老人ホーム訪問記②「アライブ世田谷代田」

有料老人ホームの運営には、さまざまな業界が進出しています。母体となっている企業によって、ホームの性格もおのずから違ってくるようです。今回訪問した介護付き有料老人ホーム「アライブ世田谷代田」を運営しているのは㈱アライブメディケアという会社で、現在12か所のホームを運営しています。設立母体は、荒井商店という不動産賃貸を中心事業としている会社ですが、この企業が警備会社の最大手セコムの傘下に入りましたので、このホームもセコムグループの1事業となっています。特にセキュリティー面で優れているというわけではありませんが、都心に近いところにあり、手厚い介護体制が特徴になっています。それだけに、高級感があり、お値段も高めです。

「アライブ世田谷代田」は、小田急線・世田谷代田駅より徒歩7分の住宅街の中にあります。周りは戸建て住宅か低層のマンションで、この施設も3階建て、全30室と小規模になっています。それだけに、こぢんまりとしていて、アッとホームな雰囲気です。30室というのは、有料老人ホームでは、かなり入居者が少ない方です。入居者一人ひとりに対して、細やかな対応ができる人数です。

外観は、樹木をふんだんにあしらった、重厚な造りで、周りの住宅街に溶け込んでいますので、あまり〝施設〟という雰囲気はありません。訪れると、コンシュルジュのような方が出迎えてくれて、まずは1階の多目的室でお話を伺いました。ここでは毎朝の体操を行い、レクレーションなどにも使っているようです。隣には応接セットやガラスケースをしつらえたスペースがあり、ピアノやオーディオまであります。

同社では、6つのケアを重視した介護を行っているとのお話がありました。運動、睡眠、減薬、水分、食事、排せつです。寝具は良いものを使い、食事もおいしかったです。水分補給にはことのほか気を使っていて、1日1,500mlの補給を目標としています。飲むだけでは足りないので、ゼリータイプの水分補給食品も活用しているとのことです。

場所柄、広い敷地は取れないのですが、それでも常に水が流れる庭があり、ふんだんに草木が植えられています。なんと、同社で運営している12のホームを巡回している〝庭師〟がいて、その人たちが手入れをしています。介護職員が片手間にやっているのとはわけが違います。常に季節や入居者の好みを考慮しながら、花が植えられています。

入居者に対する常勤換算介護職員の割合は、1.5:1(入居者1.5人に対して、介護職員が1人)と、手厚い介護体制です。この数字は、前者の数字が小さい方が、人員が充実していることを表しています。法定で定める最低の基準が3:1ですので、1~3の間になりますが、1.5というのは、かなり優れた数値で、高級なホームでしか実現できません。職員がほぼつきっきりの状態です。アライブ世田谷代田に限らずですが、同社のホームは介護体制がかなり充実していることがわかります。

ただし、看護師の配置については、「日中のみ常駐」となっています。「24時間常駐」「日中のみ常駐」「配置していない」の3段階に分けると、中のレベルです。看取りには対応していますが、痰の吸引が常時必要な人には対応できないといいうことです。

料金の支払い方は、入居一時金を払う方式と、月額費用として払う方式など、3つのコースを選べます。入居一時金を払う場合は、入居一時金が3,118万円~で、月額費用が約39万円(要介護度によっても違う)です。入居一時金がない方式だと、月額は約83.5万円となります。5年間入居したとして、概算5,000万円となります。

職員は丁寧に対応してくれ、高級感あふれる雰囲気ですので、このぐらいでも「高いとは思わない」という人にはお勧めです。

<データ>

  • 常勤換算介護職員割合 5:1
  • 看護師の配置 日中のみ常駐
  • 場所 東京都世田谷区
  • 5年間の費用概算 5,000万円

2019.12.4記

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