気の悪化につながるのではないかと、エコノミストたちは心配しています。

アメリカは今、「そろそろ景気が悪化するのではないか」と心配されている状況です。7日に連邦準備理事会(FRB)が0.25%金利を引き下げましたが、これは景気悪化に対する備えです。このようなタイミングですから、自国の産業を守る政策は一時的にはプラスに働くかもしれません。しかし、関税の引き上げや移民政策は、長期的にはアメリカの産業にもマイナスの影響を及ぼします。物価は上昇しているのに、景気が悪くなるというスタグフレーションに陥ることを指摘する声もあります。

もっとも、選挙公約を本当に実施するかは定かでありません。前回のトランプ政権でも、実現できたのは公約の半分ぐらいです。移民政策についてはほとんど手を付けませんでした。選挙では大きなことを言っていても、いざ大統領になると現実的な路線をとるのかもしれません。ただ、トランプ氏は78歳。判断能力に不安があると出馬を取りやめたバイデン大統領と同じ歳です。周りの意見を聞かなくなるのではないか、心配です。

当面は、アメリカ経済の回復が期待できますので、株式の上昇&円安ドル高の傾向が続くでしょう。しかし、トランプ氏が選挙公約を政策として実施していくと、インフレ&景気悪化が懸念されます。そうなると、株式の下落&円高ドル安への転換もあり得ます。

2024.11.22記

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