消費税が8%となった後に、住宅市場が冷え込まないように、政府は住宅取得のための優遇策を用意しました。
そのもっとも大きなものは、住宅ローン減税の拡大です。
まずは「住宅ローン減税」についてご説明いたします。
住宅ローン減税は、住宅ローンを組んだ場合に、10年間、ローンの残高の1%分、所得税を減税する制度です。
減税の制度は、所得を少なく計算することで、結果的に所得税が少なくなる「所得控除」というものと、税金の金額を直接少なくする「税額控除」に分かれます。
医療費控除など、多くの減税制度は「所得控除」ですが、住宅ローン減税は「税額控除」です。
「税額控除」は、間接的に税金の金額が少なくなるのではなく、計算された金額だけの税金を少なくするので、減税の効果が大きい制度です。
住宅ローン減税で、所得税がゼロとなる人も少なくありません。
所得税がゼロとなった人には、さらに住民税をも少なくすることができます。
ただし、上限があり、住宅ローン残高のうち、2,000万円までが対象となっています。
つまり、1年間の最大の減税額は20万円です。
今回、8%の消費税が適用された場合は、住宅ローン減税の上限が4,000万円となります。1年間の最大の減税額は40万円となります。
ただし、平成29年までに入居することが条件となります。
具体例で見てみましょう。
3,000万円の住宅ローンを35年返済で組んだ場合です。
住宅ローンの残高 | 減税額(消費税5%の物件) | 減税額(消費税8%の物件) | |
1年目 | 3,000万円 | 20万円 | 30万円 |
2年目 | 2,940万円 | 20万円 | 29.4万円 |
3年目 | 2,880万円 | 20万円 | 28.8万円 |
4年目 | 2,820万円 | 20万円 | 28.2万円 |
5年目 | 2,750万円 | 20万円 | 27.5万円 |
…(以下、省略) |
住民税の減税は、住民税額の半分までとなっていますので、所得が低い人などは減税額が上記の金額よりも少なくなります。
住宅ローンの残高が2,000万円以下であれば、消費税増税前も後も変わりません。
しかし、2,000万円を超える場合は、消費税増税後の方が、住宅ローン減税による減税幅は大きくなります。
住宅ローンで一般的な元利均等返済だと、当初はなかなか残高が減りません。
それだけに、住宅ローン減税の上限の引き上げは、減税の効果が小さくありません。
さらに、「長期優良住宅」「エコ住宅」については、対象となる住宅ローンの上限が大きくなっています。
一般の住宅より1,000万円高くなっており、消費税5%の物件は3,000万円、8%の物件は5,000万円となっています。