新築マンションの平均価格が1億円超え!

先日、首都圏の新築マンションの〝平均価格〟が1億円を超えたとのニュースが流れ、話題になりました。不動産経済研究所の調査で、2023年3月の首都圏の新築分譲マンションの販売価格の平均が1億4,360万円という結果になりました。首都圏とは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県です。2月は6,778万円でしたので、1か月で倍以上になっているわけで、この月が特殊であったということは言えるでしょう。詳細を見てみますと、以下のようになっています。

 

首都圏新築マンション市場動向  2023年3月

地域

平均価格

1㎡単価

契約率

東京23区

2億1,750円

284.0万円

84.5%

東京都下

6,741万円

102.3万円

76.9%

神奈川県

5,865万円

90.7万円

76.3%

埼玉県

4,804万円

76.0万円

61.6%

千葉県

4,908万円

68.6万円

76.2%

(株式会社不動産経済研究所「首都圏新築マンション市場動向2023年3月」より)

 

この3月は都心部で、超高額マンションがいくつか販売され、それが平均価格を引き上げました。東京23区でも2月の平均価格は9,020万円でしたので、3月の2億円超えは少し特殊です。ただ、これらの高額マンションの販売は今後もしばらく続きますので、平均価格が高い状況が続くことになるかもしれません。どんな物件なのか、ちょっとのぞいてみましょう。

 

  • 三田ガーデンヒルズ 第1期1次販売320戸
    • 東京都港区三田
    • 販売価格帯:2億3,100万円~45億(最多価格帯3億8,000万円)
  • ワールドタワーレジデンス 第1期1次販売169戸
    • 東京都港区浜松町
    • 販売価格帯:1億8,690万円~6億490万円(最多価格帯2億円前半)

 

三田ガーデンヒルズは旧逓信省簡易保険局庁舎の跡地で、歴史的建築物でもある旧庁舎の一部を残してエントランスとして利用しています。ワールドタワーレジデンスは世界貿易センタービルの跡地に建てられました。そういったロケーションの良さも価格に反映されているのかもしれません。

三田ガーデンヒルズは45億円もの部屋がありますが、第1期1次販売は完売したとのことです。ワールドタワーレジデンスは、即日完売となりました。これほど高い物件が売れるのだろうかと、他人ごとながら心配になりますが、最近は高い物件の方がよく売れるのです。上の地域別の表を見てもお分かりのように、価格が高い東京23区の方が契約率も高くなっています。

では、いったいどのような人が購入しているのでしょうか?

 

①低金利のおかげで、住宅ローンを大きく組むことができる、②住宅ローン控除のために、住宅ローンを大きく組む方が税金は安くなる、③パワーカップルといわれる、高収入同士の夫婦が購入している、など、住宅購入価格の上昇に寄与する要因がいくつかあります。しかし、これらの理由で、住宅ローンを組んで購入できるのは、1億円前後です。2億円以上になると、パワーカップルといえども、ローンを組んでの購入は難しいでしょう。

実際、2億円以上の物件では、多くは住宅ローンを組まずに、キャッシュ(現金払い)で購入しているそうです。すぐに出金できる預金が2億円以上あるというわけです。企業経営者や不動産所有者が多いそうです。IT企業の経営者などや代々の資産家などです。さらに、医師や弁護士などの夫婦が続くようです。いずれも、かなりの資産を預金として保有している人です。預金ではほとんど金利もつかないため、将来の値上がり期待もあり、利便性が高い都心部の高額マンションを購入しているようです。さらに、将来の相続税対策ということも考慮しているようです。預金に比べて不動産は、相続税計算のための評価額が低いので、高額な自宅を購入すると、遺族の相続税を少なくすることにつながります。

不動産購入の需要が減少する最も大きな要因は、金利の上昇です。最近は物価が上昇してきていますし、日銀総裁は交代しました。そろそろ金利が上昇に向かうかもしれません。そうなると、住宅ローンも金利が上昇することになり、住宅購入にはマイナスとなります。しかし、2億円以上の物件に限って言えば、キャッシュ(現金払い)での購入が多いということですので、金利の上昇はあまり影響しないのかもしれません。

東京23区では、2023年3月の新築マンション販売のうち、37%が1億円以上で、2億円上でも26%となっています。当分の間はこの状況が続きそうです。

2023.6.12記

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