相場の下落、年後半になるか

最近のニュースでは〝値上げ〟の話題ばかりが取り上げられ、消費者や経営者の「困ります」というコメントが映し出されます。つい1~2年前まではデフレで「困っている」と言っていたのを忘れたかのようです。日本銀行は「物価上昇率を2%にする」と約束し、10年かけてようやく実現したのに、誰もほめてくれません。

「景気が良い」のは望ましい状況ですが、物価は上がります。好景気とインフレ(物価上昇)はセットです。一方、物価は上がらない方が良いのですが、そうなるには景気が悪くなるしかありません。デフレと不景気もセットです。結局どちらも「困った」要素があるわけで、都合よく、良いとこ取りはできません。

アメリカはコロナ禍以降、好景気が続き、それとともにインフレが激しくなりました。消費者物価の上昇率は一時期9%にも達しました。アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)はあわてて利上げを連発し、インフレを抑えにかかりました。FRBのパウエル議長は「景気を犠牲にしてもインフレを抑えることを優先する」と明言していました。その成果が出たのか、インフレは少し収まってきました。(といっても、まだ6%ぐらいです。)合わせて景気が悪くなることが心配されていますが、今のところその気配は現れず、好景気が続いています。今後、インフレは収まっていくものの、好景気は続くという、良いとこ取りができるのではないかとの期待も出てきました。最近のアメリカ株の上昇は、そんな期待を反映しています。依然として景気後退に陥ると心配する見方もありますが、徐々に「良いとこ取りができそうだ」との見方が強くなっています。パウエル議長は、市場の楽観論を戒めながらも、自信を見せています。

ところで、IMF(国際通貨基金)は3ヵ月ごとに世界経済の見通しを公表しています。1月末にも見通しの改定がありました。それによると、世界経済全体では、今年は少し落ち込むものの、来年は少し回復しそうです。

ところがアメリカは、昨年から今年、来年と低下していきます。一昨年(2021年)はさらに良かったので(このグラフにはありませんが、5.7%もありました。)、3年連続の低下となります。

IMFの見通しはしばしば変わりますので、あてにならない部分もありますが、この予想に基づけば、アメリカの景気は今年よりも来年はさらに悪くなると考えられます。今はインフレが収まりつつあるにもかかわらず好景気が続いているという「良いとこ取り」の状況ですが、そう長くは続かないということなのでしょう。来年、さらに景気が落ち込むとすると、株式相場は今年後半から、それを見越した動きになっていきます。今年の前半は状況が良かったとしても、後半からは要注意と考えられます。

日本は、今年は昨年よりも良いのですが、来年は悪くなるという見通しです。株式相場がそれを受けて動くとすれば、こちらも前半は状況が良いものの、後半は要注意ということになります。

もっとも、2023年もまだ始まったばかりですので、2024年がどうなるかは、国際機関の予想と言えども、それほど確度が高いわけではありません。ウクライナ情勢も予想がつかない中ですので、3ヵ月後に大きく予想が変わる可能性もあります。

2023.2.13記

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