借地権とは

賃貸住宅ではなく、土地を借りて、そこに自宅を建てて住んでいるというケースがあります。
土地を借りているということは、土地の「所有権」はありませんが、一定の権利が保障されており、そのことを「借地権」と言います。

借地権は、「地上権」と「土地賃借権」の2つに分類できます。
地上権は、「地上権」の売買に地主の承諾が必要ない、など強い権利を持っています。
それに対し、土地賃借権は、「土地賃借権」の売買や更新に地主の承諾が必要であるなど、地上権に比べると借り手側の権利は弱くなっています。
しかし、それでも建物を所有していると、旧借地借家法により保護されており、地主に対して、弱い立場というわけではありません。
現在、土地を借りている場合のほとんどが土地賃借権となっていますので、これを前提に話を進めていきます。(ここでは、借地権=土地賃借権、として記載します。)

まず、土地の賃貸借に関する賃借人(借りている人)と地主(貸している人)のメリット・デメリットを見てみます。
旧借地借家法が適用される、平成4年7月までに土地の賃貸借が始まった場合です。

 

  メリット デメリット
賃借人 ①地代が安いことが多い。

②いつまでも住み続けられる。

③更新料が必要

④建て替え、売却などに承諾料が必要

地主 ⑤更新料が入る

⑥承諾料が入る

⑦地代が安いことが多い

⑧いつまでも土地が自由に使えない

 

「借地権」「底地」とも、第三者には売却しにくく、売却価格が安くなってしまう傾向があります。
これは、両者のデメリットですので、上記では除いています。
賃借人と地主は利害が相対していますので、対比しながら見ていきます。

最初は、①と⑦です。「地代がかかる」を賃借人のデメリットに、「地代が入る」を地主のメリットを考えることもできますが、一般的には土地の価格上昇にも関わらず、地代は上がっていないことが多く、〝地代〟は賃借人にはメリット、地主にはデメリットとなっています。
周辺の地代が上昇していれば、地主が地代の引上げを求めることもできますが、賃借人の承諾が必要です。
承諾が得られない場合は、裁判所に適正な地代を決めてもらうことができます(「借地非訴」と言います)。
裁判所が地代の引上げを妥当と認めるのは、周辺の地代が上昇した場合ですが、地代全体が低い傾向があり、賃借人のメリットとなっています。

その代り、更新のたびに「更新料」を地主に払う必要があります。(③と⑤)
更新の期間は原則として、鉄筋コンクリート建てなどは30年、木造建築は20年です(旧借地借家法の場合。新借地借家法では、どちらも最初は30年、次は20年、その次以降は10年となります)。
更新料は地価の3~5%が一般的で、東京・横浜などは若干高めとなっています。
地主としては、地代が安い分、更新料で取り戻したいところですが、事実上、更新の拒否ができませんので、あまり高くすることはできません。

賃借人の立場を有利にしている最大の要因が、「建物がある限り、契約を更新しなければならない」という規定です。
平成4年8月から施行された、新借地借家法では、一度契約を更新すると、地主が建て替えの承諾をしないことができ、いずれ建物が老朽化した後に、契約の更新を止めることができるようになりました。
しかし、旧借地借家法では、地主が建て替えの承諾をしない場合に、裁判所に承諾をしてもらうことができます(借地非訴)。
特別な事情がない限り、地主に承諾料を払うことを条件に、裁判所が承諾をします。
結果、賃借人は事実上「いつまでも住み続けられる」ということになります。(②と⑧)
もっとも、裁判所が認めてくれるとはいっても、地主に承諾を求め、承諾料の交渉をするなど、賃借人にも負担はかかります。(④と⑥)
承諾料は、地代の2~5%程度となっています。

質問はこちらから