老人ホーム訪問記①「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」

「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」は、住宅型と介護型の2つが併設されている、有料老人ホームです。神奈川県藤沢市、JR東海道線・辻堂駅北口より徒歩13分の場所にあります。
かつては工場だった敷地で、今は再開発をしているところです。施設の建物の前は、長谷工グループが大規模マンションを建設中で、まだ殺風景です。ただ、近くに湘南中央病院という大きな医療機関があり、協力医療機関となっています。

 

施設の紹介の前に、運営会社の「㈱生活科学運営」をご紹介しましょう。生活科学運営は1983年に名古屋で、暮らし方の勉強会として発足し、当初は女性の再就職セミナーなどを始めています。翌年に、40歳以上を対象にした自主運営型ハウスを設立しています。やがて株式会社となり、「生活支援・家事サービス付き住宅」の運営を始めます。愛知県や首都圏を中心に、自立型の「ライフハウス」と介護型の「シニアハウス」を展開していき、30施設ほどの有料老人ホームを運営していました。2013年からは長谷工コーポレーション(旧長谷川工務店)の傘下に入っています。長谷工グループでは、元からある有料老人ホーム運営会社の「センチュリーライフ」と生活科学運営、デイサービスを運営する「ふるさと」で、「長谷工シニアホールディングス」を形成しています。3つの会社で、首都圏、京阪神、中京圏に100事業所を運営する、大手介護事業者となっています。

 

「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」は2018年3月開設と、まだ開設1年半ですが、すでにほぼ満室となっています。長谷工グループの一員として安定した運営基盤を持ちながらも、生活科学運営設立からの〝地域コミュニティの創造〟の考え方を理念として運営しています。具体的に見ていきましょう。

「ライフ&シニアハウス」との名称になっているのは、「ライフハウス」(生活型有料老人ホーム)と「シニアハウス」(介護付き有料老人ホーム)が併設されているためです。2つの建物に分かれていますが、入口と食堂は一体となっています。さらに、主に通いで来る「小規模多機能型居宅介護施設」も併設されています。

「ライフハウス」(生活型有料老人ホーム)は、自立型の施設で、介護保険サービスはついていません。基本は、食事のサービスと生活面での見守りだけとなります。介護サービスが必要な場合は、外部の訪問介護を利用することができます。間取りは1LDK(38.58㎡)から2LDK(61.26㎡)まであり、キッチン(コンロ)、浴室があります。自室で料理をすることもできますが、食堂で3食が提供されていますので、食事の支度が負担になり、入居する人が多いようです。門限はなく、夫婦で入居する人もいて、プライバシーが保たれていると言えます。ちなみに、食事は2日前までならキャンセルでき、夕食の利用は半分ぐらい、昼食はほとんどが食堂を利用していないそうです。朝食を食堂でとらない場合でも、朝には事務所前の名札を裏返す決まりになっており、これが毎日の安否確認になっています。全47室ですが、2019年10月現在で満室とのことです。

一方、「シニアハウス」(介護付き有料老人ホーム)は、入居することで介護保険サービスを受けることがセットになっている「特定施設」です。全31室が19.66㎡のワンルーム型で、キッチンや浴室はありません。食事は食堂で、入浴は共同の浴室を利用します。介護職員の介助を受けながら利用することができます。「特定施設」ですので、フルで介護サービスを利用することができます。現在、31室のうち、25室が入居済みとなっています。ライフハウスに入居している人が将来、常時介護が必要になり、シニアハウスに移るということも可能になっています。

食堂を運営しているのは、地元のNPO(非営利団体)で、〝地域コミュニティの創造〟という生活科学運営の理念が生かされています。給食サービス会社のような〝プロ〟の運営ではありませんので、完璧な応対ではありません。私が訪問した際も、6人で食事をいただいたのですが、少し戸惑っていました。しかし、ゆっくりペースの高齢者を相手にしていますので、これで十分ではないかと思います。他にも、清掃、移送サービス、小規模多機能型居宅介護施設の運営を、地元のNPOやワーカーズ・コレクティブが担っています。

料金です。「ライフハウス」(生活型有料老人ホーム)は、入居一時金が2,560万円~、月額が19.7万円(年齢や間取り、入居人数によって異なる)。5年で3,742万円~となります。(一括払い、入居一時金なしの月払いもあります。)
「シニアハウス」(介護付き有料老人ホーム)は、入居一時金750万円、月額27.6万円程度(要介護度によって異なります)。5年でおよそ2,406万円です。

施設の雰囲気は良く、職員、入居者の表情は明るかったです。
自立した人向けの生活型と介護が必要な人向けの介護付きが併設されているので、夫婦でそれぞれに入居する、ということができます。建物は1階がつながっているので、部屋の行き来がしやすいですし、食堂が一緒なので、毎日顔を合わせられます。一方の介護の程度が重い場合には、居心地が良い住まい方になるでしょう。
また、部屋の空き状況にもよりますが、介護がより必要になった時に、同じ施設内で移動する、といいうことも可能です。この点もこの施設の魅力です。
湘南地域にお住いの方にはお勧めの施設です。

2019.11.3記

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