リバース・モーゲージ

リバースモーゲージは、アメリカで広がった融資制度です。
日本でも注目され、一時はいくつかの金融機関が参入しましたが、地価の下落の影響もあり、現在扱っているのは、三井住友信託銀行、群馬銀行、それに自治体の武蔵野市などわずかです。

基本的な仕組みは、次のようになっています。
自宅を担保に、融資を受けます。
その後、利払いはしますが、元金の返済はしません。
そして、融資を受けている本人が亡くなった時点で自宅を提供することで元金の返済とします。

主に高齢者向けの融資となっています。
リタイアした高齢者の場合、簡単に融資を受けることはできません。
自宅という資産はあるものの、金融資産はそれほどなく、先行きに不安を抱えている人も少なくありません。
かといって、自宅を売却してしまうと、住むところがなくなり、生活することができません。
そこで、自宅を手放さずに資金を確保できるようにしたのがリバースモーゲージです。
自宅を担保として、融資を受けることができるのです。

利払いはしていかなければなりませんので、多少の支払いは必要となりますが、生きている間は元金の返済が必要ありません。
また、自分の死亡時点に自宅で返済しますので、いずれは自宅を手放すことになりますが、自分が生きている間は住まいの心配をする必要がありません。
利払いが無理なくできるのであれば、長生きすることによる資金の不安がかなり解消されます。
自分の住まいを手放さずに活用できるわけです。

返済に充当された自宅は、東京スター銀行によって、すぐに売却されます。
売却価格が返済額を上回れば、その分は遺族が受け取ります。
遺族が自宅を売却して、借入額を返済することもできます。
もっとも、必ずしも自宅を手放さなければならないというわけではありません。
遺族が借入額を返済すれば、自宅を相続することもできます。
また、配偶者が適用条件に該当すれば、そのままローンを引き継ぐことができ、配偶者が自宅に住み続けることができます。

融資を受けた資金の使い道は自由です。
老後の生活資金はもちろん、老後の楽しみに使うことも、自宅の改修に使うこともできます。
本人が高齢者施設などに入居して、担保となっている自宅を賃貸に出して賃貸収入を得ることも可能です。
(それが有利な選択かどうかはまた別ですが。)

融資を受けると、その資金は預金口座に入ります。
東京スター銀行の場合、リバースモーゲージも預金連動型ローンとなっていますので、そのまま預金に入れておく限りは利息がつきません。
預金口座からお金を引き出したら、ローン残高と預金残高の差額の部分だけに利息がかかります。
そのため、リバースモーゲージを利用しても、預金に入れっぱなしという人もいるそうです。
自宅を担保に、融資枠を設定しているようなイメージでしょうか。
利用している人は、いつでもお金を引き出せる安心感を得ることができます。

融資額は、自宅の評価額を基に決まります。
融資は長期間にわたり、その間、自宅の評価額は下がっていきます。
そのため、もともと借りられる金額は自宅の評価額の半分程度と、かなり小さくなっています。
戸建てだけでなく、マンションも利用できますが、さらに融資額は小さくなります。
自宅の評価額は毎年見直しがされ、融資限度額が実際の融資額を割ってしまうと、その時点で全額返済することが必要となります。
東京スター銀行の担当者の話では、「もともとの限度額が少なめに設定されているので、あまり心配はない」と言っていますが、急に全額返済を求められる可能性があることは考慮に入れておく必要があるでしょう。

利用できるのは、55歳から80歳までで、年金収入が120万円以上の人となっています。
ただし、利用できる地域が首都圏と京阪神圏のみとなっています。
リバースモーゲージは、自宅はあるものの、預貯金が少なく、老後資金に不安のある人に向いています。

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