最近の住宅ローンの状況

<最近の住宅購入の状況>

最近の住宅購入の状況は、一言で言えば、「ローン金利はかなり低くなっているが、住宅の価格がかなり高騰している」ということです。ローンを見ると「買い時」ですが、購入価格では「見送りたい」状況です。

まず、住宅ローン金利は、長期金利の低下に応じてかなり低くなっています。現在のマイナス金利政策の影響を受けて、住宅ローンはマイナスにこそなっていませんが、以前とは比べ物にならないぐらいの低金利です。
銀行の店頭で表示している金利は、変動金利で
2.475%10年固定金利で2.55%となっていますが、給与振り込みなど簡単な条件さえクリアすれば優遇金利が適用され1.41.95%も引き下げられます。
その結果、金融機関によりますが、変動金利は
0.525%、10年固定金利で0.71.2%が適用されています。住宅金融公庫のフラット2020年固定金利)は1.12%、フラット3535年固定金利)でも1.18%と、かつての変動金利よりも低い水準です。(いずれも融資9割以下。窓口となる金融機関によって異なる。)

一方の住宅の購入価格です。国土交通省が出している不動産価格指数を見ると、戸建てはそれほどでもないのですが、マンションがかなり上昇しています。
2010年を100とすると、戸建住宅や住宅地は104105前後で、〝多少〟上がった程度です。
ところがマンションは
150弱となっています。上昇し始めたのが2013年からで、6年間でおよそ1.5倍になっているわけです。首都圏を中心に、近畿圏や中部圏などの都市部でも上昇傾向にあります。

両者の違いを考えると、土地の価格は上昇しているわけではないのですが、工賃と材料費が上昇しているものと考えられます。人手不足が最大の原因でしょう。

また、ローン金利が低いこともあって借入限度額が大きくなり、購入価格を高くしやすいということもあるでしょう。この点は戸建住宅や注文住宅でも同じですが、マンションでその傾向が強く出ているのかもしれません。
最近は、タワーマンションなど、駅近で高級な物件が増えています。かつての購入者と比べると、ワンランク上のマンションを選ぶ人が増えているのではないでしょうか。

 

<住宅ローンの考え方>

住宅ローンの負担の大きさを見るのに、「返済負担率」という数値を使います。住宅ローンの1ヶ月の返済額を世帯の月収で割った割合で、おおむね25%未満であれば安心と見られています。
全体では
68.8%の人が返済負担率25%未満となっています。マンション、建売住宅では6770%程度で、中古マンションや中古住宅だと8084%程度と、返済負担率が低い人が多くなっています。
逆に返済負担率が高いのが「土地付き注文住宅」で、返済負担率
25%未満の人は60%弱となっています。40%以上の人が、返済負担率25%以上となっており、住宅ローンの負担が重くなっています。
「土地付き注文住宅」は、住宅を購入することを条件に販売されている宅地です。土地を購入して、さらに注文住宅を建てるわけで、金額も高めになります。

前述の<最近の住宅購入の状況>でも触れましたが、住宅ローンの金利がこれ以上は考えにくいほど低下しています。今後、金利が上昇した場合のことを考えると、金利の低い今の段階で固定金利を選択し、低金利で返済額を確定してしまうのが得策と思われます。
しかし、最近の貸出実績を見ると、
2017年で63.9%が変動金利を選択しています。全期間固定金利を選んでいる人は5.6%でしかありません。低金利といっても、変動金利(0.525%)に比べると固定金利は高く(フラット351.18%)、変動金利を選ぶ人が多いようです。もっとも、「これ以上ありえない低金利」とは、20年以上前から言われていました。結果的に変動金利を選んだ人の方がお得だったわけです。
今後も長期間にわたって低金利が続く可能性もありますし、マイナス金利という、常識では考えられないことが住宅ローンでも現実のものとなるかもしれません。

金利の予想については、簡単に言えるものではありません。今までの常識が通用しない状況になっています。
「金利の機能が失われた」ので、今後は金利が上昇することはないという専門家もいます。世界全体で低金利の傾向が続いているからです。
一方、の本の財政状況を踏まえると、国債の信用不安⇒金利の急上昇、という可能性も考慮しておかなければならないと考えます。

変動金利か、固定金利かの選択は、今後の金利動向の予想ではなく、「金利亜上昇した際に対応できるか」という観点で考えたいものです。金利上昇で住宅ローンの返済額が上昇しても返済できるか、金利が上昇した際に繰上返済ができるか、など対応できる人であれば、変動金利の選択も可能です。(もちろん、固定金利を選ぶこともできます。)金利が上昇したら、返済ができなくなるかもしれない、という人は、今の金利が高くても固定金利を選ぶべきでしょう。つまり、金利の予想ではなく、ご家庭の家計状況によって選択することになります。

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